優れた素材に光を当てる「新・ニッポンの素材力」です。
今回は「割れたガラスはもう元に戻らない」、そんな常識を覆す素材が誕生しました。
東京大学大学院 工学系研究科
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東京大学大学院、工学系研究科の柳沢佑さん。
今回の素材のカギを握る人物です。
これが今回発表した材料です。
大江麻理子キャスター、
これからガラスの割れた断面同士を私の力でくっつけます。マジックをしている気分になりますが…。
しっかりと断面を合わせて。
そして30秒後、
じゃあ離しますよ。くっついた!
実はこれは「割れてもくっつくガラス」です。
割れてもくっつくガラス
東京大学が世界で初めて開発しました。
割れた断面を合わせて力を加えるだけ。
これだけで熱を加えなくても再びくっつきます。
5分程経ったものは、大江キャスターが再び離そうとしても離れません。
このガラスは樹脂でできています。
その樹脂の名前は、
ポリエーテルチオ尿素というポリマーで樹脂の仲間。
聞いたことのない名前ですがそれもそのはず、こちらの研究室で誕生した物質なのです。
ポリエーテルチオ尿素
なぜ、ポリエーテルチオ尿素でできたガラスは割れても元に戻るかの?
そのヒミツは分子構造の特徴にありました。
割れるということは分子同士の結びつきが切れてしまうこと。
ポリエーテルチオ尿素は常に動き続けていて分子同士が互いに引き合うことで再び結合するのです。
「意図して作ったのか、偶然の産物か?」
偶然です、最初は全然違う研究をしていて。
これまでにない素材の発見。そのきっかけは薬などに使う材料の開発をしているときでした。
しかし実用化にはまだまだ高いハードルが…。
実際に使おうとすると高温でも物性が変わってはいけないとか、色がついてはいけないとか、いろいろな問題が出てくる。
「色を透明に近づけることは可能?」
可能だと思います。
相田卓三教授
今回の研究成果を研究室の相田卓三教授は、
常識として無理だとされていたが、その常識をひっくり返したのがひとつの大きな成果。
新しい考え方で今の方法論をさらに煮詰めていいものになる可能性はある。