[WBS] カルフォルニアで進行中!トヨタのFCV新戦略!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

トヨタ自動車が世界で初めて一般に販売した水素で走る燃料電池車「MIRAI」。

その販売台数の累計を見てみると国内では2018年3月末の時点で2,300台なのに対してアメリカのカルフォルニア州では3,500台に達しています。

そのカルフォルニア州では燃料電池車を巡るトヨタの新たな戦略が動き出していました。

トヨタ自動車株式会社

アメリカ西海岸、カルフォルニア州。

美しいビーチと青い空のイメージとは裏腹に深刻な環境問題を抱えています。

カルフォルニア州のクルマの量は全米一で大気汚染が深刻なのです。

呼吸器に悪影響を及ぼす恐れのあるオゾンの汚染は全米で最悪のレベル。

南部沿岸大気品質管理区

地域の大気汚染を管理する機関を訪ねてみると・・・

駐車場にはEV(電気自動車)向けの充電器がずらりと並んでいました。

一般の人も使うことができます。

南部沿岸大気品質管理区のナビーン・ベリー氏は、

私たちは排ガスゼロの車の普及を推進しています。今後5~7年はEVなどが重要な役割を果たすと考えています。

カルフォルニア州には1万5,000基以上の充電器があり、日本全体の数に迫る勢いです。

2017年、カルフォルニア州で販売されたEVは5万台。

アメリカ全体の半数以上を占めているのです。

この機関の別の駐車場に案内されると、FCV(燃料電池車)用の水素スタンドもありました。

燃料電池車はガソリン車と同様に3~5分で水素を補給できます。EVは急速充電器でも45分はかかります。州政府と協力して水素ステーション拡充を急いでいます。

その水素スタンドを訪れた車、トヨタの「MIRAI」です。

MIRAIの所有者は、

きれいな空気のためだよ。そのためにこの車を買ったんだ。EVとは全然違う乗り心地で運転が楽しいよ。

カルフォルニア州には現在、水素ステーションが68ヵ所に設置されていて、今後も積極的に増やす計画です。

インフラの増加に伴い、MIRAIの販売台数も今年3,500台を達成。

日本を上回るスピードで普及しているのです。

トヨタの新たな挑戦

そのカルフォルニア州でトヨタの新たな挑戦が始まっていました。

場所はロサンゼルス港。

コンテナの取扱量は全米最多を誇ります。

小林洋達記者、

このエリアでいま始まっているのが燃料電池トラックの実証実験です。

トヨタが開発した燃料電池トラック。

世界に1台の試作車です。

実証実験で運転手を務めるダニー・ガンボアさん。

これまでディーゼルエンジンのトラックを運転していました。

この燃料電池トラックはパワーでディーゼルに勝る。とにかく力強い走りがすごい。

内部にはMIRAIの燃料電池システムが2つ搭載されています。

総重量36トンと大きな荷物も運べ、1回の水素の補給で320キロは走れます。

燃料電池車なので排出するのは水だけ。

トヨタはなぜ、燃料電池トラックの開発に乗り出したのでしょうか?

その理由はこの港の近くで育ったドライバーのダニーさんにも関わることでした。

この港の周辺で生まれ育ってぜんそくになってしまった。この辺を走るディーゼルトラックの排ガスが原因だと思っている。

長く大気汚染の元凶とされてきた港。

そこで地域の自治体は2017年、港の「排ガスゼロ化」を目指すと宣言したのです。

こちらの港では2030年までにコンテナの上げ下ろしに使う全ての機器の排出ガスをゼロにすることを目指しています。無人で動いている特殊車両もディーゼル車からハイブリット車への切り替えを進めています。

停泊中の船が発電のためにエンジンを回すアイドリングも禁止。

必要な電力は船の外から供給するように義務付けられています。

排ガスゼロを目指す港ですが最大の課題は1日に2万回以上出入りするディーゼルエンジンのトラックです。

北米トヨタR&D

この排ガス問題にいち早く反応したのが北米トヨタのカルフォルニア拠点でした。

7人のエンジニアが中心となり、試作車の開発を進めたのです。

作業状況を確認したい、バッテリーの状況は?

課題が1つありますが予定通り進んでいます。

トヨタとしては異例の現地開発。

チームを主導したのが北米トヨタR&D・上級エンジニアの横尾将士さんです。

今までのトヨタのやり方は全てゼロから開発。今回は「最適化」を狙う前に既にあるものを組み合わせる。

横尾さんのチームはMIRAIのシステムを転用することでトラックの設計開始からわずか1年で試作車の完成にこぎつけたのです。

なぜそこまで開発を急いだのか?

横尾さんにはある思いがありました。

ここはカルフォルニアで一番空気が悪い場所。子どもたちが公害の中で毎日暮らす状況はつらくて悲しい。トラックを全て水素燃料にして、すごくうるさい音もなくなる、排ガスもなくなる、これがエンジニアとしての夢。

すでにある燃料電池の技術を使って一刻も早く対策を実現したいと考えたのです。

燃料電池車は排気汚染を解決できるのか?

トラックに姿を変えたMIRAIの挑戦が続きます。