一見、ワインのようにも見えますが実は日本酒です。しかも全国の酒蔵で今年できたばかりの新酒です。
この日本酒を作ったのは日本酒メーカーではなく百貨店です。
どうして百貨店が日本酒造りに乗り出したのか?
その戦略を取材してきました。
日本酒の発表会
4月13日に開かれた日本酒の発表会。全国各地、4つの酒蔵が造った新酒が参加者に振る舞われました。
参加者は、
フルーティーでさわやか。
口当たりがいい。食中酒にいい。
この発表会は日本酒づくりを支援している企業「日本酒応援団」が開催。4種類の日本酒を飲み比べ発表会は和気あいあいとした雰囲気に。
実はこれらの日本酒、ある大企業が作っています。
株式会社髙島屋
[blogcard url="https://www.takashimaya.co.jp/"]
日本酒応援団の吉原忠直共同代表は、
高島屋と全国で一緒につくっていく取り組みが始まった。
大手百貨店、株式会社髙島屋が一から製造に関わっているのです。
株式会社髙島屋の山下裕司セントラルバイヤーは日本酒のバイヤーで今回の酒造りのプロジェクトリーダーです。
このような独自商品をつくっていくことで本当に皆さんに喜んでもらえる。
株式会社文楽
[blogcard url="http://www.bunraku.net/"]
株式会社髙島屋の新酒をつくっている酒蔵のひとつ、埼玉県上尾市の「株式会社文楽」。
株式会社髙島屋の山下裕司セントラルバイヤーがやって来ました。時前のトレーナーとバンダナに着替えて早速、仕上がりの確認をします。
出来上がった酒ではなく、原料の米の状態から確認。
山下裕司さん自らふかしたての米を取り出し、酒のもととなるもろみづくりに参加します。
バイヤー歴20年の山下裕司さん、去年から現場に入り一から酒造りに参加。全国4つの酒蔵と商品を開発してきました。
珍しいものを探して買い付けるのではなく、珍しいもの、希少性のあるものをつくる。川上に上がって一緒につくらせてください。価値をつくる。
出来上がった商品ではなく、川上までさかのぼり、つくるところから始めることで他では手に入らない商品をつくりたいといいます。
その為、製法にもこだわりました。
例えば「しずく斗瓶取り」と呼ばれる特別な製法。麻の袋にもろみを入れ一滴一滴、自然に落ちた自然に落ちた「しずく」だけを取り出す製法。通常の絞り出す製法に比べ手間も時間もかかるため株式会社髙島屋が全量を買い取るという条件で実現しました。
一体、何故ここまでするのか?
商品を買うことはいくらでもできる。それだけだとたくさんの商品があるので、お客様に伝えきれない。対面販売でお客様と会話しながら、商品の特徴を紹介するには百貨店はそれしかない。。
株式会社髙島屋
百貨店業界は売上高が12ヵ月連続の前年比割れを記録するなど苦戦が続いています。
株式会社髙島屋はこうした独自商品で突破口を開こうとしているのです。
出来上がった日本酒が早速、店頭に並び始めていました。
試飲をしたお客様、
舌の上の広がりが全然違う。
お客様からの反応は上々で品薄になっているものもあるといいます。
株式会社髙島屋では今、日本酒だけでなくアパレル分野でも繊維作りから携わり商品づくりをしています。
ほかでは買えない商品を揃えるという百貨店らしさを取り戻す「川上戦略」。
今後、さらに広げていく考えです。