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[ゆうがたサテライト] 耕作放棄地で枷斑!?雑草が日本初の燃料に!

2017年12月14日

ゆうがたサテライト

耕されずに放っておかれている田んぼや畑、耕作放棄地。

その面積は年々拡大し30年間で3倍以上となり、日本の食物自給力の低下にもつながっています。

ころが近年、この耕作放棄地をビジネスチャンスととらえ、新たな価値を生み出そうという動きが広がっています。

株式会社タカノ

栃木県さくら市、近年農家の高齢化や後継者不足による耕作放棄地が増加しています。

その面積は東京ドーム9個分にあたる約13万坪。

この耕作放棄地を使って新たなビジネスを始めたのが髙野誠さん(58歳)です。

髙野さん、1万6,000坪もの耕作放棄地を借りてあるものを栽培しているのです。

それは一体?

これがエリアンサスです。

「これ雑草じゃないんですか?」

全然違います。

エリアンサス

エリアンサスは東南アジアの熱帯地域に生える3メートルを越すイネ科の植物。

現地では雑草の扱い。

なぜこんな雑草を栽培するのでしょうか?

今後、日本を背負ってたつエネルギー

雑草がエネルギーに?

高野さんはこのエリアンサスを2月頃に収穫。

倉庫を4,500万円かけ改築した工場で加工を行います。

収穫したエリアンサスは細かく砕き乾燥させます。

それを専用の機械に通して圧縮させて完成。

ペレットになります。

ペレットとはストーブやボイラーなどに使われる粒状の燃料。通常は杉などの木くずが原料ですが、今回燃えやすいエリアンサスの特徴を生かしペレットにしたのです。

事業のきっかけ

それにしてもなぜこの事業を?

さくら市は仕事が減っている。1割5分ぐらいは今後も減っていくと思う。

実は髙野さんの本業は建設業。しかし近年、公共事業が減り続けていてピーク時に1億2,000万円あった売上高は2016年に3分の2まで落ちていました。

髙野さんの会社(建設業)
2013年1億2,000万円
2016年8,000万円

4年前、建設業の先行きに不安を感じていた髙野さんは新たな事業を模索。

ネットでエリアンサスの記事を偶然見つけたのです。

そして2013年に地元の耕作放棄地を使って栽培を開始。

2017年にようやく収穫までたどり着きました。

興奮した。「これだ!」と思った。ある意味、油田を掘っているような感覚。

市営もとゆ温泉

2017年4月、初めて実用化。

髙野さんが作ったエリアンサスのペレットがさくら市が運営する温泉施設の燃料として使われています。

エリアんサスを再生エネルギーとして実用化したのは日本で初めてのことです。

燃料ですよね。いいのでは、どうせ余っている土地だから。

もちろんいいこと。そういう自然エネルギーは賛成。

現在、エリアンサスからできたペレットの売上高は約300万円。

髙野さんはさらに耕作放棄地の利用を増やしたいといいます。

サクラ市内でエネルギーを作って循環させたい。これからです。まだスタートしたばかりなので。

耕作放棄地から生まれた新たな取り組みは他にもあります。

佐賀県東部の基山町も耕作放棄地が急増している町のひとつ。

その土地を利用して新たなビジネスを始めたのが吉田猛さん(64歳)。

吉田さんに案内されて山道を…。すると何かいます。

この巨大な生き物は一体?

エミューという鳥。

オーストラリア生まれ、世界で2番めに大きい鳥「エミュー」。

なぜ耕作放棄地にエミュー?

見ての通り草がなくなる。それでふんや尿をするから肥料となってすぐにでも耕作ができる。

確かに他の耕作放棄地に比べてエミューを放して半年経った耕作放棄地は草が生えていません。

エミューが雑草を食べ尽し、走り回ることで耕作放棄地が農地として再生するのです。

飼育のきっかけ

飼育のきっかけは4年前、エミューの食肉販売を目指す企業からの提案でした。

水とエサがあれば飼育は簡単。1日1回でいい。飼いやすいし、おとなしい。

飼育費は1羽につき年間1万5,000円。

安価で放置されていて土地を農地に再生できると飼育を始めたのです。

株式会社きやまファーム

さらに2015年には育てたエミューの食肉の加工や販売を手掛けるため会社「きやまファーム」を設立。

加工したエミュー肉は町内で販売しています。

きやまファームで販売しているエミューのハム。

エミュー肉のハム。脂がほとんどなく高タンパクなのが特徴です。

さらにエミュー肉を使ったレトルトカレー「佐賀基山のエミューキーマカレー」などその珍しさが観光客に受け基山町の名物になりつつあるのです。

おもしろい。まだ知らない動物っているんですね。

グリルパン料理 うえちゃん家

吉田さんが始めたエミュー事業はいまや町を上げた取り組みになっています。

こちらのレストランではエミュー肉のスモークステーキが人気。

おいしい。臭みがない。これエミューの肉?という感じ。

うえちゃん家の上田昭弘さんは、

基山町の名産として十分PRできる。

しかし現在はエミューの飼育数が足りず実は北海道から仕入れている状況。5年以内には地元産に切り替えたいといいます。

目標

目標は地産地消。基山のエミューで何もかも賄う。

そのカギを握るのが大きくてみどり色のエミューのタマゴ。

このタマゴを冷蔵庫のような機械で52日間かけて孵化させて数を増やそうとしているのです。

現在、吉田さんは24羽のエミューを飼育。これを3年後には300羽にしたいそうです。

エミューを増やす。目標は基山=エミュー

放置されていた土地を利用した新たな取り組みは耕作放棄地の減少につながるのでしょうか?

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