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[ガイアの夜明け] 百貨店はどう生きるか?(3)

2017年11月8日

百貨店はどう生きるか?

株式会社大丸松坂屋百貨店

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GINZA SIX

[blogcard url="https://ginza6.tokyo/"]

東京・銀座では4月20日、話題の施設がオープンしようとしていました。

銀座最大級のショッピングモールです。

2時間前、オープンを待ちわびる行列はすでに2,500人を越えていました。

店内の中央フロアに一際目立つ巨大な売り場があります。

シジェーム・ギンザ

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「SIXIÈME GINZA(シジェーム・ギンザ)」。大丸松坂屋が運営するセレクトショップです。

それではお進みくださいませ。

午前10時オープン、お客様が押し寄せます。

シジェームにも大勢のお客様が。

売り場には世界中から厳選された高級で上質な商品が並びます。

ターゲットは銀座を愛する50代の女性。

買います。こういう袖もありそうで、実は今までなかった。

岐阜県から来たお客様は、

青い小物が目についたのでブルーのポーチを買った。

中高年の女性客が目立ちます。

9万人が訪れた初日。

営業終了後、売り上げの集計まで取材を続けるとその結果は?

本日、売り上げ731万円いきました。

売上目標を大幅に突破したのです。

いいスタートが切れたのでこのまま突っ走りたいと思います。

何がシジェームを成功に導いたのか?

その裏では販売員達の猛特訓がありました。

売ろうと思っていないよね?「どうぞご覧ください」「何かお探しですか?」は最悪の接客。

徹底的にしごかれます。

J.フロントリテイリング株式会社

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ギンザシックス、延床面積は東京ドーム3個分にもなります。

立ち上げたのは大丸百貨店と松坂屋百貨店が合併してできたJ.フロントテイリング。

さらに森ビルや住友商事、Lキャタルトン・リアルエステートが共同出資をしています。

6階までの商業エリアには241もの高級ブランドを誘致。

その他にも大型書店やレストラン、さらに能楽堂まで。

上層階の7階から12階はオフィスフロアになっています。

ギンザシックスはかつての松坂屋銀座店の跡地に出来ました。

どのフロアも同じような売り場にする百貨店の常識をJ.フロントリテイリングは変えたのです。

その旗振り役が山本良一社長。脱百貨店の戦略を掲げています。

これから先の100年、同じようなビジネスモデルでこの銀座でやっていけるのか。新しい商業施設をつくるのであれば百貨店にこだわらずに世界に情報を発信できるラグジュアリーモールをつくる。ここを目指してやろうと。

特別なトレーニング

こうした社長の方針のもと、ギンザシックスのオープン前には特別なトレーニングがありました。

大丸松坂屋が運営するシジェームの販売員は16人、そのうち5人は外部からヘッドハンティングしました。

外部から人材を入れることでこれまでの百貨店にはない売場づくりを目指したのです。

シャネルとコーチとクロエで販売スタッフとマネージャーをやっていた。

ワールドで婦人服の販売をしていた。

大丸松坂屋からも販売の精鋭たちが選抜されました。

シジェームの売り場を想定したロールプレイング。

接客の指導にはアルマーニやプラダなどで店舗運営を任された店舗経営コンサルタントの秋山恵倭子さんがあたります。

百貨店育ちの販売員たちに世界基準の接客方法を身に付けさせるためです。

どのようなプレゼントかお決まりでございますか?

会社の上司への贈り物になるんですけど。

上司への贈り物でございますね。かしこまりました。

止めていい?最初、お客様から初コメント、第一声をいただいた時にみんな流しすぎ、共感しないと。上司にプレゼントする、素晴らしいですね、お幸せですねとかお客様の第一声目を拾ってください。必ず!拾ってそこに入っていく。

高級品を確実に売る方法、それは贔屓のお客様を作ること。相手の印象に残る接客を徹底させます。

おいくらになるんですかね。

こちらが税込みで3万円でございます。

ねえねえ、だけどさ、みんな売ろうと思っていないよね。

接客する時、売りたいと思わないと売れませんよ。これはハンカチです、何です、みたいなの全然つまらないです。もう少し突っ込んでいって。

エッセンシャル(本質)を求めている。勝ちにいかなきゃいけない。サービスと言ってもピンキリあるので、てっぺんいかないといけない。

店づくり

接客だけではありません。シジェームには百貨店にはないこだわりの店づくりりがあります。

3週間に1度行われる売り場の「テーマ」変え、商品の並べ方ひとつに徹底してこだわります。

ここ1個。

多いよ、絶対多い。

百貨店とは違う見せ方とは?

セールスアソシエイツVMD事業部の段野正夫さん、

どう引き算するか。百貨店病のひとつがあらゆるところに物を置きたがる。出したらその分、効率が上がるという発想。

イケているブティックは余白に価値を見出している。何で目が行くかというと余白があるから。

1点1点飾るという意識。高級ブティックにも負けない売り場を目指しています。

百貨店そのものを否定する店づくり。それを現場で推し進めてきたのが大丸松坂屋のMD戦略推進室の松井一朗部長(51歳)。3年前からシジェームの立ち上げを準備してきました。

シジェームギンザの川口聡子店長、

これを見て「ボタンなの?」って「面白いわね」って言っていただくことが多い。

こういうアクセサリー関係がアイテムとしてトレンドがきている。

ギンザシックスの来館者は1日約4万人。百貨店時代には考えられなかった数字です。

こういう売り場を作るときにみんなが一から真剣に考えて積み上げるように作ったので、今までの百貨店の中でどこまでできていたのかと言うと、やっていたつもりだし、僕自身も一生懸命やっていたつもりだった。

このシジェーム、百貨店育ちのスタッフにも変化をもたらしていました。

自ら接客を行うのは入社19年のベテランバイヤー、MD戦略推進室バイヤーの新阜裕子さん。今のお客様が何を望んでいるのか貪欲に知ろうとしていました。

お客様はこういう動き方をするだとか、こういうものに興味があるとか、すごく勉強させてもらえた。シジェームは生まれたての赤ちゃんなのでお客様と一緒に成長していけるような売場づくりが大事。

お客様の分析

オープンから2ヶ月後の6月中旬、大丸松坂屋の本社ではシジェームに来店したお客様の分析が行われていました。

ターゲットにした銀座を愛する50代の女性とはどんな人達なのか?

狙っていた50代が40%以上のシェアを占めている。東京都内の方が圧倒的に多い。世田谷区、中央区、港区、目黒区、渋谷区、品川区、こういった地区から支持を得ている。

アラフィフ(50代前後)の可処分所得があり自分をしっかり持っている人。いわゆる大人のお客様をターゲットにしている。

戦略は間違っていませんでした。

これを受けて新阜さんはすぐに次の目玉商品の買付けに動きます。

買付け

東京・広尾にある知る人ぞ知るブランド。本物を求める女性客にどんな商品を選ぶのか?

これ攻めている感じですね。

説明を聞いていた新阜さん、手に取ったのはチェック柄のコートでした。

自ら試着してみます。

かわいいな。ほかでも見たことがない。シャネルでもなかなか見ないですよ、この生地。

買付けのポイントは特別な1着。

ただ、これはスペシャルなプライス。21万円。

21万円ぐらいか。

世界でもこれ1着。

シジェームでは商品を全て買取ります。在庫を持つリスクを背負いますが新阜さんはこの日、気に入ったものを全て買い付けました。

品ぞろえもそうだし、物一つ置くにしても、どんなブランドを置くにしても妥協したくないし、私たちがこれだと決めたものは自信を持ってお客様にお薦めできる。

自信満々の新阜さん、このまま好調を維持できるか?

4月からの来館者数も1,000万人突破が見えてきた10月、あの松井部長から新たな一手が…。

出店

大丸松坂屋が運営するセレクトショップ「シジェーム」。

新たな展開をあの松井部長がぶち上げました。

目標はシジェームギンザ事業として銀座、名古屋、神戸、心斎橋まで拡大して、今までの百貨店ではやってなかったような全ての項目におけるアプローチ方法でやっていく。

松井さんは全国に19ヶ所ある大丸松坂屋の中でまずは主力の名古屋、神戸、心斎橋にシジェームを出店させようというのです。

全国のお店の中にいちテナントして出店していく。独立した事業体になる。

しかしバイヤーたちは黙ったまま…。

これができなければ既存の百貨店の売り場は沈んでいく。沈んでいっている。新阜、どう思う?

シジェームギンザのブランディングをもっと強化させないかないと、あのシジェームギンザが名古屋に、神戸に入りました、東京でしか買えなかったけど神戸や名古屋でも買えると言ってもらえるくらいのブランドの強化をしていかないと。

むしろ百貨店の中に入るというのはみんなの中でリスクということ?

百貨店も嫌われたもんやな。

大丸心斎橋店

大阪・心斎橋。松井さんはシジェームを百貨店で展開するヒントを探るべく動き出していました。

向かったのは大丸心斎橋店。

ブランド出店の決定権を持つ責任者、心斎橋新店計画室MD担当部長の石井康裕さんが出迎えました。

うまくいけばシジェーム出店の可能性が高まります。

シジェームの次のステップとして、できれば心斎橋の新店プロジェクトの中で提案をさせてもらいたいなと。ブランドの箱をきれいに並べるだけでは面白くない。大丸松坂屋の意志で周りのブランドのセンターゾーンを作っていきたい。あのビジネスモデルをプラットフォームにして心斎橋なりのシジェームにしたいと思っている。

ところが、

ギンザシックスの場合は百貨店という形をとっていないからシジェームが成功しつつある。でも心斎橋の場合は新しい百貨店を描かなければならない。どういう百貨店にしていくかという流れの中の「シジェーム」なので、そこは銀座と大きな違い。よく考えないといけない。

シジェームの成功はギンザシックスあってのこと。百貨店の売り場としては受け入れづらいというのです。

ハードル高いですね。

これまでの百貨店を否定したことで成功しているものの、社内には分厚い壁がありました

今日はたくさん宿題をもらった。また走りながら考えます。

路面店

流行が生まれる街、東京・表参道。

セレクトショップ「シジェーム」の次なる出店をどうするか?

大丸松坂屋の松井さんがやってきました。

空き物件の情報が入ったのです。

これだ。めちゃめちゃいい場所。

外から見える。20坪ないな、面白いかも。場所は間違いない一等地。

松井さんが考えているのは路面店でシジェームを展開すること。集客が見込める場所で認知度を上げ全国展開につなげようというのです。

お客様がなにか新しい発見をしてくれるとか、何かわくわくどきどきしてもらえるようなオリジナリティーのあるショップとしてシジェームという形で展開できれば、そういうものが必要になると思っている。それに見合うだけのブランドを一生懸命育てていきたい。

もう後戻りはできない、生き残りをかけた挑戦が続きます。

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