スーパーなのにレストランのような食事が楽しめる店が9月29日に東京・調布にオープンします。
成城石井の新しい店舗ですが、ここで提供するのはフードコートとは違い、スーパーが作った料理です。
なぜスーパーがレストラン化するのか、店舗作りに密着しました。
スーパーのレストラン化
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スーパーで買える食事といえば店内で調理された惣菜や弁当のイメージが強いですが、いまスーパーで作られる料理が進化しています。
厚さ6センチ、作りたてのサンドイッチに国産黒毛和牛の焼き立てのステーキも、スーパーがレストランになる、新たな形を目指すスーパーの戦略を追いました。
イオンリテール株式会社
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千葉県浦安市、イオンスタイル新浦安MONA店。
こちらのスーパー、昼時には地元の主婦や子供連れ、近隣のオフィスで働く人で賑わいます。
お目当てはその場で作ってもらえるランチ。具材を選ぶ野菜たっぷりのプレート「カスタムサラダ(980円)」や注文してからパスタを茹でて目の前でチーズをかけてもらえる「たっぷり野菜のボロネーゼ(680円)」も。
ここは専門店が集まるフードコートではなく、スーパーで作られた料理が食べられるイートインスペース。
気楽に来られる。子連れでも来やすい。後片付けしなくていい。
お弁当は飽きる。温かいとまた食べに来ようとなる。
このスーパー、オープンキッチンなど売り場に広い調理スペースを確保。2017年7月にオープンしました。
惣菜とイートインのスペースで売り場面積の約6割を占めるまでになり、客足は順調に伸びているといいます。
イオンリテールの鈴木雅光さんは、
「食べて帰る化」が進んでいる。帰って食べるとゴミが増える。非常に面倒くさい。イートインでお客様のニーズに対応しようと。
株式会社成城石井
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いま惣菜や弁当などを買って帰る中食市場は右肩上がり。今年度は5年前より約5%伸びる予測です。
その中食需要を掴みたいとレストラン化を目指すスーパーがここにも。
この日、スーパー成城石井の原昭彦社長は2ヶ月後にオープンする旗艦店のコンセプトを発表しました。
欧米では当たり前となった「グローサラント」。スーパーマーケットとレストランが一体となった全く新しい発想の店舗。
コンセプトはグローサラント。東京・調布市につくります。
グローサラント
食料品店を表す「グローサリー」に「レストラン」を組み合わせた造語。
スーパーでレストランに負けないクオリティの食事を提供しようというのです。
グローサラントはアメリカで急拡大しているスーパーの成功モデル。
原社長、現地で視察を重ねて日本でも人気になると確信したといいます。
来店客が伸びている今こそ1人でも多くの成城石井ファンをつくるとき。肉、魚、野菜のフル生鮮、物販、飲食を組み合わせた店になる。
メニュー開発責任者
そのグローサラントのメニュー開発責任者に選ばれた水野翔太さん。成城石井が運営するレストランでチーフシェフを務めています。
グローサラントは手頃な価格で高品質なものを気軽に食べられるのがコンセプト。
オープンまでに用意するメニューは30種類。急ピッチで開発を進めていました。
Le Bar a Vin 52 (ル バーラ ヴァン サンカン ドゥ)
[blogcard url="http://lbv52.jp/"]
グローサラントのオープンまで45日。この日、水野さんのいるレストラン「ル バーラ ヴァン サンカンドゥ」に原社長がやってきました。
新メニューの試食会が開かれるのです。
水野さん、80種類ほど考えた候補の中から自信作を出すことにしました。
990円で提供するというハンバーガーです。
トリュフハンバーガー。
これ目玉? トリュフ以外の特徴は?
スーパーの精肉作業室で毎日手ごね。冷凍されていない黒毛和牛を使用したパティ。
原社長、何かが気になっている様子。
目玉でしょ? これでは面白くない。ダブルにしよう。迫力がない。2枚パティを入れてボリューム感あるものに仕上げたい。
食べる前の指示。予想もしていませんでした。
実際の味は?
うまいうまい。トリュフの香りすごいね。990円で最高のやつ作って!
味は合格、しかし大きな課題が残りました。
試食会の終了後、水野さんが焦り始めました。ダブルパティにすると990円では利益が出ないことが分かったのです。
肉の原料から見直しが必要なのか。ダブルパティにしたしわ寄せは全体的にある。
原料を見直すのか、量を減らすのか、頭を抱えていました。
ダブルパティトリュフハンバーガー
オープンまで35日。
水野さんの試行錯誤の結果、ダブルパティのトリュフハンバーガーが完成していました。
ダブルパティにしたので食べ応えと肉の力強さ、黒毛和牛のうま味が感じられる。
ところで990円という価格はクリアできたのでしょうか?
実はスーパーの精肉部門とやり取りを重ねていました。
グローサラントはスーパーの調達力を使えるのが強み。パティの増量分とスーパーで売る分のひき肉を合わせることで肉が安く仕入れられたといいます。
オープンメニュー
いよいよオープンまで残りは1週間あまり。
この日、水野さんは東京・調布の新店舗「成城石井トリエ京王調布店」を訪れていました。
スーパーの売場とレストランが直結したお店。水野さんが調理をするのは初めてです。入念に器具をチェックしていきます。
作るのはもちろんあのダブルパティのハンバーガー。
ここで社長のチェックを通らなければオープンには間に合わせません。
すごいなこれ。
パティ2枚です。
水野さんの緊張が高まります。
いいです。最高においしい。
ホッとした様子。これでようやくオープンのイチ押しメニューが決まりました。
思い入れのあるメニューになった。お客様に提供するのが楽しみ。
ほかにもパスタやステーキなどのメニューも、実はここで使われている食材はスーパーに置いてあるものばかり。
グローサラントではスーパーの食材を使うことでお客様が気に入った食材をスーパーで買ってもらうという戦略もあります。
原社長は、
旬の素材はどんどん変わる。旬の素材をお客様に提案する方法としてグローサラントは有効。食の提案をしてお客様が家庭で再現するそういう使い方もしてほしい。
スーパーがレストランになる。スーパーで食事をするという新たな試みは受け入れられるのでしょうか?