[WBS] [ニッポンの素材力]「世界最強」の有田焼

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本の先端技術から生まれた新たな素材を取り上げる「ニッポンの素材力」。

今回はです。一見、何の変哲も無い器に見えますが実は世界で最も強い磁器です。

そのヒミツをあの有名な焼き物の街で取材してきました。

佐賀県窯業技術センター

日本の磁器発祥の地、佐賀県有田町。新素材はこの有田で開発されました。

佐賀県有田町、400年の伝統を持つ有田焼で有名なこの町で世界最強の磁器が誕生しました。

開発したのは佐賀県窯業技術センター。ここは焼き物に関する研究開発や技術指導を行うために作られた県の施設です。

世界最強の磁器を開発した蒲地伸明研究員。20年以上に渡って割れにくい焼き物について研究してきました。

世界最強の磁器

世界最強の磁器を受け取った大江麻理子キャスターは、

見た目も触り心地も変化はないですね。落としてみてもいいですか?

大丈夫ですね。

もう一度落としてみても割れません。無傷です。

一般の有田焼は落とすと、

やっぱりこうなりますよね。バラバラになってしまいました。粉々です。

一般の有田焼と比べて強度は約5倍。テーブルと同じくらいの高さ、約70cmから落としても割れません。

この差は何なんですか? 素材ですか?

そうですね、中には入っている「素材」が違う。

素材

一般的な有田焼は陶石と呼ばれる石で作られます。この石には骨組みとなる硬い素材(石英など)、形を作る粘土、その隙間を埋めるガラス質、この3つの素材がバランス良く混ざっています。

世界最強の磁器もこの3つの素材の組み合わせで出来ています。一番のポイントとなるのは特別な「ガラス質」です。

500回以上調合を繰り返してようやく見つけた特別なガラス質。現在、特許申請中で詳細はヒミツだといいますが、

非常に溶けやすい、接着する力が強い材料になっている。

一般的な有田焼の断面図を見ると空洞が多く、その数が多ければ割れる原因となります。一方、世界最強の磁器は空洞が少なく、しかも小さくなっているのが分かります。

特別なガラス質によってこれまでより隙間が小さくなったのです。これが割れにくいヒミツでした。

肉眼で見ても密度の違いが分かります。

世界中の磁器と比べても最も強いというこの磁器は県を上げて開発。今後はそのノウハウを県の業者に伝えます。

背景には有田焼の衰退があります。売り上げはピークの6分の1、伝統的な製品に加え、実用的なものにも製品を広げようというのです。

もうひとつの特徴

この磁器にはもうひとつ大きな特徴があります。

窯を覗いてみると、

この中は全て「世界最強」磁器ですか?

「世界最強」磁器も従来の有田焼も一緒に焼いている。

この世界最強の磁器、これまでの焼き物と同じ窯、同じ製法で作ることができます。蒲地伸明研究員がこの開発で一番こだわった部分です。

この産地は非常に小さい企業の集合体となっていて、「新しい設備投資をお願いします」というのも難しい。既存の設備でできるだけいいものを作ると。

株式会社匠

そんな中、産地で動きがありました。

有田ではまだ歴史の浅い創業31年の株式会社匠。

実はすでに一般的な有田焼よりも強い「強化磁器」というものを製造・販売しています。

現在は主に病院や学校の給食向けに販売をしています。

西山典秀社長、世界最強の磁器でさらに新しい分野に挑戦しようと考えていました。

「外食産業」関係を目指しています。強度のある素材・食器を使いたいと依頼がいま来ている。

株式会社オペレーションファクトリー

この日、西山典秀社長は付き合いのある飲食店、オイスターバー「ワーフ」にやって来ました。

この店を運営する会社、株式会社オペレーションファクトリーは国内外38店舗を展開しています。

厨房を覗いてみると皿洗いの真っ最中。

結構皿は割れる。営業が始まって2~3枚割れている。

早速、持参した世界最強磁器のサンプルを持って売り込みます。

株式会社オペレーションファクトリーの直営事業本部、泊公洋さんは、

すごいなと。食洗機を使った時もちょっと当たっただけで割れたりする。こっちの皿のほうが価値が上がり、店としての費用も下がる。

手応えを感じた西山典秀社長。

従来の病院・学校・それ以外に外食・ホテル・レストラン。これからどんどん攻めて十分挑戦できると思う。

深川製磁株式会社

そして有田焼の老舗にも動きがあります。

創業123年の深川製磁株式会社。

早速、世界最強の磁器の製造に取り掛かっていました。

深川製磁株式会社の草場薫さんは、

当然、割れにくいほうが長く大事に使ってもらえるかなと。是非とも商品化になればと思う。

完成したマグカップ。世界最強の磁器は有田焼の救世主となるのでしょうか?

蒲地伸明研究員は、

有田焼の400年。次の400年を支える素材になってくれればと期待している。

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