価格の高騰が続く野菜についてのニュースです。
いくつか食卓に欠かせない野菜を並べました。
2月末の店頭価格の平均を見てみると、キャベツは1kgで475円、白菜は389円、大根は319円と本当に高くなっています。
キャベツ | 1kg 475円 |
白菜 | 1kg 389円 |
大根 | 1kg 319円 |
これは平年と比べるとキャベツは2.5倍、白菜は2.3倍、大根は2.0倍と家計に大きな打撃となっています。
なぜここまで高くなっているのでしょうか?
2017年の夏から秋にかけて降り続いた長雨や相次いで上陸した台風、さらに最近の長引く低温で生育が悪くなったのが原因です。
このように野菜は天候によって大きく左右されるのが現状ですが、いま悪天候にも強い野菜が続々と誕生しているといいます。
そのヒミツを探りに畑で取材をしてきました。
野菜高騰の理由
神奈川県三浦市、国内有数のキャベツの産地です。
通常なら春キャベツの出荷準備で大忙しの時期ですが、進藤孝久さんは、
寒波と台風の影響で全体的に生育が遅い。
2017年秋に相次いだ台風や長引いた寒波の影響で苗が育たず2週間ほど遅れているといいます。
春キャベツに限らず、春大根もそうだし、全体的に遅れている。
一方、埼玉県越谷市。
40年間、小松菜を作り続けている栗原勉さん、ある新しい品種を使っています。
「はまつづき」といって、すごく寒さに強い品種。
寒さに強い小松菜「はまつづき」。畑を見るとこの寒さの中でも青々と育っています。
ポイントはキレイにピンと伸びた葉の軸です。
違う品種を見せてもらうと、
他の品種は冬場の寒さで凍って葉軸がパンクする。水分があるので、それが凍って膨張して割れる。
皮がむけると収穫しているときに土がついてしまう。汚れが落ちなくなり商品価値がなくなる。
皮がむけると葉を落としていかなければならず収穫量が落ちていきます。
「はまつづき」は寒さに強く、皮がむけにくくなっているので収穫量が落ちることはないのです。
今年みたいなときは収穫量が1~2割違う。異常気象のときにちゃんと小松菜を作るのが自分の仕事。不足時に安定した量を供給できるように品種は大事。
株式会社サカタのタネ
[blogcard url="http://www.sakataseed.co.jp/"]
寒さに強い小松菜「はまつづき」を開発したのはサカタのタネです。
天候に左右されない新品種の種や苗を積極的に出しています。
例えば今年、価格の高騰が目立っている白菜、寒さに強い新品種「冬月90」を販売しています。
他社の品種と育成状況を比較した畑、他社品種は寒さで葉が傷んで黄色みがかっているのに対し、「冬月90」は青々としたままです。
冬月90の種の価格は少し割高ですが、売上は1年前の2倍だったといいます。
ほかにも「寒さに強いキャベツ」や「風に強いネギ」など毎年10~15の新しい品種の種を開発。
農家に気温や気候の激しい変化に負けない品種を提供することで安定的な収穫と価格の安定にもつなげたいといいます。
相原悟野菜統括部長は、
寒さもそうだし、ゲリラ豪雨のような雨、あまり水が多いと根っこが腐ってしまう。全部ひっくるめて安定性、照っても降っても大丈夫。いろいろな品目がある中で安定的に収穫できるものが一番の強み。
農林水産省によると2016年度の野菜の新品種の登録は64件と4年ぶりの高水準。
他社も含め天候に強い品種の開発が今、実を結び始めています。