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[ガイアの夜明け] 「冬の味覚」に異状あり!~カニ・サバ...知られざる危機~(3)

2016年12月14日

「冬の味覚」に異状あり!~カニ・サバ...知られざる危機~

青森県八戸市

10月、青森県八戸市。日本有数の水揚げ量を誇るサバの産地です。

ところがそのサバに異変が起きていました。

漁業者は、

少ない。今年は。

仲買人は、

去年も悪かったけど、今年の方がもっと悪い。細いし魚が小さい。

去年に比べ、水揚げ量は約7割しか獲れていませんでした。サイズも小ぶり。

10年前、600グラムのサバは珍しくなかったといいます。しかし2015年の平均サイズは300グラムを割り込みました。

一般的に太平洋側のサバはエサを求めて日本の沿岸から北の公海へと移動します。秋に戻ってきたときがサバ漁のシーズンです。

今、その公海で大変な事態が起こっていました。

公海

日本から約400キロ離れた北太平洋の公海。水産庁の船に同行します。

日没、現場に無数の明かりが。海上で異様な光を放つ船。

その正体は「CHINA」、中国の船です。

水産庁の船のレーダーが捉えたのは、

サバを獲る中国船。

サバを狙って中国漁船が集結していたのです。

網を放ったらかしんして、引っ込んでしまった。

水産庁はこれらの船が違法に漁をしないか見張りに来ていました。

しばらくすると。船の明かりが消えました。漁船で何が行なわれているのか、高感度カメラが映し出したのは巨大な網で魚を一網打尽にする光景でした。

獲った魚が次々と船に吐き出されています。船の甲板に溢れる魚はサバです。日本の沿岸に戻ってくる前に中国が大量に獲っていました。

水産庁「東光丸」船長、橋本高明さんは、

多数の漁船が群がって、乱獲が進めば親が育つ前にどんどん絶えて、資源の枯渇へとつんがる恐れがある。

福建省石獅

中国・福建省石獅。ここは中国でもトップクラスの水揚げ量を誇る漁港です。

丁度、漁から戻った荷揚げしていました。船いっぱいに積まれていたのはサバです。

この港の実に8割がサバだといいます。サイズは小ぶり。

水揚げされたサバは地元の缶詰工場に運ばれます。この工場、元々は野菜や果物の缶詰を作っていました。鯖の缶詰を手掛けるようになったのは3年前から。

生産ラインは切り身となった大量のサバが。約70人の従業員が手作業で小さなサバを缶に詰めていきます。この工場だけで1日に9万缶を製造。

缶詰工場の林炎明社長は、

売り先は中等やアフリカだ。サバの缶詰の輸出は毎年8,000トンずつ増えている。儲けるチャンスだよ。

さらに中国ではサバを食べる人も増えているといいます。蒸したサバに、サバのスープ、そして煮込み。

サバは美容にもいいし、肌もきれいになるわ。子供が食べれば頭も良くなるのよ。

健康を気遣う中国の中流家庭にサバ人気が広まっていました。

ペットフード

サバのファンはこんなところにも。

訪ねたのは上海市内の楊桜さんのお宅。楊桜さん、1年前から2匹のネコを飼っています。そのネコたちに与えているのは、

これはサバ味のキャットフードよ。

サバを使ったキャットフード。楊桜さん、最近太り気味のネコにダイエット食として与えていました。ネコもどうやらサバがお気に入りのようです。

ネコの健康を考えて、低カロリーのものをあげるようにしているの。

中国のペットブームに乗って、こんなところにもサバの需要が伸びていました。

唐津市水産業活性化支援センター

サバを取り巻く環境が激変する中、日本でも新たな一手が。

佐賀県唐津市。昔から港町として栄えてきました。

東シナ海の豊富な漁場で水揚げされたサバ。しかし、ここ50年で漁獲量は最盛期の2割にまで激減しています。

唐津市の研究施設「唐津市水産業活性化支援センター」。

減少する一方のサバをなんとか確保しようと2年前に生まれたのが完全養殖のサバです。

生み出したのは九州大学の長野直樹准教授(45歳)。

美味しいサバが手に入らなくなったので地元から要望があった。昔からマサバの養殖は行われているが、天然の稚魚を獲ってきて大きくする。完全養殖だと天然資源に負荷をかけない。

ふ化した稚魚を3ヶ月間、水槽で育てて養殖業者に提供しています。そして養殖場で1年半育ててから出荷。

養殖で育てると400グラム以上に育ちます。

与えるエサは長野直樹准教授が独自に開発。脂の乗った完全養殖サバを商品化できました。今年は4,000匹出荷したそうです。

唐津Qサバ

市内のスーパー「マックスバリュ唐津店」。鮮魚売場には完全養殖サバが普通に売られていました。

名前は「唐津Qサバ」。九州大学とクオリティの「Q」です。

生の刺身で。シャキシャキっとして泳いでいるみたい。

完全養殖サバは実は高級魚として刺身で食べられていました。

一般にサバは生で食べるのを避けます。「アニサキス」という寄生虫が心配だからです。天然のサバは海の中で食べたエサからアニサキスに侵されることがあります。それを人間が生で食べると食中毒になる恐れがあるのです。

しかし、完全養殖のサバは生け簀で人工のエサを食べて育つのでアニサキスに侵される心配がないといいます。

板前寿司

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11月30日。長野直樹准教授が生け簀の中でサバを選別していました。大ぶりで取り分け活きのいいものを捕まえます。

そのサバを活け〆して氷に漬けます。最高の状態でクーラーボックスに入れ準備完了。

活け〆したばかりのサバを持って東京にやって来ました。

向かったのは板前寿司赤坂店。都内や海外に幅広く展開する人気チェーンです。

ここで完全養殖のサバを実際に試してもらおうというのです。

これは脂のりがいいですね。

まずは好感触。早速、捌いてもらいます。

長野直樹准教授、ここですかさずある提案を。

お造りか、握りか。

生のまま食べるのが完全養殖の売り、脂の乗った生サバの握りです。

居合わせたお客様に試食してもらうことに。

東京ではまだ出回っていないサバです。佐賀県唐津で完全養殖。

サバの新しい食べ方。

シメサバはあるけど、生のサバは初めて。

生で食べることが普通にできるようになったら消費者としてはうれしい。

まだ高価な完全養殖のサバですが、安定供給への一歩を踏み出しました。

サバの資源が枯渇している中で、天然の魚に頼らない完全養殖をやることで安定供給に貢献していきたい。

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