[ガイアの夜明け] さらば、モーレツ社員!(2)

さらば、モーレツ社員!

株式会社リクルートマーケティングパートナーズ

東京・中央区。結婚情報誌「ゼクシィ」の出版などを手掛けるリクルートマーケティングパートナーズ

女性社員は約800人。そのうち働くママ「ワーキングママ」は約130人を超えます。

職場が見渡せる場所には子供の姿があります。自分の子供を職場に招待するイベントも時々行われています。

さらに管理職を対象に新たな取り組みを始めていました。その名も「イクボスブートキャンプ」。

育ボスブートキャンプ

「イクボス」とはどういう意味かご存知ですか?

育児をするボス?

育児に理解のあるボス」です。そういうボスは部下の育成が上手。

「イクボスブートキャンプ」とは管理職がワーキングマザーへの理解を深めるための研修です。

その内容は、

午後4時に帰るワーキングマザーの生活を体験していただきたいと思います。

参加する社員は午後4時に仕事を終わらせ研修先へ向かいます。そこは同じ会社に勤めるワーキングマザーの家。そこで家事や育児を体験させてもらうのです。

山口文洋社長は、

管理職にはまだ結婚していない社員が多い。自分が親の立場になって育児をしながら働くとか、どうやって他人の気持ちを理解させるかを感じさせることがマネジメントの向上につながる。

今回、10人が参加しました。

その一人、須山翔太さん(32歳)、独身。去年、管理職に昇進したばかりです。

迷ったが意を決して参加した。

同じ部署の独身女性、桑島希さん(32歳)とペアを組み研修に臨みます。

内容が思った以上で大丈夫かなと不安になっている。

3人の娘を持つワーキングマザーが2人の研修を受けていてくれます。育児サービスの企画に携わる岩佐悦子さん(39歳)。

「子供が3人いる社員の生活を想像しろ」と言っても無理だと思う。分かってもらうことを諦めていた。

研修1日目

6月19日、イクボスブートキャンプ1回目が始まりました。

研修は全部で4回です。

ここから9時までが戦い。

岩佐さんの長女、小学1年生の美志乃ちゃん(7歳)が迎えてくれました。

初日ということでIT企業に勤める岩佐さんの夫、浩徳さん(47歳)も帰宅していました。

まずは浩徳さんと一緒にほかの子供たちを保育園から連れて帰ります。末っ子の万理乃ちゃん(1歳)と次女、心都乃ちゃん(3歳)。3人姉妹です。

桑島さん、さっそく心都乃ちゃんと手をつないで距離を縮めます。一方、須山さんは照れくさいのか手がつなげません。

午後6時15分に帰宅。

一仕事ですか?

まだ距離感が。

遊ぼうよ。何それ?教えてよブロック?

須山さん、なんとか仲良くなれるきっかけを見つけました。おもちゃ遊びで機嫌を取ります。

その頃、桑島さんは夕食の支度。

どれくらい食べるものなんでしょうか?

半分くらいで大丈夫です。

働くママの大変さを知ろうとしていました。

一方、子供たちと遊ぶことで精一杯の須山さん。家事まで気が回りません。

その姿に岩佐さん夫妻は、

先生みたい。

保育園の先生感覚なのかもしれない。

みんな揃って夕食です。

ここでも桑島さんは心都乃ちゃんの世話をします。しかし、須山さんはお客様気分が抜けない様子です。

研修2回目

研修2回目。今回から2人は役割分担を決めました。

この日は桑島さんが子供たちをお迎えに行きます。

一方、家に残った須山さん、夕食作りの担当です。

今晩のおかずはレトルトの麻婆豆腐。10分もあればできる簡単な料理です。

自炊は滅多にしない須山さん、ぎこちない手つきです。

ブロッコリーのゆで時間は10分以下。

桑島さんが子供たちを連れて帰るまでに夕食は完成しているはずでした。須山さん、完全に出遅れました。

お帰りなさいませ。

どうですか?

滞りなくやってます。多分・・・。どうするのか分からない。

でもブロッコリーをゆでたんでしょ。

こっちは何もやってない。

みそ汁の具にしたらどうですか?

そうですね。

見かねた桑島さんが助け舟を出します。

レトルトの麻婆豆腐の元に豆腐を入れます。

その頃、ママの岩佐さんはある準備にをしていました。次女の心都乃ちゃんは小児喘息。薬の吸引までは二人に任せられません。

本当の育児は大変なことがいっぱいあるのです。

午後7時20分、やっと夕食作りに終りが見えてきました。

子供たちからは催促が・・・。

結局、普段から1時間遅れの夕食となりました。

今日はいつもより遅めな感じ。8時にはお風呂に入れないと。

須山さんの手際の悪さが子供たちの生活のリズムを乱す結果になってしまったのです。

これで研修2回目が終了。早くも半分が過ぎたことになります。

メール

数日後、須山さんのもとに研修先の岩佐さんからメールが届いていました。

まだまだ育児や家事の大変さを実感できていないと感じています。次回はさらに私が何もしないという状況にしたいです。

人に頼りがちな須山さん。働くママの大変さが伝わっていないというのです。

研修4回目

7月4日、研修最後の日。

美志乃が出てくると思うので。随時連絡をください、分からなかったら。

もう岩佐さんの助けはありません。

この日はバレエ教室に通う長女、美志乃ちゃんと合流して岩佐家に向かいます。

午後5時45分、この日の夕食も須山さんが担当。桑島さんは6時半に子供たちと保育園から帰ってきます。

今度こそ夕食を間に合わせる計画です。

御飯作るから明日の準備してて。

料理に取り掛かろうとしたその時、美志乃ちゃんが、

学童のノート。

そこに置いておいてください。

明日は3時半にもう1回バレエだから、ここにはんこ押して。

ノートにバレエの時間を書き込み、印鑑を押すように頼んできました。

みじん切りをどうやるか忘れちゃった。

今日のメニューはオムライス。レトルトの麻婆豆腐より手が掛かります。

涙が出そう。

悪戦苦闘していると、

ねえ、聞いてる?

はい。聞いてます。

印鑑が押すのが遅いと美志乃ちゃんに文句を言われてしまいました。

料理再開、残り時間はあと30分です。作業はすべてスマホ頼み。

意外とフライパンさばきは上手なのですが、

電動なんですね。びっくりした。

すると、

ただいま!

大変だったよ!

桑島さんの帰宅に間に合いませんでした。すでに午後6時50分。

するとお腹を空かせた子供たちが、

蹴らないで!

兄弟喧嘩です。

喧嘩し始めると大変ですね。

桑島さん、すぐに仲裁に入ります。

予定より30分遅れで夕食ができました。

子供たちの評価は?

どうですか?僕のオムライスは?

味が・・・。

ママの味には遠く及びません。でも、

おかわり。

子供たちは全部食べてくれました。

午後8時20分、

ママ、帰ってきたって。

夕食終了の報告を受け、近所で待機していたママが帰宅してきました。

安心感。

すると岩佐さんが、

涙出そうなんですけど。

4回に渡ったイクボスブートキャンプが終了しました。

疲れました?1日の終わりには私もそうなります。それが毎日繰り返される感じ。

自宅を研修の場として提供してくれた岩佐さん。

子供たちを愛してくれたのが伝わった。子育てなども含めて追体験をしてもらえたらと思った。少しでも伝えられたら。

一方、須山さんは、

すごいなと。働くママの生活は簡単なことじゃないなと思った。今ようやく「仕事があったんだ」って思い出すくらい。

一ヶ月後の8月23日、須山さん、働く間に働くママと話していました。

弱みとか、つらい部分こそ出してほしいと思う。ワーキングマザーとコミュニケーションが取れるかがすごく重要。すごく小さいことだけど「最近元気?」とか「調子どう?」とか。

須山さん、目指すべき管理職の姿を見つけたようです。

働きにくいことはないかとか、この組織でどうやったら理想に近づけるのか。そこへ思いを馳せるきっかけは管理職が作らなければいけない。そういうことを意見し合う機会を定期的に作っていきたい。