[ガイアの夜明け] どう生きる?「シングル」社会!(2)

どう生きる?「シングル」社会!

宇根秀夫さん

8月下旬、東京・練馬。住宅街の一画にある古い木造アパート。

宇根秀夫さん(67歳)。17年前からこの部屋で暮らしています。6畳一間、家賃は3万3,000円です。風呂はありません。

白内障を患う宇根さん、日常生活ではサングラスが手放せません。

今は一人。結婚していない。

高校卒業後、音楽の道を志しましたが30代で断念、その後1人で生きることを決め様々な仕事をこなしてきました。

いつ死ぬか分からないし、元には戻れない。前に進むしかない。

そんな宇根さんの元にアパートのオーナーから一通の書類が・・・。10月末で物件を明け渡すとあります。

老朽化による建て替えで立ち退きを求められたのです。

しかし、

病気で高齢、部屋を借りるのが大変。

新しい住まいを見つけられずにいました。

立ち退き期限まであと2ヶ月。

山本遼さん

この日、宇根さんを訪ねてきた若者がいます。

山本遼さん(27歳)、

取り壊して立ち退くことになったが、行く先がないし、病気もあるし、高齢だし。住んでいる所に愛着がある。

どこでもいいという話ではないですよね。

なんとかいまの部屋の近くに住みたいと山本さんに不安を打ち明けました。

株式会社R65

東京・杉並区の賃貸住宅。その共用スペースが山本さんの活動スペースです。

R65の山本です。

宇根さんから相談を受けた山本さん、実はR65不動産という不動産会社の社長でした。65歳以上の高齢者だけに物件を紹介しています。

早速、部屋探し。

これ、1階の部屋ですか?

しかし高齢者であることを伝えると、

ダメなんですか?

厳しい。成約まで平均すると電話を200軒くらいかけている。

なかにはこんな物件もあります。

「高齢者不可」って書いてある。分かりやすく拒否されています。

山本さんは愛媛の大学を卒業後、地元の不動産会社に就職しました。そこで忘れられない出来事がありました。

80代の高齢の女性に「ここで5軒目です」と言われ、それがすごくショックだった。結果見つかったが大変で、この大変なことをやる不動産会社はないと思ったから、僕らはそこに特化してやるようになった。

山本さんの会社には毎月約40件の相談があります、その半数は一人暮らしです。しかし新居が見つかるのはそのうちの5軒ほどだといいます。

事故物件

なぜ高齢者は入居を断られるのか?

山本さん、千葉県松戸市のあるアパートを訪ねました。

迎えてくれたのはこの物件の大家、永山弘明さんです。

「事故物件」が出ると次に入れるまでが大変なのに、ほぼ入らなくなってしまう。その部屋が使えなくなってしまう。

怖いですよね。物件価値が下がるというのは。

事故物件とは入居者が亡くなるなどして貸しにくくなった部屋のこと。一人暮らしの高齢者は「孤独死」のリスクが高いといいます。

家賃が入ってこなくなる事故物件は切実な問題なのです。

大家は「貸したい」と思っているけど貸せないという。何かカバーできるといい。

賃貸住宅フェア2017 in 東京

7月25日、東京ビッグサイト。

山本さん、大家の不安を払拭するためこれまでにない対策に乗り出そうとしていました。

賃貸住宅の展示会。会場には空室対策やリフォーム相談などのブースが並びます。

来場者の多くは賃貸物件のオーナーです。

その一画に大家たちがひしめく場所があります。

皆さんが1番気になるのは孤独死とか亡くなられた後の片付け。高齢者が部屋を借りにくい理由というのはやはり孤独死。

孤独死について講演です。

健康状態や身内の有無、緊急時の対応をしっかり把握しておけば問題ない。

山本さん、こうした機会に大家の不安を解消するのが狙いでした。

高齢者を入居させるメリットも伝えます。

高齢者は長く入居してくれる。今後、空き家が増えていくが高齢者を入れることで空き室に対してリスクヘッジできる。

不安がなくなれば高齢者に貸したい、そう考える大家も少なくないようです。

ちょっと相談したい。

将来、高齢者を対象とした物件にするときは見習いたい、相談しようと思う。

NECライティング株式会社

9月11日、滋賀県甲賀市。

山本さん、高齢者の住む部屋を確保するためもう一つ手を打っていました。

やって来たのはNECの関連会社。ここは蛍光灯やLEDなど照明器具を作る工場です。

その技術を孤独死対策に応用しようというのです。

新製品の開発現場では一見ごく普通の照明器具が置かれています。

これがこう照らす。

カバーの内側には特殊なセンサーが組み込まれていました。

実はこれ、熱を感じるセンサーで住民の異常を事前に察知するという照明器具。人のわずかな動きにも反応し、インターネット回線を通して大家に伝える仕組みです。

完成したばかりの試作機を天井に見立てた場所に取り付けます。

NECライティングの冨田仁さん、

この照明のセンサーの所から、この高さだとこの辺くらいまで。

半径2メートルなので6畳間はほぼいける。

そして取り出したのはタブレット端末、

入ります。

センサーが感知する範囲に入ってみると人の動きを感知したことがタブレットに表示されました。

今度は照明の下でじっとしていると、

確認できなかったよ。

人が動いていないと異常を知らせてきました。

こういう見守りの機器があれば、何か異常があって倒れていたとしても、すぐに見つけることができる。

実証実験

翌日、千葉県松戸市。

山本さんが試作機を持ってある場所を訪ねました。

ここで試作機の実証実験をさせてもらうのです。実際の部屋でどう反応するのか?

早速、天井に取り付けます。

いま検知範囲に入っているので。

無事、人の動きを捉えました。「確認したよ。」のメッセージが表示されます。

「孤独死が怖いけど、私は準備している」という大家が増えるといいなと思う。

大家の永山弘明さんは、

安全弁は広く部屋を貸し出すためにいいと思う。

来年春の発売を目指して今後、さらに改良を重ねていきます。

ここの大家、永山さんも設置を考えてくれることになりました。

宇根秀夫さん

東京・練馬のアパート。ここで17年間一人暮らしをしてきた宇根秀夫さん(67歳)。

建て替えのため10月末までの立ち退きを求められていました。

しかし、

病気で高齢、部屋を借りるのが大変。

新居が見つからないのです。

高齢の宇根さんに新たな住まいを探すR65不動産の山本さん。

ダメなんですか? 難しいんですね。

立ち退きの期限が迫る中、ついに動きがありました。

引っ越し

9月4日、東京・練馬。

17年間住んだアパートから立ち退きを求められた宇根さん。

高齢者に理解のある物件になんとか巡り会えたのです。

6帖から4畳半へと狭くなりましたが前の家から歩いて1分。これまでと同じ暮らしを続けられそうです。

部屋を見つけてくれたのは山本さん。高齢者専門のR65不動産を経営する若者です。

収納スペースがだいぶ多かったんですね。

山本さんの存在は大きかった。他の業者さんだったら決まっていなかった。

そう言ってもらえるとめちゃくちゃうれしい。

山本さんの取り組みが一人暮らしの高齢者に新たな可能性をもたらそうとしています。

単身高齢の人が借りにくいと言われることがなくなってきて、「R65不動産」という言葉がなくなる世の中が僕らにとっても幸せ。