日本人の死亡原因の第2位は心臓病ですが、その中で近年増加しているのが心臓弁膜症です。
最新治療を取材しました。
小倉記念病院
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福岡県にある小倉記念病院。
この病院に入院する70代の中野美智子さん。
2年ほど前から心臓に違和感を感じていました。
胸のドキドキが始まって、胸がキュンとしたり、何もできない。
この日、医師から病状の説明がありました。
弁が外れている。血流が逆流している。
これは中野さんの検査動画、正常な場合は弁がきちんと閉じていますが、中野さんの場合、弁がずれて閉じていません。
これは心臓弁膜症といわれる病気です。
中野さんはその後、治療を受けて症状が改善したといいます。
心臓弁膜症
心臓には血液の逆流を防ぐための弁があります。
心臓弁膜症はこの弁の機能が低下する病気です。
弁の機能が低下すると血液が十分流れなくなり、さらに血液が逆流し、全身に行き渡らなくなります。
心臓病は日本人の死亡原因の第2位。
中でも心臓弁弁膜症の患者数は200万人~300万人いるといわれています。
主な原因はコレステロールの高い食事。
老化による心臓機能の低下。
さらに虫歯などによる菌の感染も原因と考えられています。
動機や息切れなどの症状が起こることがありますが、症状が出ないまま重症化することもあります。
東京ベイ・浦安市川医療センターのハートセンター長、渡辺弘之医師は、
症状がないまま進行するところが心臓弁弁膜症の怖いところ。
気づかないうちに進行する恐ろしい病「心臓弁弁膜症」。
その治療の最前線を追いました。
クリップデリバリーシステム
心臓弁膜症を患う80代の小松美雪さん(仮名)。
通常、胸にメスを入れ悪くなった弁を取り替える手術を行いますが、小松さんは高齢のため手術をうけることができません。
そこで体に負担が少ない最新の治療を受けることになりました。
お願いします。
治療が始まりました。
クリップデリバリーシステムの準備をします。
医師が準備をしたのはクリップデリバリーシステムと呼ばれる最新の治療機です。
先端には1.5センチの小さなクリップが付いています。
動作をチェックします。
この器具は手元で操作してクリップを開封させる仕組みです。
患者の足の付け根の静脈から心臓まで通していきます。
いくよ。
いよいよクリップの出番です。
クリップを下ろします。
医師がモニターを見ながらクリップを操作していきます。
治療するのは僧帽弁と呼ばれる心臓の弁です。
足の静脈から通した治療機を心臓の中まで通していきます。
そして閉じなくなった弁をクリップではさみます。
クリップではさみ弁と弁の隙間を狭めることで血液の逆流が改善されるのです。
クリップは体内に残したままにしておきます。
クリップを閉めます。
手元のダイアルを回しクリップで弁をはさみます。
今、弁をつかんでいます。
クリップが固定されました。
はい、OK。
治療は通常2時間ほどで終了するといいます。
この治療は4月から保険が適用され治療費は3割負担で約80万円です。
これは別の患者の心臓の動画。
色の付いている部分が血流を表しています。
治療前、逆流していた血液が治療後は殆ど無いのが分かります。
小倉記念病院循環器内科部長、白井伸一医師は、
高齢化など今まで手術できなかった患者に、体に負担が少なく、心臓を止めずに短い入院期間で治療できる。それが一番のメリット。
経食道心江エコー
症状が現れにくい心臓弁膜症を正確に診断する新しい検査が登場しています。
40代の森田順子さん(仮名)、体調不良のため検査を受けてみると、心臓弁膜症が見つかりました。
すごくショックだった。その日は泣いた。「なぜ自分が」という思いがあった。
この日、詳しい心臓の状態を調べるため検査を受けることになりました。
検査に使うのは経食道心江エコーと呼ばれる器具。
胃カメラのような形をしていますが先端には超音波の検査装置が付いています。
検査が始まりました。
胃カメラと同じように口の中に入れていきます。
これまでは体の外から超音波を当てていました。
心臓との間に皮膚や筋肉、骨などがあるため鮮明な画像を得ることが難しかった。
新しい検査は食道の中から超音波を当てるため邪魔をするものがなく鮮明な画像を映し出すことが可能になりました。
先端の検査装置が心臓の辺りまで到達しました。
すると心臓の弁の様子が映し出されました。
終わります。
検査は10分ほどで終了しました。
検査費は3割負担で4,500円。
すぐに検査結果が伝えられました。
検査では心臓にある弁の一つを超音波で撮影しました。
弁を真上から見ると悪くなった部分が濃い色で映し出されています。
東京ベイ・浦安市川医療センターのハートセンター長、渡辺弘之医師は、
経食道心エコーは小さな変化を捉えることができる。正確な診断ができる。特別な薬も使用しないので有用性が高い。
自覚症状なく進行する心臓弁膜症。
定期的に検査を受けることが重要です。