[WBS] 大磯プリンスホテルが大改装!なぜ「西武」は復活したのか!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

今から13年前の2004年、有価証券報告書の虚偽記載問題をきっかけにして、当時の西武鉄道は上場廃止に追い込まれました。

西武グループはアメリカの投資ファンド、サーベラスグループから巨額の出資を受けて再建の道を歩み始めます。

その経営のトップに就いたのがメインバンクからやってきた後藤高志氏です。

今月、サーベラスが西武ホールディングスの全株式を売却し、11年に及ぶ資本関係に区切りがつきました。

後藤氏は外資系ファンドとどのように付き合い経営の立て直しを実現したのでしょうか?

WBSの単独インタビューに応えました。

大磯プリンスホテル

神奈川県にある大磯ロングビーチ。今日も家族連れで賑わっています。

このプールの後ろにそびえ立つ大磯プリンスホテルが先月、リニューアルを終えました。

大磯プリンスホテル 営業リーダー、尾上大介さん、

「夏といえば大磯」というイメージが強かったが、通年型のリゾートとして生まれ変わるべく新たな施設を作った。

7月15日にオープンしたこの施設。老朽化した宿泊棟を取り壊し温泉スパ施設「サーマル スパ エス ウェーブ」に様変わりさせたのです。

3階には大磯温泉を源泉とした温泉フロアがあります。

そして4階に上がると相模湾を一望できる温水プールがありました。

水面と一体化したような縁のないプールになっている。実際に入ってもらうと海に入っているような浮遊感を味わえる。

またこのフロアでは岩盤浴やフィンランドサウナなど4種類のサイナを楽しむことができ、さらに人工雪を降らせて体を冷やすアイスルームまであります。

客室も全てリニューアルし、いままで青色の絨毯などで夏をイメージさせていたものを、1年中楽しめるように落ち着いた色に統一したといいます。

常連客は、

毎年来ている。

「リニューアルして、どう感じる?」

びっくり。想像以上のリゾート感。

不採算のホテルを閉鎖した一方、大規模な改装を進めたことで西武ホールディングスのホテル・レジャー事業はここ最近、大きく利益を伸ばしています。

後藤社長が語った・・・なぜ「西武」は復活できたのか!?

西武ホールディングスの後藤高志社長。

アメリカのサーベラスが保有する株式をすべて売却したあと初めてインタビューに応じました。

経営改革をやっていく中で彼ら(サーベラス)のサポートには感謝している。

10年後をめどに連結営業収益を現在の倍近い1兆円に伸ばすことを目指す西武ホールディングス。

これまでには数々の険しい道程がありました。

2004年、旧西武鉄道は有価証券報告書の虚偽記載により上場廃止に追い込まれました。

グループの借金である有利子負債は約1兆4,000億円まで膨らみ、多くの不採算事業が赤字のまま放置されていました。

西武王国に君臨し続けてきたカリスマ経営者、堤義明氏の後任として西部の再生を託されたのが当時のメインバンク「みずほコーポレート銀行」の副頭取だった後藤氏です。

朝の来ない夜はない。従業員の皆さんと心に刻んでやっていきたい。

復活の鍵となったのが、企業価値の向上コンプライアンス体制の確立という目標を一貫して守り抜く姿勢だといいます。

目標を設定したら、それに向かって一心不乱に努力すると、大浜さんとは就任当時からの付き合いですけど、西武に来た初日と今こうやって話している後藤という人間は変わっていないんじゃないか。

2005年に西武鉄道の社長に就任した後藤氏は全国にある事業所をくまなく周りました。

レイクサイドパーク宮沢湖

当時放送されたWBSの映像です。

埼玉県飯能市の宮沢湖にあった「なかよし動物園」。そこにいたのは本物の動物ではなくコンクリートで再現された動物でした。

エサ代もかなりかかるし・・・。ニセモノで我慢してもらう。

後藤氏は、

あの施設は結局廃止した。あのときの一緒に行ったワールドビジネスサテライトの取材でがくぜんとした。

資本関係と事業のシナジー(相乗効果)がバラバラだった。個々の企業が良かったとしてもグループ全体にとって最適でなければダメ。

西武ホールディングス

2006年には持ち株会社の西武ホールディングスを設立。

祖業の鉄道事業とホテル、レジャー、不動産などの連携を進め、グループ内で事業の選択と集中を進めることで「西武ブランド」の再生を目指したのです。

非上場となり市場から資金を調達できない西武に約1,000億円を出資し、株式の3割を持つ筆頭株主になったのが投資ファンドのサーベラスです。

当時、金融機関は不良債権問題で厳しい状態だった。あの当時、1,000億円という資金が入るというのは私にとって助かった。その資金でいろいろなバリューアップ(企業価値の向上)ができた。

龍宮殿本館

眠っている資産に磨きをかけ、新たな顧客を獲得するための攻めの動きもあります

箱根・芦ノ湖にある龍宮殿本館。老朽化のため2012年に営業を中止していました。

プリンスホテル箱根芦ノ地区事業戦略リーダー、稲葉健二さんは、

今回、日帰り温泉入浴施設としてオープンした。

元々20部屋の高級旅館でしたが日帰り温泉施設としてリニューアル。女性専用の大浴場を作り箱根の日帰り客を取り込もうという狙いです。

今日は霧のため景色が分かりませんでしたが、晴れると芦ノ湖や富士山を眺められるといいます。

サーベラス

グループの資産の有効活動で改善が進む一方で、サーベラスと西武の足並みが乱れた場面もありました。

最大の危機は2013年。西武ホールディングスの再上場を巡って、これまで経営計画に協力的だったサーベラスの態度が一変。西武電鉄の不採算路線の廃止やプロ野球球団の売却。

後藤社長や経営者の刷新を求め対立姿勢を鮮明にしたのです。

当時、サーベラスのルイス・フォスター氏は、

ガバナンスに重大な問題がある。

サーベラスは高い価格での再上場を狙って、さらなるリストラを要求して敵対的TOB、株式の公開買付けに踏み切りました。

しかし後藤社長は企業価値を損なうとして真っ向から反応。

鉄道の沿線住民やホテルの顧客が西武側を支持しTOBは不発。

西武ホールディングスは2014年に東証1部に再上場を果たしました。

不祥事で上場廃止になったわけだから一貫してきたのはフェアな上場。会社法、金融商品取引法、東京証券取引所の上場ルール、グレーな解釈を強要しての上場は絶対にダメだとずっと主張し続けてきた。

ステークホルダーの皆さんに対してのサービス向上は精力的にやってきた自負がある。

そしてかつての筆頭株主だったサーベラスは8月10日、所有していた西武ホールディングスの株式を全て売却しました。

後藤社長が考える「企業再生のカギ」とは何なのでしょう?

透明性や公正性、課題・目標に努力を惜しまない。グループの社員が一丸となって目標に突き進む。そういう組織風土をつくることが大切。