普段、病院で処方箋を受け取ると調剤薬局で薬を出してもらいますが、この薬代がどんのような内訳になっているかご存知ですか?
実は同じ病気、それから同じ薬であっても買う場所によって支払う金額に差があります。
秋のレビューで薬代についての議論がありました。
「調剤薬局」でもらう明細を理解していますか…?
突然ですが、薬局でもらう明細をちゃんと読んでいますか?
あんまり見ないな。毎月決まった額だから。
金額の内容は見ていないです。内訳もらっていますよね。領収書と一緒に入っていると思いますけど。
知ってはいるけれど、あまり関心はなさそうです。
薬局でもらう明細書を見てみると薬代以外にも調剤に掛かる費用が入っています。
実はこの調剤技術料、薬を病院内で処方される場合と薬局で処方される場合で患者さんが支払う額が変わります。
3週間分の同じ薬を処方された2枚の明細書。
病院内の場合は合計17点。
一方、薬局の場合は合計111点。さらに薬局で買う場合、病院で受け取る処方箋の費用も患者さんが負担するので自己負担額は3割負担の場合で500円余り高くなります。
病院の内と外で違う薬代。
知っていたか再び街の人に聞いてみます。
それぐらい薬剤師だったらもらってもいいんじゃない。
院内でやってくださるんだったら、それにこしたことはない。
もうおまかせだから頭使いたくない。
「薬代」…院内と薬局でなぜ違う?
どうして院外処方、調剤薬局で買う薬代が高くなるのか?
先程の事例でポイントをまとめました。
まずは院内処方について、病院で薬を買う場合です。
調剤技術基本料、つまり薬を処方するための基本料金は80円と決められています。そして調剤料も90円と固定されていて、どれだけたくさん処方してもこれは変わりません。
一方、院外処方の場合は調剤技術基本料が410円と定められています。ただ調剤料は今回の場合は700円ですが、調剤する日数や薬の量で変わる仕組みになっていて多く処方するほど増えていきます。
院外処方の場合の方が高くなるのは薬局の役割にあるといわれています。
それは医薬分業による「Wチェック」です。
1人の患者さんが複数の病院や薬局で薬をもらうケースも多いといいます。その場合、薬が重複されていないかどうか、飲み合わせが大丈夫なのかなど薬剤師という専門の立場が安全性を高める、いわば「サービス料」に近いものが入ってきているということです。
そして、もうひとつ高くなる理由があります。
病院は診察と調剤をします。この2つの報酬で病院の経費を賄うことができます。
薬局は調剤報酬のみで経費を賄う必要があります。ですので基本料金などが高く設定されているといいます。
ただ、こうしたお金は患者さんの負担になるだけでなく国の財政負担にもなっています。
調剤報酬の見直しで…1.6兆円の医療費を削減できる!?
有識者が政府の予算に無駄遣いがあるか、公開の場で検討する「秋のレビュー」。
院外処方のコストの高さが議題に上がると驚きの声が相次ぎました。
日本総合研究所の河村小百合上席主任研究員は、
ぎょっとすると思う。こんなにたくさん余分に払っていたのかと。
一橋大学の佐藤主光教授は、
院外処方だと調剤報酬で上乗せされている。どういうことなんだと誰でも不思議に思いません?
これが無駄遣いじゃないかという声も…。
津田塾大学の伊藤由希子准教授は、
院内と院外、この手数料の差額がなければ単純計算で1.6兆円もの医療費が減る。
医療費が約42兆円を超える中、専門家からは院外処方の見直しで1.6兆円もの医療費の削減ができると意見も。
これに対して医薬分業を進めてきた厚生労働省は、
薬局の場合はしっかり処方を監査したり、専門性を生かしたダブルチェックという点で差がある。
現在の制度が国民の利益にもつながっているともしています。
仮に見直されれば打撃を受けるのは薬剤師。
業界団体の日本薬剤師会の山本信夫会長は、
高いか安いかという議論で「下げろ」というのは誤解がある。隠れた部分も薬剤師の仕事として評価していただかないと。
「薬剤師の生活や待遇にも直結する?」
それは極めて大きい。薬剤師の仕事が不適正な評価をされるということになる。
業界団体が反対する中、院外処方は変わるのか?
来年度の予算編成に向け議論は今後激しさを増しそうです。