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[WBS]"大転職時代"で制度に課題!年金資産 112万人放置の実態

ワールドビジネスサテライト(WBS)

企業が掛け金を支払い、従業員の年金に充てる企業型確定拠出年金について、運用されずに放置状態にある資産がおよそ112万人分、総額2,600億円に上ることが11月2日に明らかになりました。このまま放置されれば手数料などで試算が目減りする状態にあるといいます。取材を進めると転職が当たり前となった今の時代に制度が追いついていないその実態が見えてきました。

年金資産112万人放置の実態
転職が思わぬ引き金に!?

都内の卸売会社で働く寺尾さん、いま後悔していることがあるといいます。

卸売会社 会社員
寺尾公宏さん

知らない人は損をする。
自分の責任だな。

損をしてしまったと語るのが企業型確定拠出年金。厚生年金などの公的年金に上乗せで加入するものです。

企業が掛け金を支払い、従業員個人が運用方法を決められるもので運用次第で将来受け取る年金の額が変わります。

現在およそ780万人が運用しています。

寺尾さんも以前働いていた会社で運用していましたが、転職したところ…

卸売会社 会社員
寺尾公宏さん

転職先には企業型はなかった。

転職先の企業がこの年金制度を導入していればこれまで運用してきた資産をそのまま移すことができます。

しかし、寺尾さんの場合、転職先の企業で導入していなかったため、試算は自動的に国民年金基金連合会に移ってしまいました。

この場合、移した際に4,000円を超える手数料がかかるほか、資産を維持するために毎月52円かかります。

一方、資産自体は運用されません。

老後を支えるはずの年金資金は増えず、逆に減り続けることになります。

寺尾さんの場合、5年前に個人型確定拠出年金(iDeCo)に切り替えましたが、15年間年金資産は塩漬けになっていました。

卸売会社 会社員
寺尾公宏さん

もったいなかった。今考えれば。
15年で株もだいぶ上がっているので運用していればよかったのかと正直思う。

年金資産112万人放置の実態
「制度が時代遅れ」「個人も責任」

このように年金資産が運用されずに塩漬けとなっている人がいま増えているといいます。

国民年金基金連合会によるとその数はおよそ112万人。5年前に比べ1.5倍に増えました。

資産の合計額はおよそ2,600億円に達します。

急増している背景について企業型確定拠出年金の導入を提案する保険会社はこう指摘します。

保険会社

人材の流動性が高まっているうえ、企業型確定拠出年金を整備する余裕がないスタートアップに転職する人が増えている。
そういう人は適切な手続きを取らないといけないのに手続きの必要性が周知されていない。
制度が時代遅れになっている。

一方で専門家は企業が説明責任を十分に果たしていないとしつつも資金を運用する責任は加入者個人にあると指摘します。

ファイナンシャルプランナー
塚越菜々子さん

そもそも企業型確定拠出年金が会社の制度なので、自分が関係あることを知らない人も実は結構多い。
自分の給料から天引きされていないので知らないということがよく起こる。

入社した際、説明が不十分で制度の中身を全く理解しないまま加入しているケースが多いといいます。

特に専門の担当者がいない中小企業などで書面を配るだけになってしまうことも。

こうした年金制度の理解不足から年金資産が適切に運用されず、眠り続けることにつながっているといいます。

ファイナンシャルプランナー
塚越菜々子さん

もしかして国民年金基金連合会に預かりになってしまっているかもしれないと転職したことがある人は全員思った方がいい。
退職時に何をすべきかきちんと考えておく必要がある。
自分の資産は自分で守る必要性がある。

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