[WBS] 身近な鎮痛剤で中毒!アメリカ経済にも影・・・!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

クルマの中で男性と女性が気を失っている写真。座席の後ろには孫が乗っています。

これは薬物中毒によるものです。

2016年、アメリカ・オハイオ州の警察が広がる薬物中毒に警鐘を鳴らそうと公開に踏み切った写真です。

アメリカで何故、この薬物中毒が蔓延しているかというと、オピオイド鎮痛剤という医師が処方する身近なクスリが原因のひとつだと指摘されています。

アメリカ経済にも打撃を与えかねない事態にトランプ大統領も動き出しました。

薬物汚染

わが国は今、歴史上最悪の薬物汚染に直面している。われわれはあらゆる努力をして、この危機に立ち向かわねばならない。

2017年10月、トランプ大統領がオピオイド中毒の非常事態を宣言。

アメリカを蝕む薬物汚染に強い危機感を示しました。

オピオイド

オピオイドとはケシの成分などから作られた加工物で鎮痛剤として使われています。

日本では医療用麻薬に指定されガンなどの痛みの緩和に使われます。

しかしアメリカでは腰痛など慢性的な痛みにも処方される身近なクスリ。

2016年には薬物の乱用で約6万3,000人が死亡し、その3割近くにオピオイド鎮痛剤が関連しているのです。

ドナ・ディーボさん(36歳)

オハイオ州は全米でも薬物中毒死の割合が多い場所です。

去年までオピオイド中毒だったある女性を訪ねました。

4人の子供を育てるドナ・ディーボさん。

きっかけは17年前、長女を妊娠していた時の自動車事故。

その時に負った背中のケガと出産後の痛みを抑えるために処方されたのがオピオイド鎮痛剤でした。

最初は中毒が怖くて飲むのを控えた。でも高揚感に満たされる感覚に気付き、処方されたクスリを飲み切って2~3週間後には路上で買うようになった。

1日に3錠のはずが12錠も飲むように・・・。

それでも物足りなくなりヘロインやコカインにも手を出しました。

薬物を買う金欲しさに窃盗に手を染め、2017年についに逮捕されてしまったのです。

社会復帰を目指して治療中のディーボさん。

長女(17歳)は当時の悲惨な生活を振り返り、こう語ります。

あの頃は何百万年が経ってもこんな日が来るなんて思えなかった。

今、母は溶接の勉強を始めたけど本当に変わったし、うれしいわ。

子供たちの存在はとても心強いわ。彼女たちのためにも何としても職に就きたいのです。

職業訓練学校フライングハイ

ディーボさんが溶接技術を学ぶ施設には他にもオピオイド中毒と戦う人がいました。

ある男性は勤めていた鉄工所でのケガでオピオイド鎮痛剤を処方されました。

結婚生活はめちゃくちゃになり、給料が良かった仕事も失った。オピオイドは悪魔としか言いようがない。

ディーボさんはクスリを断って1年、

ちょっと良い出来じゃない?

いいね!まだ甘いけど。

しかし、13人いた生徒は3ヶ月足らずでわずか5人に・・・。

薬物を断ち切るのは簡単ではなく、経済に暗い影を落しています。

パウエル次期議長

アメリカの中央銀行「FRB」までもが警鐘を鳴らしました。

2017年11月、FRBのパウエル次期議長は、

例えば「25~54歳の男性」の労働参加率は60年もの間、下がり続けている。

これは「オピオイド危機」が関係している。

オピオイド中毒が広まった原因

それにしてもアメリカで何故ここまでオピオイド中毒が広がったのでしょうか?

専門家は製薬業界の販売手法に問題があったと指摘します。

薬物問題に取り組むジョージ・エリス医師は、

かつて製薬業界はオピオイド鎮痛剤を売り出す時に、「安全で効果があり、しかも依存性が低い」と宣伝したのです。また医者の中には稼ぎのために処方箋を乱発した者もいました。

MURSIC(マーシックス)

オピオイド鎮痛剤を入り口に普通の人が麻薬にまで手を出す事態に、実際に企業も対策を余儀なくされています。

この自動車部品メーカーでは3年前から従業員向けの薬物対策を強化しています。

きっかけは「ある事件」でした。

宇井五郎記者、

工場の端っこですが、裏口を出た場所でスタッフが麻薬の取引をしていたと。

採用試験で実施した薬物検査ではこんな事例まで・・・。

こちらは尿の温度が異常でした。検査逃れで他人の尿を使ったのでしょう。

多い時には1割が薬物検査で不合格になるといいます。

ある試算によるとオピオイド中毒による経済損失は56兆円。

トランプ大統領が緊急事態を宣言したものの予算の手当はなく具体的な対策はまだ見えません。

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