廣山美佐雄さん
茨城県行方市にある県の指定文化財、大塲家住宅。
築350年、立派な茅葺き屋根のお屋敷です。
この茅葺き屋根を作る職人さんが黄綬褒章を貰ったということで、作業中の若者に聞いてみると
「黄綬褒章をもらった方がいるって…」
はい、います!親方!
親方と呼ばれるこの方が2015年春の受賞、廣山美佐雄さん。
「お歳は?」
84歳です。
茅葺き職人歴60年で今月85歳になります。
この日は屋根の屋根のある部分の修理です。
茅葺き屋根
一般的な茅葺き屋根は竹で組んだ屋根の骨組みの上に、茅と呼ばれる草を何層にも積み重ねたものです。
今回は、その茅をまるごと取り替えるのではなく、表面の傷んだ部分に新しい茅を足して修復する「差し茅」という手法らしいです。
年も年なんで廣山美佐雄親方、下からお弟子さんに指示するだけ。
と思いきや、するするとハシゴを登る。これは凄いと思ったら、いつの間にか二人のお弟子さんより高いところに上がって作業しています。
もう一度いいますが、もうすぐ85歳です。
登った以上はやる!これ一番肝心なところ。
その肝心な作業を見せてもらうと、新しい茅を古い茅の下に差し込む。
そして新しい茅の上に杉の皮を入れて、さらに茅を差し込む。
この繰り返しです。
結局、茅葺き屋根は草だから、どういう風に葺けば雨が入らないようになるか。
差し茅の一番のポイントは、場所によって表面の痛み方が違うから、その都度、茅の量を調整しながら差し込んで全体の密度を均一にするところです。
でないと、密度の薄いところに雨が溜まりやすくなって、痛むのが早くなるそうです。
紐などは一切使わず、ひたすら茅と杉の皮を差し込むだけ。
まさに匠の技が要求されるのです。
修行4年目の岡野さん(31歳)は
廣山の頭の中では屋根の完成図ができている。それに合わせてやっていくので、ものスゴく早い!
お弟子さん曰く、他の職人さんの2倍のスピードで茅葺きを終わらせるというからスゴいです。
特技
休憩中に廣山美佐雄さんの特技を見せてもらいました。
立ち上がって、前屈。手がペッタンとつきます。柔らかい!
何度も言いますが、もうすぐ85歳です。
だから怪我しない!
なるほどです。
今回の仕事の依頼人、大塲家17代目当主の奥様、大塲律子さん。
天皇陛下から黄綬褒章を賜った素晴らしい方だと思って。
ですよね。
最後に長バサミで余分な茅をカットして、ガギ棒と呼ばれる板で表面を叩いて均すと完成です。
作業前、荒れ放題だった茅葺き屋根が、見事に蘇りました。
今回の修復で40万円。
まさに黄綬褒章の技です。
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