星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
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冬景色に染まった青森県十和田市。
奥入瀬渓流ホテルの総支配人、宮越俊輔さん(43歳)。
冬の営業に向け、周辺をチェックして回っていました。
バスが運休ですね。
ここまで来るJRバスは春まで運休。
風が強い。
この季節、十和田湖の奥入瀬渓流側には人影がありません。
どんよりした感じが寂しい。
周辺の食堂や店も冬は閉まっています。
厳しい。ここも閉めているんですね、雪が入らないように。
まさに冬眠状態。
そんな中、営業をしている店がありました。
冬も営業しているんですか?冬は毎年どうですか?
ガクっていう感じ。夏と秋の忙しさは何だったの。
宮越さんが冬の営業を始めることを伝えると、
助かります。お客様が流れてくると思うので。
奥入瀬には年間200万人を超えるお客様が来ます。しかし冬のシーズンはその1割ほど。
次に向かったのは、
これが観光資源だから見てもらいたい。
馬門岩、迫力のある岩肌で人気の場所です。よく見ると小さなつららが。
カーテンのように氷がザッとできてくる。
これがもっと寒くなると美しく成長していくといいます。
地元のガソリンスタンドのお父さんがきれいだから写真を撮っている。
地元の方はここの良さを知っているが、遠方から来る人にどうやって伝えるか。
奥入瀬には10本以上の滝があります。
その滝が冬に凍る姿を氷瀑といいます。
氷の中に滝が流れているような感じ。氷瀑がすぐ近くで見られるのは魅力的。
冬に奥入瀬渓流を見に行く旅行を今、誰も思っていない。まずは知ってもらって旅行のチョイスにあがること。
冬にしか見ることのできない絶景。
客寄せの目玉にしようとしていました。
氷瀑
12月初旬、冬の営業開始まであと2週間。
実は今回の挑戦、宮越さんが何年も掛けて星野代表に直談判。
やっと実現にこぎつけたのです。
しかし、冬に開業することをほとんど知られていないため予約が芳しくありません。
代表からも気をつけろよと何度も注意されている。
これは結構プレッシャーです。
そこで集客の手段としてとっておきのプランを実行に移します。
「氷瀑の湯」、印象に残る風呂として口コミで広がれば理想。
それが氷瀑の湯。
奥入瀬の冬の絶景である氷爆を露天風呂に作ってしまおうという大胆なアイデアです。
宮越さん、この構想を2年前から温めていました。
すでに露天風呂にはその準備が…。
網目状の壁にノズルから水を噴射。自然の寒さで凍らせて人工の氷爆を作ろうというのです。
ゼロからつくるのは相当難しい。
その氷爆づくりを任されたのがホテルのメンテナンス担当、
確認オッケーです。
青森で生まれ育った松林政弘さん(59歳)です。
氷爆つくり
12月5日、氷爆つくり開始。
気温が下がらず、この日まで着手できなかったのです。
スタートでつまづきました。
どういうふうにできるのかが一番の心配。
奥入瀬の気候を熟知した松林さんですが、気温によって凍り方が変わるため水量の微妙な調整が必要なのです。
さらに厄介なのが風と温泉の湯気。
冬の営業開始まであと11日。
まだ薄い氷しか張っていません。
レストラン
その頃、レストランでも動きが。
エントランスにはお客様を向かい入れるリンゴセラーが作られていきます。
料理は他のシーズン同様、ビュッフェ形式。
しかし、初めての冬のメニュー。盛り付けを華やかに。
リンゴの森コーナーではデザートの畑が広がるイメージです。
従業員にとっても全てが初めて、本部から指導官がやって来ていました。
全国の星野リゾートを知る料飲統括ユニットの野秋国弘さん。
宮越さんも率先して動きます。
早速、本番を想定した訓練。
まずはお手本やりなさい。
最初に背中をみせるんだよ!すごいんだよというのを。
リーダー格の従業員にも厳しく指導をします。
こちらのリンゴセラーには1,800個のリンゴが保管されています。実際のお料理にも使用されています。
他のシーズンに比べ火を通して出す料理が多く、手際の良さが求められます。
見た目にもこだわるため、補充にも手間がかかっている様子。
早く早く急いで。この動作が遅いとお客様が待ってしまう。待たせないように。
すぐに反省会。
スピードが圧倒的に遅い。これからフルにお客様が入ったら追いつかない。
手際の悪さに強烈なダメ出しが…。
貝焼きのクオリティーが低い。
特訓だからね、あのクオリティーだったら名物にならない。
徹底した指導が続きます。
毎年、冬の間はバラバラになっていたスタッフたち。
チームワークを見せられるか。
氷瀑の湯
奥入瀬に本格的な冬がやってきました。
あの氷瀑の湯は気温が一気に下がり、着実に育っていました。
ところが大変な事態が…。
その後、寒さが緩み氷瀑が溶け出したのです。
結構焦りますね、これは。
そこで松林さん、日中は水量を減らし、冷え込む夜間に増やす作戦に。
徹底したした水量の調節で氷瀑の完成を目指します。
オープン当日
12月16日、冬の営業オープン当日を迎えました。
ギリギリまでお客様を向かい入れる準備が進められています。
午後3時、青森駅から2時間を掛けて1台目のバスが到着しました。
記念すべき最初のお客様です。
初日は約6割のお客様が入りました。
ウエルカムドリンクは地元のリンゴで作ったサイダー。
お客様のお目当ては、
ホームページを見て、今日から氷瀑が見られる温泉がある?
徐々に凍り始めているので。
お風呂の氷が楽しみです。
肝心の氷瀑の湯を見てみると、まだ完成していませんでした。
全体が凍りつき露天風呂から触れるほどせり出すにはもう少し時間がかかりそうです。
しかし夜になるとライトアップされ幻想的な世界を作り出していました。
入った人は、
すごかった。雪のお風呂に入っているみたいだった。
良かった。氷はまだ3分の2くらいだったけど出来上がったらすごいだろうなと。
夕食の時間、ダイニングは一気に賑わいだします。
スタッフも新しいオペレーションで動きます。
訓練を重ねた地元産のホタテの貝焼き。一番美味しいタイミングでお客様に提供することを求められていましたが、
ホタテがおいしい。
バスツアー
夕食後、ラウンジでは、
同じ場所の写真、今見られるのはこんな写真。
翌日、朝一番でその風景を見に行きます。
宿泊者なら誰でも参加できるバスツアーです。
主役は左側です。お待たせしました。
1ヶ月前、小さなつららしかなかった馬門岩には見事な氷のカーテンが出来ていました。
すごい。
全員がカメラマンに。
凍ったつららの上に雪が降り積もり、まるでクラゲのよう。インスタ映え間違いなしです。
いいですね。普段見ることがないので
参加したお客様は冬の奥入瀬を楽しんでいるようです。
そしてもうひとつの目玉へ。
滝が凍る氷瀑です。
周辺から凍り始めていました。
2月の声を聴く頃には見事な氷瀑が見られることでしょう。
星野リゾートの影響
星野リゾートが動き出したことで、ほかも動き始めていました。
冬の間は運休していたJRバスが土日限定で運行することになったのです。
東京・飯田橋にある青森県のアンテナショップ「あおもり北彩館」。
この日、新たなポスターが届いていました。
青森観光の横綱、ねぶたの横に冬の奥入瀬が並びます。
さらに十和田市も氷爆などを回る夜のライトアップツアーの準備を進めていました。
氷の透明感がよく表現できている。
奥入瀬が冬の魅力をアピールし始めています。
総支配人の宮越俊輔さんは、
まずはホッとした。今、グリーンシーズンと紅葉はすごく人気があるが、冬のその個性に全然負けていない。冬の奥入瀬の自然の美しさを見に行く旅行を、ひとつのカテゴリーとしてつくっていければと思っている。
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