ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS] 子どもの声は「騒音」か?ドイツの「驚きの解決策」とは?

2017年10月7日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

今回の選挙で大きな争点となっているのは子育て支援です。

各党、多少の違いはあるものの共通して打ち出しているのは待機児童問題の解消と幼児教育の無償化です。

財源をどうするかの議論は当然ありますが、実はこの問題にはもっと高い壁が立ち塞がっています。

子育て支援

安倍総理は、

2020年度までに3歳から5歳の幼児教育を無償化する。

幼稚園、保育園の費用を無償化する。

今回の選挙で争点の一つとなっている子育て支援。

しかし足元では…

反対運動

東京都内で最も多い待機児童を抱える世田谷区。

横堀拓也記者、

あちらは新しい保育園の建設現場です。当初の予定よりも開園が遅れているということです。

今年4月に開園する予定だった保育園。実は開園が1年延期となりました。

その理由は、周辺の住宅に掲げられた建設反対の横断幕。

子供の声や送迎の車が増える事への懸念から反対運動が起こり合意の形成に時間がかかりました。

近所の住民は、

この辺は住宅街だから騒音を嫌がる人がいっぱいいるのでは。

「土地の価格が下がる」と反対派は言っているようだ。

そこには子育て支援とは程遠い現実がありました。

バンビ保育園

[blogcard url="http://banbihoikuen.com/"]

一方、足立区のバンビ保育園。

周辺住民から子供の声に対する苦情があり、やむなくこのようなものを取り入れました。

鈴木圭子代表、

ここが防音壁です。

保育園と住宅の間にある緑の防音壁。高さ3メートル、厚さは約50cm。壁に植物が植え込まれていて土や遮音シートで音を吸収する仕組みです。

さらに、

これで屋根が出ます。

電動で開け閉めできる防音用の屋根も取り付けました。

屋根と植木(壁)と両方でもっと音が出なくなる。

防音壁の設置費用は約300万円。さらにメンテナンスに毎月約3万円がかかります。

経済的にかなり自力でやるのは大変だと実感した。

今回の選挙で各党が子育て支援策を打ち出していますが、

どういう対策を打って待機児童解消に向けていくのか見えない。

現場の大変さをどれだけ分かっているのか。

ドイツ

日本と同様、少子化の問題を抱えるドイツ。

豊島晋作キャスター、

子供の声は騒音なのかという問題はドイツでも議論になりました。ただある法律で終止符が打たれました。

バズバ・カミンカ保育園

首都ベルリンの住宅街にある保育園。

中から子供たちの元気な声が聞こえてきました。

この場所に来て一番驚くのは、子供たちが遊んでいる場所の直ぐ側に住宅があることです。

実はこの保育園、集合住宅のど真ん中にあります。

しかし東京のバンビ保育園のような防音壁は一切見当たりません。

苦情は来ないのでしょうか?

ディアク・シュトロマイヤー園長、

苦情は時々あります。

でも住民たちとは平和的に共存しています。

トラブルになることは殆ど無いそうです。

周辺住民の声

周辺住民に話を聞くと、

自動車や飛行機の騒音よりはいい。

迷惑ではありません。窓の外から子どもたちを見るのは好き。

一定の理解を示す声があります。

ディアク・シュトロマイヤー園長は、

住民が理解してくれるのは多少は法律の影響があります。

法律のおかげで子どもたちは自由に遊べるようになったんです。

法律

実はドイツの法律では保育園や遊び場で子どもが発生する音は環境に悪影響を与えるものではないとされ、原則として騒音とはみなされません。

つまり法律で子どもたちの声を保護しているのです。

1990年代以降、ドイツでは子供の声がうるさいとして周辺住民から保育園の建設中止を求める訴訟が相次ぎました。

当初は住民たちが勝つこともありました。

弁護士のラース・イーレンフェルト氏は、

次第に裁判所が子ども側に有利な判決を出すようになった。

そうした判決がもとでこの法律ができた。

少子化への危機感が高まる中、2011年に日本の国会にあたる連邦議会がこの通称「子ども声法案」を可決。

「子どもに優しい社会」がより明確になるということで世論もこの法律を歓迎した。

これで住民は保育園の建設を阻止できなくなりました。

ただ保育園側も音量を抑える一定の配慮が必要です。

音のうるさい車ではなく、音が静かな車への買い替えを始めています。

ベルリン市民は、

良い法律だと思います。

そもそも子どもはコントロールできない。静かにしろというのが無理。

静かに暮らしたいという人もいるけど、どうせみんな死んだら静かな墓場に行くんですよ。

子どもの声は騒音ではないというのがドイツの結論です。

日本は今回の総選挙でどんな答えを出すのでしょうか?

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-