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[WBS]【イノベンチャーズ列伝】外から実現!?「自動」農業!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

世の中にイノベーションを起こそうとするベンチャー企業に焦点をあてるイノベンチャーズ列伝です。

美味しい新米の季節がやって来ました。

私たちの食生活に欠かせないお米ですが、重労働のイメージが強い米作りは担い手が減少傾向にあります。

そんな農業を空から変えようと挑みます。

大越さん親子

8月下旬。

稲穂が収穫期を控え色付き始めました。

代々農家を営む大越さん親子。

大越一雄さん、

2株くらい生えているのでは?

30本くらい生えている。

猛暑の中、田んぼに入り稲穂を数えます。

自分の目で生育状況や虫がついていないかを確認します。

農薬や肥料の散布も機械化が進んだといえ1区画あたり30分以上はかかるといいます。

大越剛志さん、

昔から農業は大変だと思われている。

大変とも思うが好きでやっている。

大越さん、これを何とか効率化出来ないかと間もなく実用化されるある機械を試しています。

それがドローン。

ドローン

稲穂のわずか30センチ上を自動で飛行。

狙ったところに農薬や肥料を散布していきます。

さらに自動でターン。まるでお掃除ロボットのように田んぼの上をくまなく飛び回ります。

黄色い線で書かれた飛行ルート、これを誤差わずか数センチという精度で飛んでいるのです。

これによって、

均一に、重複することなく、散布していないところもない。

普通のドローンは農薬・肥料がかかったよな?という感じ。

それだけではありません。

飛行しながら1秒間に10枚の写真を撮影。

この画像で稲穂の数、稲穂に付いたもみの数、さらに予想される収穫量まで分かるといいます。

何年もかけて蓄積した経験、勘、技術、そういうものではなく、これがあることで誰でも稲作のプロになれる。

世界に類のない技術を持つこのドローン。

人件費や費用など生産コストは4分の1以下に。

2019年、1台数百万円で発売する予定です。

株式会社ナイルワークス

[blogcard url="https://www.nileworks.co.jp/"]

そのドローンを開発しているのがベンチャー企業のナイルワークス。

一から手作業でドローンを組み立てています。

創業者の柳下洋社長(58歳)。

こんなところにセンサーを入れているのは世界でうちだけだと思う。

このドローン、ハイテクの塊です。

ルート上を正確に飛んだり稲の生育状況を把握したりするために12個のセンサーが積んであります。

ドローンは飛びながら画像を撮影する際、実はセンサーで稲が反射した太陽光に含まれる電磁波から様々な情報を得ています。

それらを合わせて作られた画像がこちら。

もみの数や光合成の進み具合が細かく把握できるといいます。

赤いところほど光合成が盛んに行われている。青いところほど活発ではない。

なぜこんな方法を思いついたのか…

柳下洋社長

実は柳下氏、少年時代は天文学を志しました。

自らレンズを削り出し4年かけて望遠鏡を自作するほど没頭していました。

天文学なら星が生まれてから何年たったとか、そういう細かいことを電磁波から調べて見つけ出す。

イネの場合でも同じようにそれを突き詰めることでイネの生育度合いが分かる。

また柳下氏にはもうひとつ強みがあります。

東京大学では人工知能を専攻。

その知識を生かし2度、起業を経験しました。

そんな柳下氏がある時、始めてドローンを目にしました。

これはすごいぞと。

難しい凝った仕掛けではなく、「ソフト」で飛ばすことができる。

自らの人工知能の知識がドローンに生かせると直感しました。

早速、ドローンの事業化を考え始めた柳下氏。

「何に役立てるか」の前に「どう使えば安全か」だよな…

何かにぶつかるといけないから、あまり高くは飛ばせないし…

落ちる可能性を考えたら人がいる場所もダメだな。

それでも飛ばすことが価値を生む場所って…?

農業

すぐに「農業」に行きついた。

農業とドローンで世界の誰にも負けないものを作れる自身が湧いた。

そして2015年、ナイルワークスを創業。

いまは2019年の商品化に向け全国で実証実験を進めています。

産業革新機構や住友商事、全農などから出資を受けて注目も集まっています。

住友商事のアグリサイエンス部の田中克憲さん、

技術が圧倒的に優れている。

実際、海外の人にこの技術を見せると「早く買いたい」「すぐに欲しい」という人が非常に多い。

まずは国内の大規模農家に売り込み、アジアなど海外にも展開する考えです。

「上から見ながら作業する」農業は存在しなかった。

ナイルの時代、エジプト文明の時代から新しい農業の姿を世界中に普及させる。

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