今回はさらなる進化を遂げた素材を追跡取材しました。
キーワードは壊れても傷ついても元に戻る再生能力です。
ナトコ株式会社
[blogcard url="http://www.natoco.co.jp/"]
傷が自然に直る?
これは?
わずか2秒で元通りになるそのヒミツとは?
塗料メーカー「ナトコ」が開発した原油由来の塗料。
一見、傷が付いているように見えますが実は凹んでいるだけ。
バネのように反発し元に戻るのです。
いま再生する新素材が日本で続々と誕生しています。
その新素材はさらなる進化を遂げてビジネスチャンスを生もうとしていました。
東京大学
[blogcard url="https://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html"]
まず大江麻理子キャスターが注目した素材は茶色いガラス。
ではこれから割れた断面同士を私の力でくっつけます。
しっかりと断面を合わせて…
そして30秒後、
離しますよ。くっついた。
実はこれ、割れてもくっつくガラスです。
東京大学が世界で初めて開発しました。
容赦なくいきます。
東京大学大学院・工学系研究科、柳沢佑さん、
容赦なくいけば取れると思います。
強い!離れない!
このガラスの正体はポリエーテルチオ尿素という樹脂の仲間。
こちらの研究室で誕生した物質です。
ものが割れるということは分子レベルの結びつきが切れてしまうこと。
このポリエーテルチオ尿素は常に分子が動いていて分子同士が互いに引き合うことで再び結合するのです。
茶色っぽいんですけど透明に近づけることは可能ですか?
可能だと思います。
大阪大学
[blogcard url="http://www.osaka-u.ac.jp/ja"]
大阪大学でも自己修復するゲル状プラスチックの研究が進められています。
カッターナイフで素材を切り離し…
再びくっつけて7分ほど待つと…
くっついていますね。
これを分子レベルで見ると、取外し可能なブロック玩具のような構造になっています。
このためどの場所を切ってもこの化学構造が無数に現れるためずらして接触させてもしっかりと修復するのです。
大阪大学の原田明栄誉教授は、
例えば車だとコーティングの場合は傷がついても元に戻る。いったん切れてもまたつながる。
ユシロ化学工業株式会社
[blogcard url="https://www.yushiro.co.jp/"]
そしてこの自己修復性能を持つプラスチックを6月から企業向けに販売を始めました。
私たちの暮らしが大きく替わる日がすぐそこまで来ています。
農業・食品産業技術総合研究機構
[blogcard url="http://www.naro.affrc.go.jp/"]
一方、再生にまつわる技術はものだけでなく人体にも。
再生医療分野の研究で注目を集めている農研機構・再生機能利用研究部門の竹澤俊明主席研究員。
竹澤さんは再生医療に有用な人工皮膚の原料となる新素材「コラーゲンビトリゲル」を生み出しました。
新田ゼラチン株式会社
[blogcard url="https://www.nitta-gelatin.co.jp/ja/index.html"]
ビトリゲルの材料として使われるのが豚の皮。
皮を特殊な液体に漬けると、まずは密度の低いコラーゲンが出来上がります。
竹澤さんはこのコラーゲンを気温10度、湿度40%の状態で2日間かけて乾燥させました。
すると…
ペラっとしましたね。オブラートのちょっと厚みがあるような、そういう感触ですね。
乗せると水分が広がってきました。水分を吸ったビトルゲルの膜が私の肌とぴったりくっついてきました。
やけどにこのシートを貼ると痕が分からないほど自然な状態に戻ることが動物実験では確認されています。
祐徳薬品工業株式会社
[blogcard url="https://www.yutokuyakuhin.co.jp/"]
取材後に大きな動きがありました。
薬品メーカーが研究に参加することになり2021年に人工皮膚の治験を開始し、2024年の商品化を目指すことが決まったのです。
やけどの急患が来た時でも人工皮膚を備えておけば、どんな医者でも簡単に取り扱える。