[ガイアの夜明け] どこへ行く?ふるさと納税(1)

どこへ行く?ふるさと納税

七尾市

船が目指すのは石川県七尾市の沖合。

早朝4時30分、定置網漁の一大漁場です。暖流と寒流がぶつかるこの地域は魚が豊富なことで知られています。

アジやトビウオを始め、ブリやタイなど年間数百種類の魚が獲れるといいます。

水揚げされた魚はわずか2時間後には七尾市公設地方卸売市場で競りにかけられます。

中でも大量に仕入れた人がいました。

これはタイ。死後硬直するとかたくなる。獲れたてはやわらかい。

七尾市でスーパーマーケット「中島ストアー」を経営している中島忠重さん。

店までついて行ってみると、すぐに調理場のスタッフ総出で魚をおろし始めました。つくったのは刺し身の盛り合わせ。

しかし店で並べるためのものではないそうです。

これはふるさと納税の返礼品。今から宅急便で発送する。明日届いて食べていただく。

これは七尾市に1万円寄付するともらえるふるさと納税の返礼品「能登の朝どれお刺身詰め合わせ」。

獲れた鮮魚を丸ごと送る自治体が多い中、手軽に新鮮なお刺身が食べられるようにと考えられました。

ひと手間かけた返礼品を始めた結果、七尾市には1年足らずで約2億2,000万円の寄付金が集まったのです。

ふるさと納税

ふるさと納税とは好きな自治体に寄付できる制度。

例えば10万円寄付すると原則2,000円を除いた9万8,000円が翌年の住民税などから控除されます。

多くの自治体では寄付に対しお礼をするため実質負担2,000円で特産品がもらえるのです。

そのため返礼品目当ての人が増えていきました。

自治体の中では最新のパソコンやオーダーメイドの家具、さらには人気の教会で結婚式が挙げられるというものやマグロの解体ショーといったものまで用意して競争は加熱する一方です。

そうした中、2017年3月31日、管轄する総務省の高市総務大臣は、

過度の返礼品競争に対して具体的な改善につなげ制度の健全な発展が図られるように努めてまいります。

一部の返礼品に待ったをかけたのです。

金銭に近い商品券などや電気製品、宝飾品といった資産性の高いものは送らないように、さらに寄付額に対する還元率を3割以下にすることを求めたのです。

七尾市

反対の声を上げたのが三重県志摩市。

この町の返礼品の目玉はあこや真珠のアクセサリー。2万円から100万円の寄付に対して約40種類がラインナップされています。

これらは資産性が高いとして取りやめの対象になりました。

しかし真珠の養殖は100年以上の歴史を持つ地場産業。事業者からは不満の声が噴出しています。

大きな間違いだと思う。これだけここの自然を利用してここでしかできないものを作っているのになくなるのはあり得ない。

総務省の妖精を拒否すると決断した志摩市。

志摩市の竹内千尋市長は、

黙ってその通りにするのではなく、「ここは私たちの町だ。こう思う」ということをしっかり議論しないといけない。本来あるべき自治の姿を追い求めてきた。

10年目を迎えたふるさと納税。いま曲がり角を迎えています。

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