[ガイアの夜明け] 異変の夏・・・「激闘」シェア争い!(2)

異変の夏・・・「激闘」シェア争い!

森永製菓株式会社

7月上旬、東京もこの頃は連日30度を暑さが続いていました。

そんな暑い夏に売れるのがアイス。

現在、1,000を超える種類が販売されています。しかし、1年でそのうち3割が入れ替わる厳しい競争が繰り広げられています。

チョコモナカジャンボ

そんな中、最も売れているアイスが、

これはよく食べます。周りのモナカの皮がパリパリして、サクサク感があってすごくおいしい。

森永製菓の「チョコモナカジャンボ」です。

12年連続売り上げNo.1を更新中。0.24秒に1個売れ、年間では1億5,000万個を売り上げる大ヒット商品です。

発売されたのは45年前の1972年。キャラメルやチョコボールと並ぶ森永の新たな柱として開発されました。

しかし発売当初は売れ行きが伸びず、アイス部門は会社のお荷物とまでいわれたそうです。

長年、シェアトップを走り続けられるヒミツ、一体どこにあるのか?

新谷秀夫さん

7月24日、関東では連日30度を超える真夏日が続いていました。

東京・港区にある森永製菓本社。

この日、アイスの営業と物流担当の社員が集められていました。

アイスの生産計画を立てる責任者、冷菓営業部の新谷秀夫さん。

製造は上げられるところまで目一杯上げて数量を確保していきたい。

予想外に続く暑さでチョコモナカジャンボの生産計画に狂いが生じていたのです。

チョコモナカジャンボは全国2工場で作っているが、ゼロ。

商品管理の画面には在庫「ゼロ」の表示が、異例の事態です。

通常アイスは最盛期の夏に向け冬から製造して備蓄しています。

しかし製造から出荷まで「5日」を目指すチョコモナカジャンボは2~3日分の在庫しか持てません。

急激な注文の増加で工場は24時間体制のフル稼働が続いていました。

チョコモナカジャンボは鮮度があるので足りなくなれば追加で作らなければいけない。鮮度が悪くなりそうだったら調整して製造を止めなければいけない。どういう状況なのか逐次、確認をしている。

パリパリの鮮度が命のチョコモナカジャンボ、その裏では常に天気のリスクを負いながら綱渡りで製造を続けていたのです。

一般財団法人日本気象協会

7月27日。この日、森永製菓に意外な人物が招かれていました。

日本気象協会の中野俊夫さん(42歳)。チョコモナカジャンボとタッグを組むことになったのです。

最高気温と平均気温を使った場合、そのくらい制度の差があるか。解析精度を比べてみた。

中野さんが見せたのは「チョコモナカジャンボ需要予測について」という資料。

中野さんはチョコモナカジャンボの需要と気象との関係を解析。この夏から森永のために売れ行きの予測を立てていたのです。

「気象」はあらゆる業界につながることができる。全産業の約3分の1は気象リスクを持っている。我々は需要予測をして企業のハブとなって機能する事業を立ち上げたい。

中野さんはこれまでにも気象データを使い多くの企業を助けてきました。

相模屋食料株式会社

群馬県前橋市にある豆腐メーカー、相模屋食料。

豆腐はスーパーなどから注文が入るのが出荷当日です。現場では悩みのタネでした。

鳥越淳司社長、

エイヤーって感じで毎日数量を決める。「外れた」とか「良かった」と毎日繰り返していた。

そこで中野さんは豆腐の売れ行きに気象がどう関係しているかを解析。

なかでも注目したのが体感気温、豆腐の売り上げは気温そのものではなく気温の変化に大きく影響されることを突き詰めたのです。

同じ30度でも5月くらいに一気に上ると非常に暑いと感じるが、8月に35度を毎日経験して30度に下がると同じ30度でも感じる気温は違う。

中野さんはインターネットから1,400件のつぶやきを収集。気温がどう変化したかで、人は「暑い」「寒い」と感じるかを分析していきました。

それを豆腐の販売予測に反映し、年間約2,000万円の無駄の削減に成功したのです。

生産計画

8月中旬、関東では7月の猛暑から一転、40年ぶりの長雨になりました。

想定外の事態です。

森永の新谷さん、チョコモナカジャンボの生産計画に頭を抱えていました。

今週、この涼しい中、来週32度になるとギャップがあるから。

最後の週で生産調整を入れる?

工場のフル稼働を続ければ在庫が過剰に、しかし暑い日がぶり返せば再び在庫不足になりかねません。

一体どうするのか?

株式会社カスミ

一方、気象協会の中野さんも動き出していました。

この日やって来たのは大手スーパー「カスミ」。

関東に200店舗近くを構えます。

この店は売り場に売れ筋のアイスだけを扱う特設コーナーが設けられています。ここに目を付けました。

この店のバイヤーは毎日アイスのラインナップを変えているといいます。

どのような考えで需要を見ていますか?

店長の小田倉重文さんは、

気温で30度を目安にして、それを超えると氷系のアイスが売れる。氷系の発注を増やし、30度を下回ればモナカ系の発注を増やす。曜日でも客数が変わってくるのでその辺も加味する。

予測の精度を上げる新たなヒントが見つかったのか?

売れ行きだけではなくて、バイヤーが発注する時に何を見ているのかが非常に重要。その心の動きを予測していくものが必要。

見込み予測

8月18日、森永の新谷さんの元に一通のメールが届きました。

9月~11月の見込み予測が届いている。

中野さんの予測です。スーパーなどの聞き取り調査も加えて分析したものです。

チョコモナカジャンボは8月最後の週から9月にかけて前年比3%マイナスと予測。

すると新谷さん、

9月の頭は、そんなに残暑にはならない? 去年は結構残暑だったから、それを考えると残暑は?

2016年の販売実績と照らし合わせながら減産するか決断のときです。

土曜日に生産停止するかもしればい、工場に打診しておいてください。

2日間、チョコモナカジャンボの減産が決まりました。

チョコモナカジャンボ

2週間後の9月1日、中野さんも訪れたスーパーのカスミ。

この日、チョコモナカジャンボが予定通り届きました。

中野さん分析どおり気温が下がったため、この間は注文が減りました。

しかし2日間の減産をしたことで商品の鮮度は守られたのです。

この夏、チョコモナカジャンボは異変続きの天気の中、利益は前の年と同じ水準を維持できました。

最終的には消費者に鮮度がいいものを買ってもらうのが一番大事。気象協会にはまだまだいろいろとお願いをしなければいけない。

天気を制するものがアイスを制する。

競争は激しさを増しそうです。

予測に終わりはない。常に精度を上げて、より使いやすいものを作るのが我々の仕事。