都城市
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宮城県都城市、人口約16万人。中規模の自治体ながら2年連続で寄付額全国1位を獲得しています。
その原動力となっているのが豪華返礼品。
それに掛ける費用はどれくらいなのでしょうか?
市役所の財政課に尋ねてみると、2015年度に集まった42億円の寄付金の内、実に33億円が返礼品に使われていました。
返礼品の割合でいくと予算上は8割。
返礼品にかける割合はなんと8割。そのお得感は全国でも突出しています。
何故ここまでするのでしょうか?
方針を打ち出したのは池田宣永市長です。
そもそも論からいくと私は全部返せと言った。いただいた寄付10割。「肉と焼酎のふるさと」ということを知ってもらいたい。そのためにふるさと納税を活用するということでスタートしている。寄付をいただいて市の収入を上げることが目的ではない。
「返礼額が高いとは思わない?」
返礼費用の33億円は地元の企業に落ちている。地域経済には33億円まるまる乗っている。企業の売上が上がり、雇用が増え、投資をしてくれるということもある。
ところが総務省から返礼額を速やかに3割以下に抑えるように強く求められると都城市はすぐに通知に従うと決めました。返戻率の大幅な引き下げ。
市の判断に事業者のあいだには不安が広がっています。
株式会社ミートクリエイト
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中でも、このお店「ミートクリエイト」。地元のブランド豚を返礼品として市に買い上げてもらっています。
月に6,500件もの申込みが寄せられる人気の品。
実はこの会社、返礼品の売り上げをあてにして去年できたばかりだといいます。
社長の竹松幸一さん、従業員たちの生活もあり大きな不安を抱えていました。
売り上げがダウンしないか、件数が落ちないか、すごく心配している。今の肉の量が減るのは100%だと思う。
竹松さん、今年3月に地元向けのスーパーをオープン。通知が出ることを知り返礼品だけに頼っていては先がないと考えたのです。
ところが売り上げは思うように伸びていません。
ふるさと納税の売り上げが約3分の2を占めている。直売所の売り上げは3分の1。まだふるさと納税ありきの会社。非常に苦しい。
4月14日、都城市中央公民館。返礼品を提供する事業者が集められました。
市は6月1日に全面的に見直した返礼品を全国に向け発表したいと考えていたのです。
総合政策課の野見山修一さんは、
我々としては1万円のラインアップは非常に重要だと思っています。
高い返戻率を売りに多額の寄付を集めてきた都城市。なかでも1万円の寄付でもらえる豪華返礼品に人気が集中していました。
全体の8割を超える1万円台の寄付。魅力あるラインアップを開発することが不可欠でした。
お得感が下がるイメージの1万円寄付の返礼品補完できるように考えてもらいたい。
この機会に新たに参入を考える事業者も集まっていました。
安定的な供給が必要だとおっしゃるけど。
なかでもひときわ熱心に質問をする女性が、谷口啓子さん(73歳)。
今年で創業70年を迎える東郷織物。谷口さんはここの3代目です。
東郷織物
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これが薩摩絣、大島の技術を使っている。
主力製品は「大島紬」や「薩摩絣」といった織物の中でも最高級品。熟練の職人が1本1本、糸を編み込み生地を仕上げていきます。
一反織るのに約2ヶ月。仕上がった生地は繊細な柄が特徴です。
ところが和服離れにより需要が激減。
最盛期には年間3億円ほどあった売り上げも今では5分の1以下にまで落ち込んでいます。
少しでも売り上げにつながればと谷口さんも工夫を続けてきました。
これは全部うちの素材。
余った生地を活用したぬいぐるみや雑貨の数々。通信販売や催事にも出向きアピールしてきました。しかし知名度がなく売れません。
やめたいけど実は借金が山ほどあってやめられない。でも、この仕事をする事自体は好き。自分のアイデアが織り上がったら、どんなふうに出来上がるかすごく興味がある。こういうものが都城にもあるよって知ってもらいたい。
返礼品の開発
4月下旬、返礼品の開発に向け、さっそく動き出しました。
今回かけられるコストは1万円の3割、3,000円です。
高級品が主力の東郷織物、生地選びがポイントです。
この生地が安定的にできない。だからどうしても限定される。ここで何かを作るという感じ。
選びだした生地、機械で織り上げているのものです。材料の糸や基本の製法は手織りと変わりません。コストを抑えて質の高い生地に仕上げることができます。
落ち着いた色が多い大島紬ですが、明るい色があるのも東郷織物の特徴です。
これでネクタイもほしい。
こうやって見るといいね。
挑戦してみます。
雑貨を担当する上原知栄子さん、さっそくサンプル作りに取り掛かります。
型紙に合わせて切った生地を裏地と合わせてミシンで縫っていきます。初めて作るネクタイですが2時間足らずでカタチになりました。
市が返礼品をリニューアルするまであと1ヶ月。会社を救う切り札になる製品を開発できるのでしょうか?
リニューアル
6月1日、返礼品の還元率を3割に引き下げるリニューアルの日を迎えました。
総合政策課の野見山修一さんは、
18時のリニューアルに向けて頑張りましょう。
受付の開始は夕方の6時。急ピッチで用意を進めます。
元々1万円の返礼品だったものは2万円の寄付用に引き上げました。代わりに160品目を1万円の返礼品として新たにラインナップしたのです。
焼酎のセットは本数を減らす代わりに限定品を組み込みました。また地元産の杉を使った弁当箱など工夫を凝らした返礼品で勝負をします。
そこにあの東郷織物のネクタイもありました。ピンクとグリーンの2色を用意。さらにもうひとつタブレットの収納ケースも作りました。
開始して。
午後6時、いよいよ受付スタートです。果たして寄付は集まるのでしょうか?
思ったよりもきている。30件。
わずか10分で30件もの寄付が寄せられました。職員からも自然に笑みがこぼれます。
と、その時です。
びっくりした。
早くも東郷織物のネクタイに申し込みがありました。長野県の人が選んでくれました。
5分、10分で判断するのは難しいけど滑り出しは好調。とりあえずほっとした。
東郷織物の元に市役所から初めて発注依頼が来ました。3件の申し込みがありました。
すごい。ゼロじゃない。
見てもらえたんですね。
事業が収縮しているとか嘆いてばかりではダメ。お客様がちょっとでも欲しいと思ってくれる商品を開発しないといけない。
宮崎県都城市。ふるさと納税の返礼品、その大幅なリニューアルから1ヶ月。
市役所を訪ねると担当者が険しい顔をしていました。
原因は表示されたグラフ、寄付金が極端に伸び悩んでいたのです。
リニューアル前の5月に比べると10分の1にまで落ち込んでいました。
これが現実かなって気はする。厳しい現実っていうか。制度が安定するのではあれば通知を守っていくことは大事。ルールの範囲内で自分たちができる最大限の努力をすればきっと寄付者にも伝わると思うし、よそには負けない宝がある。そこで勝負できると思っている。
新たなルールはふるさと納税をどう変えていくのでしょうか?
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