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[WBS] 「老朽化マンション」の寿命…大幅に延ばす新技術とは!?

2017年10月17日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

不動産経済研究所は10月16日、2017年度上半期の首都圏マンションの平均販売価格が前の年の同じ時期と比べ5.9%上昇し、バブル期以来の高水準になったと発表しました。

価格の上昇が続くマンションですが分譲と賃貸を合わせて東京都内で約13万3,000棟が建っています。

古くから建っているマンションも多いですが、この内の10棟に2棟、全体の2割にあたる2万5,000棟が古い耐震基準のままで現在の基準を満たしていません。

こうした老朽化マンションを再生する新たな方法が登場しています。

キーワードは「長寿命化」です。

三井不動産株式会社

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東京・大田区。大勢の人が工事中のマンションの一室に集まっています。

ここで行われていたのは三井不動産が開催する「老朽化不動産再生コンサルティングサービス」見学会です。

このマンションは解体前は築50年以上の賃貸物件でした、しかし現在の耐震基準を満たしていないためマンションのオーナーは建て替えを希望。

ただ現行の法律に合わせて建て替えを行うと6階まであるマンションを3階くらいの高さまで抑えなければいけないといいます。

そこで次に考えたのは耐震補強工事でした。

三井不動産・レッツ資産活用部の宮田敏雄さんは、

よく見る筋交いのような耐震補強だといかにも耐震補強したという美観と眺望上の問題が出てくる。

せっかく耐震補強工事をしても賃貸マンションとしての資産価値が全くないという状態になってします。

そこで三井不動産が提案した新しい手法がリファイニング工事です。

リファイニング工事

リファイニング工事は内装を新しくするリフォームや建物の1部に手を加え間取りのアレンジや耐震補強をするリノベーションとは違います。

建物の構造を保つために必要な骨組み以外は全て解体し新たな壁などを加えることで建物全体の耐震性能を上げ寿命を延ばすといいます。

さらに残した骨組みも日本で初めてという画期的な方法で補強しています。

青木茂建築工房の青木茂代表取締役は、

鉄筋に被膜を作って錆びないようにするという一つの工法。鉄筋が錆びないことが前提。そうすると50年ぐらい錆びないということを想定している。

古いコンクリートの表面をキレイにした上で中の鉄筋部分に薬品を直接注入するという「リハビリカプセル」工法。これでコンクリートの寿命、ひいては建物の寿命を大幅に伸ばせるといいます。

一見、大掛かりに見えるリファイニング工事ですが建て替えと比べるとコストは約30%安く、工期も1年近く短くなります。

これで耐震基準をクリアできるだけでなく、現行の法律に適していることを示す「検査済証」を受け取ることができます。

そのため、新たな資産として認められ銀行から融資を受けることも可能だといいます。

古い建物を壊そうと思っても簡単に壊れない。大変なエネルギーがかかる。それが再生できるというのは資産的な面でも環境的な面でもすごくメリットが多い。

また部屋を借りるお客様にとっても新築物件より安く借りることができる利点があります。

オーナーとお客様の双方にメリットが生まれるこの新たな手法。

老朽化マンションへの対策は加速するのでしょうか?

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