世界で電気を使わずに生活している人の数は約12億人もいるといわれています。
実はそのうちの約4分の1がインドに住んでいます。
そこに商機を見出してミニグリッドという新しい方法で電気を供給している日本企業を取材しました。
三井物産株式会社
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インドの首都ニューデリーから飛行機で1時間。インド北部に位置する街ラクナウ。
幹線道路沿いには連日電気工事が続きます。
街の中心部でも電力供給は不安定。郊外の農村部では今も電気のない生活をしています。
2017年8月、ここで発電事業に参画したのが三井物産です。
インド企業と組んで手掛けるという発電所は畑に囲まれた小さな敷地。
中には太陽光パネルが並んでいますが…。
三井物産の重枝和富マネージャーは、
1,000人~1万人に電気を供給する「ミニグリッド事業」と呼んでいる。
ミニグリッド事業
ミニグリッド事業(小規模電力網)とは小型の発電所を作り、半径2.5キロ圏内だけに電気を供給する、いわば電気の地産地消。
この小型発電所をたくさん作ってより多くのエリアをカバーしようという取り組みです。
発電所の設備も極めてシンプル。太陽光パネルで電気を作り、それを夜も含め24時間安定して供給できるように蓄電池に貯めるだけです。
開設コストも1ヶ所あたり約1,000万円で済みます。
吉田知可記者は、
こちらに電信柱がありますがこれにミニグリッド事業で作られた電気の送電線がつながっています。道路の反対側にある電信柱っは政府系の発電用ということです。
実はこの村には政府系の発電公社の電気も供給されています。しかし遠くの大型発電所から電気が来るため送電ロスが発生し、電力不足による停電が頻発。
住民たちは安定しているミニグリッドの電気を頼り、村の8割以上の世帯が利用しています。
現在、85の発電所から約4万5,000人に電気を売っていますが、これを5年以内に1,000ヶ所、100万人まで増やす計画です。
日没
午後6時、日没を過ぎると村は一気に暗くなります。
この辺りにはまだ電気が安定して供給されていないため、撮影用のライトを消すと何も見えない状態です。
ミニグリッドの電気を利用する民家を訪ねました。
玄関を入ってすぐの寝室にLED電球がひとつ点いています。
暮らすのは5人家族のシュクラさん一家です。
夕方5時から11時まで電球2個を使う契約。この部屋と台所に電気がつく。電気代は1ヶ月160ルピー(約280円)。
農村部では月収が1万円に満たない家庭も少なくありません。料金を支払える範囲で少量の電気だけ買えるのもミニグリッドが支持される理由です。
台所では母親が晩御飯の支度中。
今日のメニューはカリフラワーのカレー炒めです。
以前はここで火をおこして、その明かりで料理をしていた。今は料理がとても楽になった。
近所の子供がやって来てここで勉強をすることもあります。
英語と算数が好き。大きくなったらパイロットになりたい。
商店街
村の商店街もミニグリッドの電気の活用で変化が起きていました。
前は6時の日没で閉店していたが、今は電気があるので夜9時まで営業できるようになった。
営業時間が延びたことで毎月の売り上げが1.5倍に増えました。
商店街全体に活気が出たと皆が口を揃えます。
三井物産はインドで獲得したミニグリッド事業のノウハウをインド以外の国や地域でも積極的に展開していく方針です。
アフリカ
注目するのが電気のない人口が6億人いるアフリカ。
特に東アフリカにはインドからの移民が多く、インドでのノウハウが生きるといいます。
三井物産の八木浩道南西アジア総代表は、
アフリカをにらんだ事業展開をするにはインドはインドで今のうちにしっかりやっておかないと2030年、2050年をにらんだ事業展開でここが勝負どころ。