フリーマーケットアプリ国内最大手メルカリが6月19日が東証マザーズ市場に上場しました。
6月19日の終値を元にした時価総額は7,000億円を超え、今年最大の上場となりました。
一方、メルカリでは2017年頃から偽物や盗難品の出品が相次いで発覚しています。
急成長の影でメルカリが直面する課題に迫りました。
株式会社メルカリ
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6月19日、東証マザーズ市場に上場したメルカリ。
スマートフォンで洋服や雑貨などさまざまな品物を売買できる手軽さが受けサービス開始からわずか5年で急成長を遂げています。
月間の利用者数は1,000万人を突破し、非上場ながら時価総額が10億ドルを超える、いわゆるユニコーン企業として注目を集めていました。
取引が始まった直後の午前9時過ぎ、証券会社のコールセンターでは、
なかなか日本株でここまで動く銘柄はない。
メルカリの注文は寄り前から入っています。メルカリで4,000株いかせていただきます。
取引開始から買い注文が殺到し売買がなかなか成立しない状態が2時間ほど続きました。
そして午前11時過ぎ…
いま初値がつきました。公開価格3,000円を大きく上回る5,000円です。
一時は6,000円まで上昇しましたが終値は5,300円。
終値ベースの時価総額は7,000億円を超え今年最大の上場となりました。
メルカリの山田進太郎会長は、
インターネットオークション市場だけで海外市場は国内の10倍以上の規模。アメリカを始めとする世界展開で世界的なマーケットプレイスを目指す。
上場の最大の狙いはアメリカを中心とする海外でのフリマアプリの強化です。
メルカリの2017年度6月期の連結営業損益は27億円の赤字でした。
国内事業では36億円の黒字を確保したものの海外事業の赤字が業績の足枷となっています。
いつかは明言しないが数字を見ながら投資している状況なので、この調子で伸びていけば十分黒字化は可能。
メルカリの抱える課題
メルカリを巡っては2017年に上場するとの観測も浮上していました。
金融庁は、
メルカリに関しては金商法、貸金業法、盗品にあたるのか、いろいろと見るところがある。
金融庁が懸念を示していたのは品物を売って得た売上金で他の商品を買えるという仕組み。
資金決済法に抵触する恐れがあるとされたためメルカリは2017年12月から預けたお金をポイント化することでクリアしました。
さらに上場が遅れた一因と見られるのが偽物や盗難品の出品です。
2017年12月にはスターバックスの偽のロゴを使った出品・販売した疑いで静岡県の男が逮捕されました。
男は中国のサイトで輸入した偽物を販売していたといいます。
こちらは浙江省義烏にある中国有数の卸売市場。
東京ドーム80個分の敷地に7万を超える卸業者が出店していて、なかには欧米の有名なブランド風のバッグや日本の人気キャラクター風の家電など著作権お構いなしの商品が所せましと並んでいます。
そして記者が見つけたのはあのスマホケース。
上海支局の谷口康輔記者、
日本で摘発されたのと一緒でしっかりとスターバックスらしきロゴが入っています。
仕入れは200個からで1個あたりの価格は日本円でわずか110円です。
スマホケース店の店員は、
ゴム製のスマホケースは東南アジアや日本、韓国でよく売れているよ。
「スターバックスの正規品?」
正規品はスターバックスでしか買えないし、こんなデザインは発売されてもいないよ。
実際にメルカリにも同じようなデザインのものが掲載されていました。
スターバックスジャパンに確認したところ、「こんなデザインは発売していない」といいます。
財務省によると2017年に知的財産権を侵害したとして日本への輸入が差し止められた商品は9割が中国から。
そんな違法な取引でも日本での転売を目的に買い付けに来る日本人はあとを絶たないそうです。
違法な商品でも高い送料を払えば日本に送るルートはある。
大丈夫、輸送と販売さえできれば日本の買い物客は本物かどうか気にしないよ。
4月には同じように中国から輸入したWindows7のコピー品をメルカリで販売するために所持していた男が逮捕されているほか、2017年は現金の出品が発見されるなど成長の裏で問題も相次ぎました。
対策
どのような対策を講じているのか山田会長を直撃しました。
「信頼性というところで2017年に盗品や現金など、さまざまな出品があったと思います。それに対しての対策は?」
ひとつはカスタマーサポートをさらに増員していくということで人的な監視・サポートを強化している。AIを使って不正な商品を検知するということもやっていて、それによってより健全で安心安全な場所になっているかなと。
現在24時間体制で顧客対応にあたっているメルカリ。
2017年12月から初回出品時に出品者の本人登録を必須化していて登録された氏名と振込口座が一致しない限り売上金を引き出せないようにすることで盗難品などの不正出品を防止しています。
「今回上場したということは、信頼性や安心安全はクリアしたと?」
それはまだまだだと思っている。必ず新しいものは出てくると思うがいち早く対応できるような形になれば全体として見たときに安心安全といえるのではないか。
真壁昭夫教授
今後はさらなるコンプライアンス体制の強化が不可欠だと専門家は指摘します。
法政大学・大学院政策創造研究科の真壁昭夫教授は、
一番困るのは法律に違反している盗品の売買、あるいはマネーロンダリングといわれるもの。これは自由にできるようにしてしまうと犯罪活動の手助けになりかねない。そのためには出店する人のそれなりのチェックが必要だし、金額や商品のクオリティーをしっかり見ていく必要がある。顧客から信用が生まれないと長い目で見るとビジネスを拡大することは難しくなる。