[ガイアの夜明け] 本場に挑む!「木工の匠」たち(1)

本場に挑む!「木工の匠」たち

マルナオ株式会社

新潟県三条市。観光客が遠回りしてでもやって来る注目の店「マルナオ」。

中を覗くとこの日も大盛況。

外国人の団体客もいました。

お客様のお目当ては「箸」。いろんな種類があります。安いものでも一膳3,000円はする高級品ばかり。

今まで箸なんてどうでもいいやと思っていた。こういういいものを見ると欲しくなる。

数ある中でも一番人気が「極上十六角箸」。材料は最高級の黒檀。固くて耐久性に優れています。

社長で職人でもある福田隆宏さん(44歳)。この黒檀の箸を削るには10年近い経験が必要だといいます。指先の感覚だけが頼りです。

先端は1.5ミリ、固い黒檀だからこそここまで細くできます。削られた先端は八角形になっています。そのためさまざまな食材を思うように掴めます。食事が楽しくなる箸。

水分を吸収しにくい黒檀箸はプレゼント用に人気急上昇中です。

水を中に吸ってしまうということはみそ汁の匂いが中に入って、匂いが分かってしまう。

マルナオ株式会社

新潟県三条市。人気の箸を作っているマルナオは創業1939年。従業員数18人の小さな町工場です。

年間約2万膳の箸を生産しています。

元々は精巧な大工道具を作っていました。

箸を作り始めたのは3代目の福田隆宏さんになってからです。

黒檀でできた一番人気の箸「極上十六角箸」は一膳1万5,120円。安くはありませんが一生モノにと買っていく人が多いといいます。

箸を扱い始めてからそれまで約4,000万円ほどだった売り上げが約1億4,000万円と3倍以上になりました。

そこで福田さん、大きな夢に挑戦しようとしていました。

食の道具を作るに当たって本場フランスで勝負してみたい。

メゾン・エ・オブジェ

1月20日、フランス・パリ。半年に一度開かれる「メゾン・エ・オブジェ」。世界最大級のインテリアやデザイン雑貨の見本市です。

今回は140の国と地域から約3,000社が参加。世界中のバイヤーが集まる巨大な商談の場です。

そこにマルナオもブースを出していました。

一番目立つ場所に展示したのは箸です。

さらにヨーロッパ市場を意識して新作も用意していました。持ち手の部分に黒檀を使ったナイフとフォーク。

楽しみ。気合は十分入っている。

日本食ブームの追い風もあってかバイヤーは次々とやって来て箸を手にします。気になる反応は?

とても美しいよ。

その美しさは一様に高く評価してくれます。

ところが、

こうやってみて、箸自体の商談がほとんどない。

では新作のナイフとフォークは?

こちらも手には取ってくれるものの反応はいまひとつです。

福田さん、ショックを隠しきれません。

実はナイフとフォークは出品数が多い商品のひとつ。会場にはライバルがひしめき合っていました。

しかも、

さすがヨーロッパですよね。センスがいい。

本場で味わった大きな挫折。やはり世界の壁は厚いのか?

デザートスプーン

新潟に戻った福田さん。新たな商品の開発に向けて動き出していました。

実はパリであるヒントを掴んでいたのです。

コンビを組むデザイナーの堅田佳一さん(33歳)にこんな話をします。

レストランのシェフはデザートスプーンを探している人が多い。

デザートスプーン、そこにチャンスがあると確信したようです。

デザートスプーンは銀やステンレスなど金属製が一般的。今回はそれを得意の木で作ろうというのです。

金属のガリッとしたイメージではなくデザートはやわらかいものなので、やわらかいもので口の中へ入れてあげた方が絶対いい。やわらかいものをかたいもので取って口の中へ入れてしまうとやわらかいものが死んでしまう。

木のデザートスプーンこそ自分たちの技術が生かせライバルとも差別化が図れると考えていました。

インドネシア

5月上旬、インドネシア。そこに福田さんの姿がありました。

新作に使う最高品質の材料を求めてやって来たのです。

向かった先はスラウェシ島。世界有数の黒檀の産地です。

現れたのは黒檀の原木。実は年々本数が減っていて、案内された地区でも大木は1本しか残っていないといいます。

おそらく100年以上は経っていると思います。

黒檀の貴重さを改めて実感した福田さん。

理想の材料を求め製材所を巡ります。しかしなかなか見つけることはできません。

その時、

デザートスプーンの場合はこれくらいでいけると思う。18ミリくらいか。「縞黒檀」って感じ。

縞模様も鮮やかな極上の黒檀を発見。手に入れました。

試作品製作

6月上旬、インドネシアから戻った福田さん、さっそくデザートスプーンの試作に取り掛かります。

まずはデザインをスケッチした紙を貼りカットしていきます。職人歴約20年の福田さん、デザートスプーン作りは初めてです。迷いが生じたらデザイナーの堅田さんに相談をします。

まだ厚みがぼってりしている。

全体的に厚みがあり見た目もまだまだです。

使い心地を試してみると、

崩れるよね。ここがもう少し直線的な方がいいんじゃないですか。

目指すは世界で戦える製品。一体どんな仕上がりになるのでしょうか?

メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ

3週間後、東京・神楽坂。福田さんがやって来たのはフレンチの名店「メゾン・ド・ラ・ブルゴーニュ」。

フランス人スタッフを多く揃えるこちらにデザートスプーンを試してもらいに来たのです。

フランスの地で食べてほしいと願って作ったスプーンです。

出来上がったデザートスプーン。黒檀の縞模様も鮮やかです。

以前のものと比較するとその違いは明らかです。スプーンの先端が0.5ミリの薄さまで削られシャープになっています。またナイフやフォークのように使えるように形も直線的なものに変えました。

さっそく試してもらいます。

スプーンを口に入れる感じがしない。デザートの食感がよく分かる。

少し硬いフルーツも簡単に切れます。

女性スタッフも、

すくいやすいわ、たくさんのるし。食いしん坊にはいいわね。

福田さんは、

素材の良さをお客様までつなげたい。いつになっても100%にならないのかもしれないけど挑戦して良かった。

手応えを感じた福田さん、次のパリの見本市に向けさらなる改良を続けていきます。

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