[ガイアの夜明け] 「地方からの挑戦」「世にない商品」生み出す新手法!(1)

シリーズ「地方からの挑戦」(2)「世にない商品」生み出す新手法

Calbee+(カルビープラス)

東京駅。その地下街は美味しそうなお菓子の激戦区です。

中でもひときわ行列ができるお店があります。お店の名前はカルビー株式会社のアンテナショップ「Calbee+(カルビープラス)」。

店で揚げた出来たてのポテトチップスを食べることができます。このお店の売りは厚切りのポテトチップス。いろいろな味が楽しめるとあって飛ぶように売れていきます。

厨房を覗いていみると機械ではなく人の手でジャガイモをスライスしていました。慣れないと上手にスライスできないためベテランのスタッフがヘトヘトになりながら担当していました。

腕がすごく痛くて手首が痛くなったりとか、全身を使うので1日中やっていると肩がパンパンになって痛い。

人の手だとどうしても効率が悪くなってしまいます。そのため、こんな問題も起こっていました。

店長の外塚彩乃さんによると、

列が長いとお客様が帰ってしまうこともあるので、お客様に残念な思いをさせてしまう。

実際、時間が掛かって帰ってしまうお客様もいるそうです。

行列ができる人気店であるがゆえの悩み。

カルビー株式会社

東京駅のすぐ隣にカルビー株式会社の本社があります。

アンテナショップ担当の店舗運営課、関口浩さん。なんとか手頃な機械を早急に作れないかと考えていました。

そこで呼んだのがリンカーズ株式会社の前田佳宏さんです。

厚切りの機械のメーカーに打診したことはあるが現状のものでは難しいということで。我々で手を加えたこともあるが、きれいなポテトチップスにならない。

前田佳宏さん早速動き出しました。しかも全国を股にかけて。これまでにない仕組みで問題を解決するといいます。

果たしてどんなやり方なのか、その取り組みを追いました。

リンカーズ株式会社

2016年5月上旬、カルビー株式会社からジャガイモスライサーを作ってくれる企業を探して欲しいと依頼を受けたリンカーズ株式会社の前田佳宏社長(39歳)。

この日はCalbee+の店舗の厨房を視察に来ました。9店舗全てのお店でジャガイモを手作業でスライスしています。

繁忙期だとお客様がどんどんいらっしゃるのでスピードを上げる気持ちになるので余計力が入ってしまう。

前田佳宏社長は現場の様子をくまなくチェックしていきます。写真を撮り、気付いたところは書きとめていきます。

一番の問題はどこなのか?

場所が思っていた以上に狭い。スペースが小さい。機械の大きさもサイズが小さくないとなかなか難しいと思った。

カルビー株式会社は工場の大きな機械を専門の企業と一緒に開発してきました。

しかし、小さなスライサーの開発は採算面などで折り合いがつかず進んでいませんでした。

前田佳宏社長、厨房サイズのスライサーを作ってくれるところをどう見つけるのか?

製品開発

東京・霞が関。2012年創業のリンカーズ株式会社はこれまでに約300を越す製品開発を手助けしてきました。

その一つは「調査用無人リモコンボート」。大手メーカーの依頼でリモコンボートを作る会社を探しました。完成したのは走行するだけで水中の地形が全て測定できるボート。河川工事などに利用されています。

「建物劣化検査装置」はかざすだけで建物の劣化が測れる機械。大手企業からの依頼を受け高い術力のある愛知県のメーカーを探し出しました。

そして今回は、

小型のギザギザタイプのポテトチップスを作るためのジャガイモスライサーを作れる企業を探してほしいというのが今回の依頼。

「大きさはどのくらい?」

60センチ×60センチ。卓上タイプ。ものすごくコンパクトな感じ。

前田佳宏社長が電話をしていた相手はコーディネーターと呼ばれる人。

リンカーズ株式会社では大手企業から製品作りの依頼が入ると全国に2,000人いるコーディネーターに情報を伝えます。銀行や研究機関に席をおき、地域の中小企業に詳しいコーディネーター。彼らから情報を吸い上げることで大手企業と中小企業を高い確率で結びつけています。

前田佳宏社長は、

日本の産業力の源泉は中小企業と中堅企業の技術力だと思う。その技術を欲しがっている大手企業に、そこをつなげる役割もないし、それを補うのが我々の役目。

候補企業

カルビー株式会社から依頼を受けて約1ヶ月後。全国のコーディネーターから30を越す候補企業が挙がってきました。

カルビー株式会社が求めた選定条件。

まず、「食品機械を設計。製造した経験があるか?」「ギザギザタイプのポテトチップスを自動化できる可能性があるか?」「その機械の具体的なイメージは?」という3つです。

依頼者であるカルビー株式会社の関口浩さんとともに候補企業をさらに絞り込んでいきます。

フラスコと舟橋フードテックは遠心力。内部にジャガイモを固定して遠心力で刃で切っていく感じ。

すでにスライサーの具体的な設計図まで添付してきた企業もありました。

検討の結果、試作品づくりを依頼する企業を3社に絞り込みました。

関口浩さんは、

これまで私たちが取引をしていない会社ばかり。細かな情報をしっかり集めている。

株式会社舟橋フードテック

広島県尾道市にある株式会社舟橋フードテック。創業は1960年、主に魚介類を加工するための機械を製造しています。

今回のカルビー株式会社の案件で残った3社のうちの1社です。

早速、前田佳宏社長が株式会社舟橋フードテックの舟橋宏樹社長を訪ねました。

株式会社舟橋フードテックが提案してきたジャガイモスライサー。早速、実力を見せてもらいます。

すごいスピードでスライスされていきます。

もともとイカのゲソをスライスする機械。そのテスト機。今回、これを使えるという気持ちはあった。

既存の機械を改良するとあってコストもあまり掛かりません。ゲソからポテトへ。うまくいくのか?

舟橋宏樹社長は、

詰めていかなきゃいけないところはあるけれど、ここまでいったからには、とにかく受注を受けたい。

株式会社フラスコ

前田佳宏社長が続いて向かったのが愛媛県西条市。残った3社の1つ、株式会社フラスコです。

株式会社フラスコの藤原弘一社長自ら、前田佳宏社長を案内します。

株式会社フラスコは1973年の創業で機械部品や半導体製造装置に関する高い技術力を持っています。

株式会社フラスコはジャガイモスライサーを一から作ることを提案していました。

試作品はどれくらいでできる?

「切れるぞ」というところまで1ヶ月。ちゃんとした製品をつくるまで1ヶ月。2ヶ月。

2ヶ月というのはもう少し縮まる?

1ヶ月半。

これまで手掛けたことのない分野ですが自信があるようです。

株式会社ドリマックス

3社の最後が埼玉県川口市にある株式会社ドリマックス。

1960年創業で食料品を削る機械の専門メーカーです。家庭用から業務用まで肉、魚、野菜などのスライサーを手掛けています。

大根のつまを一気に削れるスライサーの実力は驚くばかりです。

株式会社ドリマックスではこうした技術を生かし、依頼を受けたジャガイモスライサーの試作品をすでに作っていました。

早速、見せてもらいます。ジャガイモがスライスされて出てきます。出来栄えはどうでしょう?

技術営業の成田健一さんによると、

最初の厚みはキープしている。

始めと終わりのところが厚みが違う。

厚みにムラがあります。

難しい問題ではあるが、うちができる範囲の仕事をやらせてもらうということ。あとは結果がついてくる。

進捗状況

10日後、株式会社ドリマックスにカルビー株式会社のスタッフも進捗状況を見に来ました。

カルビー株式会社の関口浩さんも興味津々です。

わずかな期間で進化していました。きれいに厚みは揃っています。カルビー株式会社が求める水準に達しているのでしょうか?

少し厚いかな。微調整で何とかできそう、このくらいの厚みなら。

しかし大きな問題が、削り残しがとても多くありました。

残ったカスがちょっと多すぎるので、これをどこまで減らせるか。個数をたくさんやるので1個1個がこれだけ残るとかなりのロスになる。どこまで減らせるかだと思う。

1つ課題をクリアしても、また別の課題が・・。

3社のうち選ばれるのは?

有限会社ミクロ技研

カルビー株式会社のジャガイモスライサー。最後の3社に残った株式会社ドリマックス。

前回のテストで削り残しが多いという問題がありました。

しかし株式会社ドリマックスがカルビー株式会社の案件を受注することになりました。技術、納期、コストなど多くの条件を満たしたためです。

最後の問題を解決すべくスライサーに使用する刃の改良に取り組みます。

成田健一さんが向かったのは日頃から付き合いのある町工場、有限会社ミクロ技研。

ここで成田健一さんは自分が設計した刃を作ってもらいます。

この会社の売りは特殊な放電加工。ワイヤー線に電流を流して鉄やステンレスの素材を図面に合わせて精密に切ることができます。

この特殊加工で作った製品を見せてくれるといいます。出てきたのはステンレスの塊。放電加工で切り取った文字をもとの塊に押し込んでいくとピタリと収まります。

同じ加工で成田健一さんが設計した刃が製造されました。ステンレス合金で作られた硬くて丈夫な刃です。

不採用の2社

その頃、リンカーズ株式会社の前田佳宏社長は不採用の2社に断りのメールを作成していました。

「今回は誠に残念でございますが、カルビー様の要求納期に間に合わないため不採用という結果に」。ただ、技術力は評価されたということを伝えました。

不採用の2社には別の案件が来た場合、新たにコンタクトをしてもらう。そういったチャンスが来るので候補企業にとっても大きなメリットになると思う。

最終テスト

8月下旬、株式会社ドリマックス。

小型のジャガイモスライサーにさらに改良が加えられました。

最終のテストです。どのように改善されたのでしょうか?

カルビー株式会社の関口浩さんが見ていきます。

そんなにロスがない。これなら大丈夫かな。

改良された刃によってジャガイモの表面とうまくフィットするようになりました。これで最後まで均一にスライスできるようになったのです。

前回に比べ残りカスが大幅に削減されたのが分かります。

導入

9月23日、ジャガイモスライサーが店舗に導入されます。

カルビー株式会社の依頼を受けてから5ヶ月で完成させたスライサー。大きさは丁度よいようです。

現場の使い勝手はどうでしょう?

前田佳宏社長が一番気になるところです。

すごいですね。簡単で楽。

これなら誰もが簡単に使うことができそうです。

地方に眠る技術と大手企業を結びつけるリンカーズ株式会社のマッチングサービス。前田佳宏社長、日本のモノづくりを変えていきたいと意気込みます。

地方の中小企業をさらに活性化することを考えている。より多く掘り起こして、さらにその企業から二次発注、三次発注が起こって、地方の多くの企業が潤っていく。そういう状態をつくっていきたいと思っている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする