6月6日に公開された自動車。
車体を見てみると一部に色の違ったパーツがあります。
実はこの部分には鋼鉄の5分の1の軽さながら強度は5倍という日本生まれの新素材が使われています。
その名も「セルロースナノファイバー」。
驚きなのがこの素材、木から作られているんです。
セルロースナノファイバー
6月6日、都内で公開されたこの車。
トヨタのスポーツカー「トヨタ86」ですがセルロースナノファイバーが使われています。
「これがセルロースナノファイバーを使った車?」
京都大学の臼杵有光特任教授、
これがその第1号。
「硬いですね。」
木から生まれたこの素材、京都大学で研究が始められました。
3年前のセルロースナノファイバー
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WBSでは3年前に現場を取材。
開発したのは矢野浩之教授です、
これがセルロースナノファイバー。
紙と同じパルプが原料です。
パルプを水に溶かし特殊な機械や化学薬品などを使ってナノレベルまで細かくほぐしたのがセルロースナノファイバーです。
セルロースナノファイバーを固めたこの板、特徴の一つが強度です。
鋼鉄並みの強さながら軽く、さらにプラスチックと比べても高温に強いのも特徴です。
水を除いたら木の半分はセルロースナノファイバー。日本の裏山にある木から車が作れるかもしれない。
あれから約3年、セルロースナノファイバーを使った車は現実になりつつあります。
確実にものづくりが進んだ印象がある。
車にセルロースナノファイバーを使うことで大きなメリットも…
上の水平部分はセルロースナノファイバー100%で作った物。鉄に比べてそれぞれ30%くらい軽くなっている。
実際に重さを比べてみると、
重いですね、重たい重たい。
これをセルロース100%の板材に。
すごく軽い!全然違いますね。
2019年度にはドアの一部やエンジンカバーなど車全体の15%にセルロースナノファイバーを使ったコンセプトカーをつくる予定です。
従来の車より10%軽くなり、燃費は10%向上できると予想しています。
セルロースナノファイバーの課題
しかし実用化には課題も…
セルロースナノファイバーに置き換えるにはまだコスト的に高いもの。でも将来的には5~10年かけて10分の1程度には下げたい。1kg当たり500円くらいの素材になるのでは。
また鋼鉄並みに硬いセルロースですが、耐久面の課題もあります。
石が飛んできたり、人にぶつかったりがあるから、その衝撃に対する強度がまだ足りないので耐衝撃性を上げることが必要。
こうした課題を解決し、いち早く実用化にこぎつけたい考えです。
自動車のどこかの部品に少しずつ入りながら、将来はもっと広くいろいろなところで使われるようになると思う。
セルロースナノファイバーの広まり
研究や開発は進められていますが、すでに私たちの身の回りにもセルロースナノファイバーというものは広がっています。
アシックスのランニングシューズですが、カカトのピンク色の部分のクッションの補強のためにセルロースナノファイバーが使われています。
耐久性が20%向上、さらにより長持ちするようになったということです。
靴だけではありません。
ペンです。
三菱鉛筆のボールペン、インクにセルロースナノファイバーが混ぜられています。
これにより書き味がなめらかになってインクが途切れにくくなったということです。
そして意外なものにも使われています。
日本製紙クレシアの大人用の紙おむつです。
こちらでは「消臭」と「抗菌」のためにセルロースナノファイバーが使用されています。
セルロースナノファイバーは消臭・抗菌効果がある、金属イオンを引き寄せる性質も持っていて、それを生かした製品が作られています。