[WBS] 迫る!大廃業時代!後継者難の酒蔵の選択!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本の産業基盤を揺るがす大きな危機が迫っています。

跡継ぎの不在などを理由に強雨業や廃業をした企業、その数は2万8,142社に上ります。

そのほとんどが中小企業です。

経済産業省はこうした中小企業の廃業により2025年頃までに約22兆円のGDPが失われると試算しています。

迫りくる大廃業時代。

代々受け継がれた技を後世につなぐ企業の取り組みを取材しました。

かづの銘酒株式会社

秋田県鹿角市、創業145年のかづの銘酒

この町に残る唯一の酒蔵です。

代表する銘柄は「千歳盛」。主に市内で飲まれている日本酒です。

1億円あった売り上げは約10年で4割減少。

売上高
2004年 1億130万円
2016年 6,021万円

黒字を維持していますが経営は厳しい状態が続いています。

5代目の田村清司さん(68歳)。

子供は東京で職に就き従業員は皆、職人気質。経営の引き継ぎができず廃業の危機を感じていました。

ここがなくなれば酒蔵はゼロ。ぜひ残したい。

そこで頼ったのは商工会議所の事業引継ぎ支援センター。

秋田県事業引継ぎ支援センター

企業が抱える後継者問題を金融機関と連携して解決しています。

ここでは1年に約300件の相談を受けています。

こうした事業承継に関する問い合わせは全国で見ると4年で6倍に。大廃業時代の足音が迫っています。

秋田県事業引継ぎ支援センターの河田匡さん、

こちらが、かづの銘酒から相談を受けた時のファックス。事業価値を見出して引き受けを考える経営者がいるので技術力や販路といった強みの磨き上げが大切。

株式会社ドリームリンク

かづの銘酒に価値を見出した一人の経営者がいました。

ドリームリンクの村上雅彦さん。居酒屋など100以上の飲食店を全国で展開しています。

2017年12月、第三者承継というかたちで酒蔵を買収。6人の従業員と経営権を譲り受けました。

この日は都内の店舗で始めてかづの銘酒の酒を提供。

お客様の反応を確かめに来ました。

千歳盛を持ってきたので、販売よろしくお願いします。

80種類以上ある日本酒のメニュー。かづの銘酒の千歳盛が新たに加わりました。

お客様の反応は、

うまい。

千歳盛を含め、3種類の日本酒を飲み比べていた女性は、

これが飲みやすい。千歳盛。香りが華やかで女性が好きそうな味。

村上さん、確かな手応えを感じていました。

こんな宝物が秋田県に埋もれていたのかと。後世にバトンタッチしていきたい。今回はその第一弾。

日本酒の蔵でウイスキー!?

秋田市にあるドリームリンクの本社。

着手したのは子会社化したかづの銘酒の利益を増やすこと。

販路拡大のほかに経営を強化する方法を考えていました。

私たちも営利を求める企業。この蔵でも利益を出さないといけない。酒蔵は全部使っていないから、まだスペースがあり、蒸留器を置ける。ウイスキー造りが秋田で初めてできたらいい。

県内にはウイスキーを製造する会社がないため、特産品として売り出せると考えたのです。

ドリームリンクの原野正管理本部長は、

でも怖いですよね。、彼らの独自の文化があるから、ドリームリンク的な考え方で入ると反発とか。

一抹の不安を抱えながらも動き始めます。

秋田県総合食品研究センター

この日、向かったのは秋田県総合食品研究センター。

日本酒やビールなどの製造技術を持ち、企業とともに商品開発を行っています。

蒸留器の機械をお持ちだと伺っているが、それを使わせてもらってウイスキーを開発できたらありがたい。

秋田県総合食品研究センターの杉本勇人主任研究員は、

銅製のポットスチル(蒸留器)を持っていてブランデー用だがウイスキーとほぼ同様。十分に製造は可能。

研修に来てもらえれば直接、技術を転移することができる。

村上さん、実際に蒸留器がある場所へ案内してもらいました。

こうやって機械を見ることで、できそうな気がしてきた。

今後、一緒にウイスキーを開発することが決まりました。

田村清司前社長

翌日、かづの銘酒を訪れた村上さん、作り手として蔵に残ってもらった田村清司前社長に会いに来ました。

ウイスキー造りの進捗を報告します。

総合食品研究センターの機械を使って、一緒に研究開発をしてウイスキー造りを手伝ってもらえないかとお願いした。快諾いただけた。

秋田県で初めてのウイスキーがこの蔵からできていくと思う。

日本酒一筋でやってきた田村さんの反応は、

地域の残り発信できる酒蔵に変わって、いい意味で展開していくのではないか。いままで私たちができなかったことが実現するのではという期待がある。

また、かづの銘酒ではドリームリンクの社員、工藤功一さんが修行中。田村さん、経営の担い手としてこちらにも期待を寄せています。

後継者がいない、時代が変わり商売が昔のやり方では通用しないことが会社や店舗、いろいろなところである。誰かが手を差し伸べないと、そのまま廃業してしまう。これは日本にとって大きな損失だと思う。