ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS] 韓国不動産バブルが崩壊寸前か?

2017年3月22日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

政治の混乱の続く韓国ですが経済面でもこれまで右肩上がりを続けてきた韓国の不動産がいま岐路に立たされています。

不動産神話が崩れ始め、バブル崩壊に向かうのか。その現場を取材しました。

韓国の不動産

[blogcard url="http://www.tokyocitykeiba.com/"]

ソウルから南に40キロの龍仁(ヨンイン)の新興住宅。ここにも異変が起こっています。

ソウル支局の和田高氏によると

ここはソウル近郊の3,000世帯ある団地ですが20%が売れ残りになっていて周辺にはさらに新しいマンションが建ち供給過剰になっています。

築14年の中古マンション。大幅に値下げをしても売れ残り業者は処分を急いでいるといいます。

OK公認仲介士事務所の閔武植社長は、

約7,000万円だったが約4,000万円で売れず、もっと下がりそうなのでお客様は処分を急いでいる。

韓国の地価は経済成長に伴い右肩上がり。リーマンショック前後も大きく下がらず経済成長が鈍る中でも政府は税の減免や規制緩和を打ち出して不動産神話は続いていました。

しかし6年前に建設されたソウルの高級マンションでも異変が。150戸の内、新築のまま10戸が売れ残っています。

この日は内覧のお客様が訪れていました。4LDKで123m2の物件、元の価格約1億2,000万円から約4割下げて約7,500万円で販売しています。

このお客様に脈があると見たのか営業担当者は無料のオプションを付けて売り込み始めました。

モデルルームで一番高いのが、このカーテンです。

カーテンですか?

全部屋のカーテンで約100万円かかりますが全て差し上げます。

本当ですか?

売れ残りを必至に売ろうとする担当者。焦る理由は今年から来年にかけて80万戸というマンションの大量供給が始まることに加え、住宅ローンの金利が上昇し始めているからです。

ヒョンデ産業開発の季官厚本部長は、

どうせ最初の分譲価格では売れない。欲を出さずに完売することを目指している。

金利上昇に加え、政府がマンションの転売規制を乗り出したほか、個人の実質所得が2016年にマイナスに転じるなど不動産市況は厳しくなっています。

建国大学の劉銑鉄教授は、

将来人口が減るのを知りながら政府は無理に不動産市場を拡大した。需要の現象を考えない場合、不動産市場は崩壊する。

住宅ローン

不動産の右肩上がりを前提としていたため韓国の住宅ローンでいま問題が起きはじめています。

金東洙さん(51歳・仮名)は今、返済に困り国の機関に返済方法を相談している最中です。

子供は就職し一人暮らしの金東洙さん。おととし3月、築20年以上の中古マンションを銀行から約300万円を借りて約1,100万円で購入。

韓国では不動産の値上がりが前提のため毎月の返済は利子のみを返していく計画で無理のないものでした。

しかし、

1年目は利子だけ払っていたが元本も払うことになり負担になった。

去年、銀行は利子だけでなく元本の支払いも求めるようになりました。景気減速で仕事も減ったため返済が苦しくなったのです。

月々の返済ができないときに借金して返済。借金が借金を生んでいった。

韓国では利子だけを返済するローンが大半で元本の返済になると苦しくなる人も多く値上がり前提の仕組みはいま崩壊しつつあります。

家計の負債で見ても韓国は日本や欧米に比べ突出し、GDP比で91.6%。大半が不動産での負債で不動産バブルの崩壊は深刻な社会問題になると専門家は指摘します。

建国大学の劉銑鉄教授は、

住宅価格が急落するか持続的に下落する傾向になった。庶民が破綻する環境になるのがとても大きな問題。

政治の混乱が続く韓国ですが、これまで成長を続けてきた経済の分野でもその足元は揺らぎ始めています。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-