[ガイアの夜明け] 「絶望職場」を今こそ変える!(2)

「絶望職場」を今こそ変える!

圏友協同組合

10月中旬、東京・足立区。

平井勝行さん(37歳)。国内に2,000ある管理団体のひとつ、圏友協同組合の事務局長です。

やって来たのはとある建設現場。

圏友は約400人の外国人技能実習生をサポートしています。

平井さん、彼らが働く現場の見回りです。

久しぶりだね。日本語上手になった?

仕事はちょっと大変ですけど頑張ればできると思います。

実習生の労働環境をチェックするのが管理団体の重要な仕事。

圏友は実習生1人当たり月2万5,000円を企業から徴収し、こうした活動に充てています。

夜、平井さんは彼らが暮らす部屋も訪ねます。

必ず見せてもらうものが、

みんな給料おかしいと思う?会社が間違っているとか。

企業ま毎月、管理団体に実習生の給与を報告します。でも実際にその額が払われていないケースもあります。

支給額は約20万円。家賃や光熱費などを引かれて手取りは15万円ほど。

ちゃんとこの金額、銀行に入っている?

入っています。

全部使っちゃった?

仕送りしました。

お父さん、お母さん、みんな元気?電話してる?

平井さん、こうして部屋を訪ねては実習生とのコミュニケーションを重ねています。

僕らが巡回することで少しでも話が聞ければ大きなトラブルにはならない。

失踪する実習生

ところが2週間後、思わぬ自体が起こります。

静岡の建設会社から至急来てほしいと連絡が入りました。

何もないね。貴重品もないし服もない。

ガランとした部屋。布団だけがきちんと畳まれていました。

この部屋で1年暮らした実習生が突然いなくなったのです。

同僚のベトナム人から電話をしてもらいます。

出ない?

つながりません。

実はこうしたことが全国で相次いでいました。

失踪する実習生は年間5,000人を超えています。

外国人技能実習生

何故いなくなるのか?

ベトナムから来たばかりの実習生。

6ヶ月で勉強代が1,000ドル。間違いない?

みんなお金を銀行に借りた?

実習生は現地の送り出し機関から日本にやって来ます。そこにいくら払ったのか?

授業料が1,000ドル。制服やカバン代が80ドル。そして最も高いのが手数料で5,600ドル。

さらに彼女たちを送り出し機関へ紹介した業者にも1,000ドル支払っていました。

実習生はまず送り出し機関で日本語などを訓練。日本行きが決まると手数料を支払います。

さらに送り出し機関を紹介してくれた業者にも仲介料が発生。

支払総額は約8,000ドル。約90万円。

ベトナムの平均年収の3倍ほどになります。

実習生たちは巨額の借金を背負って来日するのです。

9,000ドルとか1万ドル取っている「送り出し機関」もいる。借金が多かったら給料が1円でも多いところで仕事が見つかるのであれば、そっちに行く子も少なくない。借金が多ければ失踪につながる、それは比例すると思う。

実習生は原則、日本での仕事先を変えられません。借金を早く返そうと稼げる仕事を探して失踪してしまうというのです。

タイ・ティ・タオさん

ベトナム・ゲアン省。

なぜ日本に来るために巨額の費用がかかるのか?

元実習生のタイ・ティ・タオさん(25歳)。

初めまして、よろしくお願いします。

おばあさんです。

タオさんは自宅を修繕するために日本行きを決めたといいます。

日本へ行く前にこのセンターで日本語を勉強しました。

タオさんが通ったのがハノイにある送り出し機関。

どんなものにどれだけかかったか、内訳を書き出してもらうと、手数料が6,500ドル。保証金が3,000ドル。授業料や制服代などで600ドルほど支払っていました。

さらに当時メガネを掛けていたタオさん、視力を矯正するように求められその手術代に900ドル掛かったのです。

ほとんど借金をして払いました。知り合いからお金を借りて、足りない分は銀行からも借りたんです。

結局、タオさんは平均の1.5倍、1万3,000ドル(約150万円)を借金して日本へ。

ところが受け入れ先の愛知県田原市の牧場では1日10時間から15時間、ほとんど休みなしで働かされたといいます。

結局、体長を崩したタオさんは2年でベトナムに帰国。

巨額の借金を返すのが精一杯でした。

生活はとても苦しいです。貧しくて家を建て直すお金がないんです。

家族のために必死に働いた2年間は無駄に終わったのです。

管理団体への接待

ベトナムの首都ハノイ。

前は働いていたんだけど。

このベトナム人、送り出し機関で働いていました。

実習生が支払う手数料がなぜ高くなるのか教えてくれるといいます。

日本人がよく来る、よく泊まっている。

案内されたのは市内の高級ホテル。

ホテルの中に大きなナイトクラブが入っていました。

奥に進むとドレスを着た女性たちがズラリ。

ここで日本から来た管理団体の担当者を接待するのだといいます。

「日本人を連れてきてお金は?」

ベトナムの「送り出し機関」が払う。

「日本人は払わない?」

そうですね。

遊びをするために「実習生のお金」を使う。

「ここでお金を使わなければ実習生が払う手数料は安くて済む?」

そうですね。でもね、みんなこっちに来たらどこかで遊びたいでしょ。

「日本人が?」

ちゃんと世話しないと管理団体が次の実習生の取引をしてくれない。

ホテルに行きましょ、朝まで180ドル。

日本人スケベ一番。

日本で働きたいベトナム人は大勢います。管理団体に選んでもらうため送り出し機関の過剰な接待が当たり前となっていました。

管理団体からの要求

さらに裏事情を知るという人物から連絡が・・・。

指定された場所に向かいます。

その男性は現在も送り出し機関で働く日本人。

接待以外にも管理団体からさまざまな要求があるといいます。

「ホテル代や航空券代を持ってほしい」と管理団体から要求がある。全てではないが管理団体から「実習生を採用したら謝礼金を支払ってください」と送り出し機関に要求がある。

「いくら?」

1人当たり5万~10万円。ナイトクラブで豪勢にお金を使っていらっしゃる方もいますし、こっちで愛人を抱えている方もいらっしゃいますし、ふざけんなって思う。

そういう悪質な「管理団体」は今すぐにも消えて潰れてほしい。

送り出し機関

11月中旬、ハノイ。

日本からやってきたのは圏友協同組合の渡邊英一専務理事。今回、重要な交渉を担っていました。

訪れたのは圏友が提携しているとある施設。

そこには大勢の若者たちの姿がありました。

ここはベトナムに200社以上ある送り出し機関のひとつです。

圏友はここから実習生を採用してきました。

どんなことを学んでいるのか?

日本語の勉強は1日に7時間。

皆さん、お金が欲しいですか?

はい。お金が欲しいです。

日本の左官技術の訓練。建設現場で即戦力として働ける人材を育てるため6ヶ月間みっちりと学びます。

頑張ってください。あともう少しだから、日本に来るまでしっかり勉強して技術も学んでください。

そして渡邊さん、送り出し機関「CEO」のドアン・ヴァン・ミン社長と面会。

これが今回の目的でした。

我々は中立な立場で渡航費を要求することもない。過剰な接待を受けることもない。他の組合がどのような取引をしているかあえて言わないが。

渡邊さん、実習生の手数料を下げるように交渉に来たのです。これまでに何度も掛け合い、今回が詰めの話し合いです。

圏友の皆さんが日本の法律をきちんと守っているのは理解しています。

実習生が大きな借金を背負って不安で日本に来るという状況は少しでも減らしてあげたい。

圏友はこれまで接待やお金を要求したことがありません。その分の経費が掛からないため手数料を下げられるはずだと迫ります。

会社の経費を見直せば実習生の手数料を減らせると思います。渡邊さんがそこまでおっしゃるのでしたら、11月から手数料を500ドル減らしたいと思います。

手数料の引き下げに成功しました。

しかしこれは実習生の負担を減らすための第一歩。まだ始まったばかりです。

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