[WBS] リフォーム費用が無料に!?鉄道会社が空き家対策のワケ!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

空き家の問題について。空き家の数は年々増え続けていて、ある調査では2018年には1,000万を突破して全国の住宅の16.9%を空き家が占めると予測されています。

そして2023年には20%を超えるともいわれています。

この状況に危機感を募らせているのが鉄道会社です。

東京都と神奈川県の三浦半島を結ぶ京急電鉄本線、横浜市の南部やさらにその南の地域では人口の減少が進んでいます。こうした地域でも空き家が増えているため京浜急行電鉄株式会社はリフォーム代金を無料にするという破格の条件で対策に乗り出しました。

京浜急行電鉄株式会社

横浜市金沢区、京浜急行電鉄株式会社の沿線の住宅地です。

高度成長期だった1950年代から山を切り開いて造成。真新しい家が立ち並ぶ分譲地が売り出された時には購入希望者が長蛇の列を作りました。

しかし半世紀ほどが経ち、沿線の住民は高齢化。急な坂道が多いこともあって金沢区の人口は減少を続けています。

住宅が密集していて広い道路に接していないところも多く建て替えを難しくしています。

空き家問題

そこで深刻になっているのが空き家の問題です。

近所の住民は、

火災が起きたら周りがえらい迷惑。

物騒でしょ。あまり芳しくない。

空き家の存在が人口の減少に拍車をかける恐れもあるのです。

そんな金沢区の住宅街を歩いて回るのが京浜急行電鉄株式会社の菊田知展さんと京急不動産株式会社の木村智徳さん。

2016年1月から沿線の空き家の状況を調査していました。

外から丸見えの家です。

建物の基礎もあってないようなもの。

このまま沿線の人口減少が進めば乗客が減り、京浜急行電鉄株式会社の経営にとっても大きな打撃となります。

京浜急行電鉄株式会社のまち創造事業部、菊田知展さんは、

沿線地域と鉄道事業者は運命共同体だと考えている。空き家を少しでも減らすのが鉄道会社にとって非常に重要だ。

株式会社ルーヴィス

空き家の増加を食い止め、若い住民を呼び込むためにはどうすればよいのか?

京浜急行電鉄株式会社が頼ったのは地元、横浜市の工務店、株式会社ルーヴィスです。

これまで都内を中心に約700件の住宅改修を手掛けた実績があります。

福井信行社長がいま力を入れているのが空き家の再生です。

「お金を出すから借り上げさせてください」というアプローチ。

実際に2016年に株式会社ルーヴィスが借り上げた空き家の持ち主、奥村一家を訪ねました。

妻の奥村美紀さんは3年前に父親を亡くし実家を相続。2017年で築58年の家です。

老朽化した実家の管理は想像以上に重荷だったといいます。

月に1回来て、2階と1階の部屋の換気に務めたが、それでも住んではいないので、かなり厳しいところがあった。私も25年以上住んでいて思い出深いところだったので売るということは考えなかった。

2016年4月、株式会社ルーヴィスがこの住宅を借り上げて改修を行いました、以前とは大きく変わっているといいます。

以前は白い壁で全部仕切られている状態。ここが扉でした。

1階を仕切っていた壁や扉を取り払い、リビングを拡大しました。内装をはがして木材をむき出しにした古民家風のデザインです。

パイプを使って据え付け型の本棚も作りました。

もともとの素材を生かすことで改修費用を約420万円に抑え、その全額を株式会社ルーヴィスが負担しました。

株式会社ルーヴィスは空き家を持ち主から6年間借り上げる代わりに自らの負担で改修してまた貸しします。株式会社ルーヴィスが入居者から家賃を受け取り、その10%を持ち主に還元します。

株式会社ルーヴィスは家賃収入の中から改修費用を賄うのです。

入居者がいなくても家賃の10%は株式会社ルーヴィスが保証する契約です。

家賃10万円でサブリース(また貸し)して入ってくるのは月に1万円だが、6年後はまた自分の手元に戻ってくる。固定資産税の分を今は賄えればいい。

この家と土地の固定資産税は年間約12万円。月10万円、年間120万円の家賃収入のうち、奥村さんはその10%、12万円を受け取れるため固定資産税をほぼ賄えるのです。

株式会社ルーヴィスを介して家賃10万円で2016年5月から家族3人で入居した岸田さん一家。

子供がいるので庭がある一軒家に暮らしたいという思いがあった。この家は築年数が経っているので割とお得。

京浜急行電鉄株式会社はこの株式会社ルーヴィスの枠組みに参加して沿線の空き家の改修費用や持ち主に支払う家賃10%分を負担。

株式会社ルーヴィスは、実際の改修作業や入居者の募集を担当します。

福井信行社長は、

人口が減っていく時代なので、大規模マンションを建てるとか開発すること自体が事業者にとってリスク。少し手間はかかるが空き家を維持し活性化させたほうがこれからの時代には合っているのではないか。

リフォーム物件

京浜急行電鉄株式会社が走る東京・大田区。

京浜急行電鉄株式会社の沿線、借り上げサービスを始めるために株式会社ルーヴィスの福井信行社長を呼んだのは沿線の空き家を調査していた京浜急行電鉄株式会社の菊田知展さんでした。

向かったのは広い道路に面しておらず、建て替えが難しいため約3年間放置されていた空き家。築65年です。

この家の持ち主は80代の男性で今は横浜市に住んでいます。

この家を相続したものの高齢のため建物を管理できなかったといいます。長く人が住んでいない間に家の中は荒れ果てていました。

押し入れの中も雨が染み込み一面カビだらけです。

この辺はたぶん、シロアリに食われてしまっている。

これだと改修に1,500万円とか1,800万円とか。

2,000万円までかけちゃうとなかなか。

事業性がちょっと。投資コストが回収できない。

かなりの費用が掛かりそうですが、コストを抑えるために福井信行社長が目を付けたのがかつて増築した部分でした。

増築部分を解体するか取り除いた方がコスト効率が上がるかもしれない。増築部分のつなぎ目は一番難しい、劣化しやすいので。

建物の一部を取り壊す「減築」を提案しました。

菊田知展さんは、

初めてのルーヴィスとの案件になるので可能な限り知恵を借りてやっていければと考えている。

この家を借り上げて再生するかどうかは今後、建物の強度などを判断してから決めるといいます。

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