いま急速に広がっている、あるバブルがあります。
超高配当を謳った新手の投資商品のウェブサイト。これらの商品はビットコインなどの仮想通貨で投資ができる、というのが特徴で今、若者を中心に利用者が急速に広がっています。
しかし、約束されていた配当が貰えなかったり、お金が引き出せなくなるというトラブルが全国で相次いでいます。
1日に2%、年率にすると730%という超高配当を謳う投資商品の実態とそこに潜む大きなリスクを追いました。
超高配当投資
6月18日、北海道に住む30代のAさんです。ある投資商品に騙されたと被害を訴えています。
1週間に1万7,000円ずつ入ってくるという紹介で投資して3ヶ月くらい経つが配当が一向に入ってこない。
「いくら投資した?」
52万円くらい。
被害の発端というのが2017年3月に開かれた投資セミナー。主催した東京の投資家を名乗るグループはAさんにこんな投資商品を持ちかけました。
実際に配られた説明資料では、「1日あたり2%」という超高配当。100万円を投資すれば1月後には60万円増える計算です。
投資先はブラジルの投資会社でサッカーの勝敗を予想するギャンブルで大きな利益を上げているといっています。
ブックメーカー、賭け事の配当を何割か投資した人に支払っているという説明。13年間続けてきているので倒産することはないだろうということだった。
さらに仮想通貨ビットコインで配当するのが売りで今後の値上がりが期待できるとアピールしました。
その言葉に乗せられたAさんは、まず26万円を投資。するとブラジルの投資会社のサイトにAさんの専用ページが開設されました。
これが振り込んだお金。2,046ドル。
そこにはAさんが投資した元本や配当の金額の表示もあります。約束通り1日2%ずつ画面上の数字が増えていったといいます。
これで安心したAさんは26万円を追加で投資。
ところがブラジルの投資会社はシステムトラブルなどを理由に金の引き出しに応じず、そのまま3ヶ月が経過したというのです。
Aさんは勧誘を受けた相手に問い合わせましたが、自らも被害者で返金を待っていると返答。
正直、半々だと思っていますが、着金することを願っています!
個人的には、もう待つしかない状況なので、どうせなら楽しく待つことにしました。
Aさんは、
そもそも投資と紹介されてお金を出したので、配当が入ってこないとなると騙されたんじゃないかな、という気持ち。
投資セミナー
取材班はAさんの他に都内や茨城県に住む人からも同様の被害の訴えを聞くことができいました。
そして手に入れたのが、勧誘セミナーを録音した音声データです。
月利で30~34%くらい。結構やばいですね。約20万円の投資で毎週2万円の配当が入る。すごくないですか?
さらに、
ビットコインの世界での取引は5割近く増えている。
実はこれ、BWBSが2015年に伝えたビットコイン普及のニュースの音声。期待感を煽ろうとそれが無断で使われていたのです。
さらに取材を進めると、こんな勧誘まで。
谷口康輔キャスター、
東京のお台場に来ました。取材を進めたところホテルの中では大規模なイベントまで開かれたといいます。
2017年4月、ホテルの大ホールを貸し切って全国各地から1,000人以上が参加するイベントが開催。知名度が高い男性タレントを司会に招いていました。
トラブルはいったいどこまで広がっているのでしょう?
投資グループ
ブラジルの投資会社に今後の対応を聞くため登記簿の電話番号に連絡を入れます。
「ブラジルの○○社ですか?」
NO!NO!NO!
再びかけると、次は電話のコール音が鳴らず音信不通になってしまったのです。
しかし取材班は日本各地で勧誘活動をしていたグループの所在を突き止めました。
好本洋キャスター、
今回の投資商品の勧誘に関わっていた人が、こちらのビルに入っているというので話を聞いてみます。
中にいたのは勧誘グループのメンバーだという女性。
本当に私たちも知らなかった。勧誘は止めている。個人の自己責任のもとで、あくまで投資はするものだと思う。
結局、ブラジルの投資会社も勧誘した日本人グループもAさんたちへの返金に応じる様子はありませんでした。
HYIP
実態が見えない超高配当の投資商品。実はこうした投資商品は「HYPE(ハイプ)」と呼ばれ、主に海外で多くの商品が販売されています。
HYIP = High Yield Investment Program(高配当投資プログラム)
共通するのは「1日9%」などの超高配当を謳うことです。さらに他人を勧誘すると配当にボーナスが付く点です。
そして「HYIP」の多くが仮想通貨で決済をしています。
実際、日本でも広がりを見せているのか、街で話を聞くと、
大学の講義で聞いた。
ネットのセミナー情報のページにHYIPの広告が出てきて、1日1%から5%の利益が出てくると夢のような。うさんくさかったので怖くて手が出せなかったんですけど。
知人がHYIPをやっていたという男性は、
勧められて自分で調べてみた。知人には「お前、大丈夫か?」と、その知人も誰かに勧められて相談された形です。
インタビューに応じた1割弱の人が知っていて、特に大学生の間で広まっていることが分かりました。
新井哲郎弁護士
HYIPについて投資トラブルに詳しい弁護士の新井哲郎さんは、
破綻必死の詐欺商法であることは「配当」と称する率から明らかではないか。お金の率を上げている分、今までの詐欺商法に比べて破綻までの期間が著しく短いことが特徴。
さらにHYIPを他人に勧めると後々、損害賠償を請求されるリスクが高いと警鐘を鳴らします。
過失で他人に損害を被らせているので損害賠償責任が生じると思う。
新たな投資
その頃、52万円分の被害を訴えていたAさん。自分を勧誘してきた男からこんあ連絡が届いていいました。
今度は次の投資案件で「ビットシャワー」というのを紹介している。
返金の連絡どころか、新たなHYIP投資をしないかとAさんに呼びかけたのです。
その投資についてのセミナーは近く開催予定だといいます。
若者の間で広がるHYIP投資。トラブルにはいつ歯止めがかかるのでしょうか?
高配当うたう投資HYIP!被害弁護団結成へ!
「HYIP」を謳った投資商品を巡り配当の支払いがないといったトラブルが急増しています。
こうした被害の救済に向けて近く弁護団が初めて結成されることが分かりました。
あおい法律事務所
[blogcard url="http://aoi-law.com/"]
HYIPは海外のサイトで数多く販売されています。1日9%といった超高配当や他人を勧誘してボーナスを得る仕組み。仮想通貨での決済を謳うのが特徴です。
WBSではHYIPのリスクをいち早く指摘しましたが、東京の弁護士事務所には今朝から10件以上の相談が寄せられました。
多くはHYIPの一種、1日2%の高配当を謳う「D9」に関する相談で日本全国に被害の訴えが広がっているため、あおい法律事務所が中心となり7月にも弁護団を結成することになりました。
あおい法律事務所の荒井哲朗弁護士は、
問い合わせが1日でこういう(多い)件数になっている。弁護団を組成して集団訴訟としてやっていく。