クルーズ船の大型化が世界的に進んでいて、その結果一人あたりの料金が随分と下がってきています。
豪華な船旅が身近なもの、家族旅行でも行けるような状況になっています。
2016年の日本へのクルーズ船の寄港回数は過去最高の2,018回。
高まる人気に旅行各社も新戦略を次々に発表しています。巨大クルーズ船の争奪合戦を追いました。
株式会社阪急交通社
[blogcard url="https://www.hankyu-travel.com/"]
株式会社阪急交通社は4月10日、2018年のゴールデンウィークに向けた2種類のチャータークルーズ旅行を発表しました。
どちらも9日間の日程で青森・韓国・福岡などを周遊する東回りの春色クルーズと、高知・那覇・台湾などを周遊する西回りの夏色クルーズがあります。
春色クルーズではイタリアの「MSCクルーズ」の船を使用。最大で4,400人ほどを収容可能でカジノなどの娯楽施設が充実しています。
夏色クルーズで使うのはアメリカの「ノルウェージャンクルーズライン」の船で約2,900人を収容できます。気軽なフリースタイルが売りで予約なしでも多くの料理が楽しめます。
料金は食事代込みで大人1名が約10万円から。さらに13歳未満の子供は2人まで無料です。
株式会社阪急交通社の松田誠司社長は、
「クルーズ=豪華」のイメージがあり、料金が高いと思っているのが壁になっている。料金的には思い切った。
まずは料金のハードルを下げることで利用しやすくして顧客の囲い込みを狙います。
提携する船会社も日本市場に大きな期待を寄せています。
株式会社MSCクルーズジャパンのオリビエロ・モレリ社長は、
日本市場は今後も成長する、今まで以上に発展し変わっていくだろう。可能性は無限にある。
株式会社ジェイティービー
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株式会社ジェイティービーも3月、そごう横浜店にクルーズ専門店をオープンしました。
その中で初の試みが人気豪華客船「PRINCESS CRUISES(プリンセスクルーズ)」の専用デスクです。
株式会社ジェイティービーのグループ会社、株式会社PTSのクルーズラウンジ横浜、古瀬直樹さんは、
プリンセスクルーズはプレミアム客船だが、日本人向けにサービスやハードを新たに取り入れ4,5年目を迎える。さらにクオリティーを毎年上げ、日本人に馴染み深い船になっている。
豪華なディナーやエンターテイメント、さらには船上のプールなどありとあらゆる施設を整え、お客様をもてなします。価格は5泊6日で5万8,000円から。
利用客は、
一番最初にダイヤモンド・プリンセスに乗って、また行きたいと思って。絶対安いと思う。
そして今回、横浜に専用デスクをオープンした理由について、
国から横浜港は国際クルーズの拠点として決定した。横浜港はクルーズ港としてのステータスが高まってきている。
横浜市
その豪華クルーズ船を受け入れる港が横浜の大さん橋です。
現在、大型客船を2隻しかとめられず、その大さん橋のほぼ隣の場所に新たな港を建設しています。
横浜市港湾局、客船事業推進部の蝦名隆元担当課長は、
みなとみらい21地区の立地を生かして客船の受け入れと商業施設、街のにぎわいを創出するようなターミナルを建築する。
港はここだけではありません。
午前11時過ぎ、大さん橋から横浜ベイブリッジをくぐる豪華客船「飛鳥2」。5万トン級の客船ですが高さは横浜ベイブリッジとほぼ同じように見えます。
ベイブリッジの桁下高が55メートルなので55メートルの高さの船がだいぶ増えてきている。大黒ふ頭の再整備にあわせて、こちらで受け入れる。
同じく2019年に横浜ベイブリッジの手前にある大黒ふ頭に新たなターミナルを建設。
世界には「飛鳥2」より大きな10万トンを超える船が増えているため、横浜市は横浜ベイブリッジを通れない客船に対応できる体制を整えています。
横浜市港湾局の伊東慎介局長は、
小さい船から超大型客船まで、どんな船でも対応できる港を目指す。ワールドクラスのクルーズ港に横浜がなっていく。
東京都
クルーズ船の受け入れを強化する動きは東京でも。
東京都港湾局の西平倫治さんは、
これがふ頭に接続する道路の杭。世界最大級22万トンのクルーズ船が着岸できる新客船ふ頭ができる予定。
東京・お台場では世界最大のクルーズ船を呼び込むため新たなふ頭の建設を進めています。
現在、東京の海の玄関口は晴海ふ頭ですが、客船がふ頭に向かうためにはレインボーブリッジの下をくぐる必要があります。海面から橋までは52メートル。そのため高さ60メートル級の巨大クルーズ船は通行することができません。
そのため東京都は世界最大のクルーズ船にも対応できるようお台場に新たなふ頭を建てる計画です。
新埠頭には4階建てのターミナルビルを2020年までに建設予定。数千人規模が乗っている巨大クルーズ船は1回の寄港で数億円の経済効果が見込まれるといいます。
首都、東京の新たな玄関口なので、より多くの客船に来てもらい、ここからいろいろなところに観光、買い物をしていただければ。
東京ウォータータクシー株式会社
[blogcard url="http://water-taxi.tokyo/"]
大型客船から降り立ったお客様を呼び込もうと、すでに動き出したビジネスもあります。
東京都は実は川が非常に多い。その川を観光にもっと自由に使えないかという発想で生まれたサービスが、この船です。
東京都内の運河や川を自由に通行できる水上タクシー。貸し切り料金は30分5,400円から。
早速、乗り込んでみました。
タクシーなのでコース自由自在。しかも道路と違って渋滞はありません。
こんな事もできます。
東京ウォータータクシー株式会社の井上結葉さん、
目の前が目黒川の河口なので、ちょっと行ってみます?
急な思い付きで桜の名所、目黒川へ。ルートが決められた船ではマネの出来ない柔軟さです。
また最大の特徴は乗客定員6人という小ささです。大きな船では入れなかった細い運河や川へもどんどん入っていけます。
着いたのはJR田町駅付近の小さな船着き場。通い慣れた町並みも水路を使うことで全く違う表情を見せます。
現在、東京ウォータータクシー株式会社は都や区が所管する防災用の船着き場など27ヶ所を許可を得て利用しています。
しかし、
うち20ヶ所は1周間前に予約が必要。
現在稼働しているタクシーは2隻ですが外国人旅行客の利用増加を見込んで2020年の東京オリンピックまでには60隻までに増やす目標です。
ニューヨークやシドニー、香港などでは水上タクシーはメジャーな乗り物。東京の新しい魅力をこの船に乗って見つけてほしい。