[WBS] 日本とEUの関税がゼロに!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本とEUはEPA(経済連携協定)の大枠合意で一致しました。4年にわたる自由貿易交渉が事実上、決着したカタチです。

岸田外務大臣は、

閣僚間で大枠合意の達成を確認することができた。大規模な先進エコノミー間での初めての経済連携協定だ。保護主義的な動きの中で世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる。

ヨーロッパ6ヵ国の歴訪に旅立つ安部総理大臣。最初に訪問するベルギーでEU(ヨーロッパ連合)との首脳会議に臨み大枠合意の達成を最終確認します。

事実上の大枠合意に至った日本とEUのEPA。日本とEUの間にある関税の撤廃を目指して2013年から4年間にわたって交渉を進めてきました。

例えば日本からEUに乗用車を輸出する場合、現状は10%の関税がかかっていますが、協定発効後7年で撤廃される見通しです。テレビなどの家電製品、日本酒などの関税も撤廃される予定になっています。

逆にEU諸国から日本に輸入されるチーズ、ワインの関税も撤廃される予定です。豚肉の場合は現状1kgあたり482円の関税ですが、これが50円になります。そして革製品の関税も下がることからEU諸国ら輸入されるブランドバッグも安くなると見られています。

日本とEUの間で経済連携協定の交渉が事実上、決着したことでGDPで約2,410兆円、世界の約3割を占める巨大な経済圏が誕生することになります。

すでに関税撤廃を見越しEU諸国に向けての商品開発を進めている企業も出てきています。

月桂冠株式会社

清酒メーカー大手の月桂冠。日本酒が試飲できるコーナーにはヨーロッパから来た観光客がいました。

美味しいです!

しかし中には、こんな声もあります。スペインから来た女性は、

輸入しているから日本酒は高い。

現在、EU諸国では日本酒100リットルあたり最大7.7ユーロ(約950円)の関税が課されていますが、EPAで関税が撤廃されることで日本酒がEUの人にとってより身近なものになると見られています。

そこで月桂冠は8月からヨーロッパ市場を狙った日本酒を販売することにしました。その名も「樽酒(Taru Sake)」。

ヨーロッパの人にとって樽酒は日本酒の中でも特にインパクトの強いものだといいます。

そこで今回の商品は樽酒の木の香りをイメージしやすい木目調のパッケージにしました。

こだわりはほかにもあります。試飲をした伊大知明宏さんは、

すごくいい香り。杉のような香りがします。スッキリとした味わいで水みたいに飲みやすいです。

価格は約25ユーロ。従来より抑えた価格設定だといいます。

月桂冠貿易課の神吉勇佑さんは、

ヨーロッパでは50ユーロを超える商品が多く、毎日楽しむにはちょっと値段が高い。新商品は手頃な価格で楽しめる。

現在、月桂冠の輸出額は年間で約14億円。しかしEU向けの輸出額は1億8,000万円にとどまっています。EPAによる効果で5年後には2倍の3億6,000万円を目標にしています。

EPAで関税が撤廃されることで少しでも手に取りやすい価格になるのでは。清酒の需要が拡大して売上の拡大につながることを期待している。

日本酒・緑茶の輸出

日本酒の2016年の輸出額は約155億円。この5年で2倍近い伸びを示しています。

そしてもうひとつ同じように高い伸びを示しているのが緑茶です。こちらも2016年は約115億でこの5年間で2倍ほどに増えています。

日本とEUのEPAで日本からEUに輸出する緑茶の関税も撤廃される見通しですが、じつは関税がなくなるだけではクリアできないある事情がありました。

佐々木製茶株式会社

国内有数のお茶の生産地、静岡県掛川市。120軒の農家が作った茶葉を商品に仕上げる佐々木製茶。

年間4,000トンのお茶をつくり、約2%をEUに向けて輸出しています。

佐々木製茶の直販部、内山善貴部長は、

EUは3kg未満のパックで3.2%の関税がかかっている。関税がなくなるのはいい方向に働くのは間違いない。

EUで緑茶を多く輸入しているドイツの場合、実は安価な中国産が50%以上を占め、日本は大きく差をつけられています。

今回、日本とEUのEPAで関税が撤廃されれば巻き返しのチャンスだと期待を寄せています。

市内の茶農家、龍崎克範さん。次の収穫に向け茶畑の状態を調べていました。

虫や病気がないかどうか確認して防除する必要があるか、必要があればどんな農薬がいいのか見ながら検討する。

葉をよく見ると、葉っぱの裏にいたのはアブラムシ。ほかにもチャノミドリヒメヨコバイという虫の姿もあります。

虫から身を守りたいということで渋みが増えたりするのでまずくなる。

虫の被害などを防ぎ美味しいお茶を生産するには農薬が欠かせないといいます。

しかし日本とEUの間には残留農薬の基準が大きく異なるため関税以上に問題となっているのです。

例えばクロラントラニリプロールという農薬は日本では1kgあたり50mgまで認められていますが、EUの基準では0.02mgまで抑えないといけません。

佐々木製茶の直販部、内山善貴部長は、

EUの残留農薬基準に通るものをできるだけ多く作りたい。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする