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[WBS] 「多死社会」と向き合う!深刻化する「火葬待ち」

2016年10月25日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

浦和斎場

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さいたま市にある浦和斎場。

ここでは毎日のように葬儀が執り行われています。

この日も祭壇に飾る花が運ばれ、通夜の準備が進められていました。

しかし最近では葬儀を行うのも簡単ではないといいます。

株式会社さいたま福祉葬祭の藤田秀幸さんによると

きょうは亡くなってから4日目に通夜。空いている時で3~4日、混んでいる時で1週間~10日待つことも。

首都圏では人口に対して費用の安い公営斎場が少なく、利用者の希望する日に火葬できないことも。

いま火葬場が足りていないのです。

現在、130万人を超える全国の年間死亡者数は、今後も増え続け2030年には160万人に上ると予想されています。

ビジテーションホームそうそう

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増える火葬待ち。

その対策として2年前にできたのが「ビジテーションホームそうそう」。

ずらりと並んだ部屋の一つに案内してもらうと、

こちら、お部屋です。

部屋の中央に置かれていたのは棺。

実はここは遺体を一時的に安置する「ご遺体ホテル」です。

運営する株式会社アート企画の竹岸久雄社長は

冷たい雰囲気が出ないように自宅の一室っぽくしてシンプルな作りにした。24時間365日、営業しているので急な訃報を知って遠方から駆けつける方も時間問わず対面できる。

常に7割の稼働率だというこの「ご遺体ホテル」。

その背景には現代社会ならではの事情があるといいます。

一部の高層マンションでは規約で亡くなった方は戻ってはいけないとか、住宅も狭小になり、近隣に知られたくないとか。近隣との関係が希薄になっているので需要が増えているのではないか。

家にも帰れず、火葬もできないのです。

秩父斎場

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この問題を解決しようとすでに動き出している自治体も。

埼玉県秩父市など5つの地域が共同で運営する秩父斎場。

現代のニーズを取り入れたという新しい斎場の運用を今月から始めました。

利用者のプライバシーに配慮された個室の中で簡単な告別式や火葬、拾骨まで全てが一室で執り行えるようになっています。

秩父広域市町村圏組合の森真太郎事務局長は

これが最新のスタイル。プライバシーをしっかりと守り、最後のお別れをゆっくりとできる。

さらに火葬炉の裏側を見せてもらうと環境に配慮した最新設備が揃っていました。

こちらが火葬炉本体。すべてコンピューター制御で全自動でやっている。

こちらが火葬で出たちりなどを取る施設。きれいな空気を外に出している。再燃焼炉という施設では匂いも分解する。

煙による公害問題もあり、いわゆる「迷惑施設」と呼ばれてきた火葬場。

今回の建て替えに取り組んできた秩父市の久喜邦康視聴は、地元住民の理解を得るのは容易ではなかったといいます。

匂いや煙という話も出ていた。老朽化した火葬場を立て直さなくてはいけないと、地元の方々と協議を重ねてきた。迷惑施設という位置づけの建物だと思う。近隣の方々に理解をいただくため丁寧に説明したり、伺ったりして、ようやく地元の方々の了承をいただいた。

千葉県成田市

誰もがいつかはお世話になるものの日常生活からは距離を置きたい迷惑施設。

千葉県成田市で反対運動に参加する男性も自宅の目の前に葬儀場ができると知り、その心境は複雑です。

あまり気分としては良くない。確かに必要な施設だが10~20年続くと思うと、あまり喜べない。悲しみの気持ちを毎日受けてしまう。

小松加賀斎場さざなみ

[blogcard url="http://www.komakaga.jp/funeral/"]

故人と過ごす最後の日を有意義なものにしたいと動き出した自治体もあります。

石川県小松市が始めたのは「Uターン葬儀」。

県外で亡くなった小松市・加賀市にゆかりのある故人の葬儀を2015年の夏から本格的に受け付け始めました。

今年に入ってからUターン葬儀は4件執り行われていて、問い合わせも増加しています。

発案者の小松市の和田愼司市長、以前東京で葬儀に1周間近く待たされたことがきっかけでした。

こちらの葬式は午前10~11時開始がパターン。午後からの部は余裕がある。東京は午前午後に関係なく忙しい状態なので、まだ受け入れの余地はある。

また葬儀という最後のときを故人の生まれ育った土地を知るきっかけにもしてほしいといいます。

人間はそれぞれのルーツがどこにあるかを確かめることも長い人生では大事なことだと思う。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんの死を迎えた中で自分のルーツを改めて知り感じて欲しい。

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