[ガイアの夜明け] 「残業」やめられますか? ~15周年企画 ニッポン転換のとき~(3)

「残業」やめられますか? ~15周年企画 ニッポン転換のとき~

東京・杉並区。

都内にあるカフェ。パソコンに向かうのは田中大介さん(38歳・仮名)。

ブログなどの記事についてライターの仕事を副業としてやっている。

インターネット上で行う副業は月に2万円から3万円の収入になるといいます。

田中さんの本業はシステム開発会社の社員。あるものを見せてくれました。

昔の給与明細です。残業が合計55時間で残業手当が19万3,000円。

今年4月の給与明細では、残業の欄を見てみると17.5時間に減り手当は3万5,000円に。

月収は46万円から13万円以上減りました。

家族で過ごす時間はもちろん増えた。ただ残業代込みで生活をしているようなところがあった。家のローンとかもあるので生活は厳しい。

残業代が減ることで人々の暮らしに大きな影響が出始めています。

株式会社フレスタ

そうした問題を解決しようと模索を始めた会社がありました。スーパーマーケットのフレスタ。

広島・岡山を中心に58店舗を展開。地域で人気のスーパーです。

店舗を束ねる本部では営業や管理部門などで約130人が働いています。定時は午前6時から午後6時まで。その終業時刻直前、突如、何かに追われるように一斉に慌ただしくなります。

そして6時を5分過ぎると突如、部屋の明かりが落ち次々とパソコンが消えていきます。

これは会社が考え出した苦肉の策でした。

残業削減策

中国地方でスーパーマーケットを展開するフレスタ。

その本部で終業時刻の午後6時を過ぎると突然照明が落ちたと思ったら、続いてパソコンが強制的にシャットダウンされました。

さあ帰りましょう。

社員へ定時での退社を促し、照明を次々に落としていきます。

指揮をとるのは人事総務部長の渡部裕治さん(43歳)。

「終わった」という意思表示は電気を消したり、パソコンをシャットダウンした方が分かりやすい。会社の仕組みで意識を変えてあげる方が現実的。

長時間労働を見直そうと2月から始めた荒療治です。

佐東美亮さん

この日、定時で帰宅する1人の社員、佐東美亮さん(38歳)。

今までは6時以降に残るのが当たり前の空気だったけど、6時以降に残るのが悪いことみたいな雰囲気には確実になっている。

長女の美沙ちゃん(6歳)をはじめ3人の子供たち。それに産休中の妻、和美さん(29歳)の5人家族です。

一家揃っての夕食。

「パパが早く帰るのはうれしい?」

うれしい。パパがいないから寂しい。

子供たちと「学校でどうだった?」という会話ができるだけでも全然違う。

みんな定時退社を歓迎しているようですが、残業代が減ることについては、

急な出費がくると、ちょっと厳しいかな。

家計の面では少し不安もあるようです。

商談

翌日、出社した佐東さん。まずは売り場のチェックです。佐東さんの仕事は食品のバイヤー。商品の仕入れから配置まで約2万点を担当しています。

午後4時、大事な仕事が始まります。取引先との商談です。

まずは味噌メーカーからの売り込み。

実は佐東さん、残業を減らすため商談にかける時間も見直しました。

1社、基本は15分までと。

これまで30分だった商談を半分の15分にしたのです。

しかし、

今日はいっぱいありますね。

次々と出てきます。どの商品を仕入れるのか売上に関わる重要な業務。そう簡単には終われません。

2件目の売り込みはうどん。また試食。

そして最後はお茶。

この日の商談は3件。45分で終えるつもりが2倍の1時間半かかりました。

「予定よりは?」

だいぶオーバーしました。

「帰れそう?」

今日はちょっと帰れない。無理です。

電気が落ちるまであと30分。残業をするには必ず事前の申請が必要です。

なんなんですかね。恥ずかしいんですけど。定時で上がれないという見せしめですかね。

6時を過ぎました。佐東さん、締切が迫ったチラシのチェックを始めます。そこにやって来たのは人事の渡辺さん。

今日は残業?早く帰ってね。

無理です。

簡単には残業をゼロにできない現実があります。この日もほかに何人か残っていました。

訴え

そんなある日、人事の渡辺さんのもとに一通のメールが届きました。

そこには残業代が減り手取りが下がったという訴えが。会社はどう対処するのか?

残業削減を進めるスーパーのフレスタ。大きな問題位に直面していました。

人事総務部長の渡辺裕治さん、

お配りしているメールが今日来た。

社員から届いたメール。そこには「残業代が減り給与の手取りが下がって困っている」という悲痛な訴えが。

現場も一生懸命、残業を減らしているという現状で、生活給として残業していたものがなくなった。ここを含めたインセンティブ(報奨金)の設計をやっていってあげないと。

実は会社は対策へと動き出していました。それは残業時間に応じて最大20万円を支給するという制度。

社員は残業を減らした分、残業代がなくなり収入が下がってしまいます。そこで会社は浮いた残業手当の分を還元しボーナス時に1人最大20万円を支給しようというのです。

働く人たちが残業せずに最大20万円をもらえることにメリットを感じてもらえれば、そもそもの働き方を変えてくれないかなと。

まさしく今やっていることを進めていくことが一番重要なんだろうなと。

この制度にはもうひとつの狙いがありました。

数日後、フレスタでは来年度の新卒採用の説明会が開かれていました。

皆さんが入社を仮にするだろう来年以降は、今よりももっと働きやすい会社を目指して取り組みをしています。

渡辺さん、現在進めている残業削減の取り組みを説明していきます。

残業を僕はあまりしたくないと思っていて、企業が率先してやってくれるなら、いいのではないか。

ダラダラと仕事をするよりは減らして効率よく仕事ができるのはいい。

こうした新たな働き方を積極的にアピールすることで学生からも選んでもらえる企業になろうと考えていたのです。

従業員の働き方を見ながら、「この組織にいて良かった」と思ってもらえる組織に近づけるために、たくさんこれからも施策を打っていきたい。

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