[ガイアの夜明け] 若者が磨く!新「特産品」(1)

若者が磨く!新「特産品」!

EVERY DENIM(エブリデニム)

東京・豊島区の商店街。その通りに一風変わったお店があります。

「とんかつ」と書いていますが中を覗くと、そこはカフェ「シーナと一平」。

しかも店の一画でジーンズが売られています。このジーンズには驚きの特徴があります。

実は従来のストレッチ素材の5倍の伸び縮みする伸びるジーンズ。

手掛けたのは「EVERY DENIM(エブリデニム)」という聞きなれないブランド。

兄、山脇耀平さん(24歳)、弟の島田舜介さん(22歳)の兄弟2人が立ち上げました。

自分たちの手で届けたいというのが一番、手にとったお客様も長く愛用してもらえるかなというのが狙いとしてあるので。自分たちが直接対面で販売することを大切にしている。

エブリデニムは日本全国で試着会を開き、常識を打ち破るこだわりのジーンズを販売してきました。

ベンガラ

岡山県倉敷市児島、エブリデニムでこの町で産声をあげました。

この日、弟の島田舜介さんが訪ねたのはジーンズの加工工場「美東」。

この工場と共同で作ったのがエブリデニムの第一弾「ベンガラ」です。

名前の由来は黒い色ムラ。実はベンガラという顔料で着色されています。ベンガラとは酸化鉄からつくる天然の顔料。古くは江戸時代から建物の防腐剤などに使われてきました。

ベンガラ発祥の地は岡山県。今も古い家にはベンガラで赤く染められた窓格子が残っています。

しかし昭和40年代から化学染料が普及、現在ではほとんど作られていないといいます。

この工場ではベンガラをジーンズに応用しようと2年間試行錯誤、生地の染料として使う技術を開発したのです。

エブリデニムは児島の隠れた技術を掘り起こし、高品質なジーンズに蘇らそうとしていました。

実際にジーンズを作っている工場は日本全国を探しても岡山・児島エリアを中心に広がっているので、岡山を拠点に活動していきたい。

ニッセンファクトリー株式会社

岡山県倉敷市児島、ジーンズ産業が盛んな町として知られ繊維から縫製まで多くのジーンズ関連工場が集まっています。

そのひとつ「ニッセンファクトリー」を訪ねてみると、ジーンズを履いた大勢の若者がバスで乗り付けていました。

この日行われていたのはジーンズ工場の見学会。東京や大阪などからわざわざやって来ました。

ここはジーンズの加工を行う工場。小さな石と一緒に洗濯機からジーンズが次々に出てきます。

これはストーンウォッシュという加工。石と擦れることで古着のような風合いになるといいます。

別の場所では手作業でジーンズを磨いていました。これは色落ちを再現するアタリ加工と呼ばれる作業。1本1本、職人の手で自然な色落ちを作り出しています。

このツアーを主催したのはエブリデニムの2人です。

自分が普段、身に着けているものが、どこでどういうふうにどんな人が作っているかを知ることで。自分の身に着けているものに愛着が湧いたり、長く大事にしたいと思ってくれると考えている。

児島

温暖な瀬戸内海に面した児島は辺り一面に塩田が広がる塩の町として栄えていました。

しかし塩分が多い土地では稲作ができません。

そこで目を付けたのは塩分を吸収する綿花の栽培でした。収穫した綿花は学生服に加工され地域の産業に発展。

その技術は戦後、若者のあいだで流行したジーンズに応用され、児島は国産ジーンズの聖地と呼ばれる成長を遂げたのです。

しかし、中国製など低価格ジーンズに押され、ここ30年で関連工場は3分の1に、町はかつての元気を取り戻せないでいました。

昔は賑やかだった。土曜市とか祭りとかいったら商店街は人が通れないくらい。でも今は猫の子一匹いない。

島田舜介さん

岡山市にある岡山大学。

そこにエブリデニムの島田舜介さんの姿がありました。実は島田舜介さんは環境学を学ぶ現役の大学生。

デニムの染色や洗い加工をしている工場から出る排水を、どうやったら効率的にきれいな水にして河川に放出できるかというテーマで研究をしている。

平日は大学で研究をしながら、休日をエブリデニムの活動にあてています。

2人が生まれたのは兵庫県加古川市。ジーンズが大好きな兄弟でした。

大学進学を機に岡山へ、授業の一環で児島を訪れジーンズ産業の衰退を目の当たりにしました。

児島が持つ高い技術を多くの人に知ってほしい、そんな思いから兄の山脇耀平さんに声を掛け2015年にエブリデニムを立ち上げたのです。

株式会社ショーワ

2人の新たな商品作りが始まっていました。

この日向かったのは児島にある生地メーカー「ショーワ」。

ジーンズの町ならではの豊富な種類の生地を手掛けています。

社長の高杉哲朗さん、エブリデニムに使ってほしいというとっておきの生地を取り出しました。

横シルクのデニム。

シルク100%ですか?横糸は?

そうです。

シルクと綿で織ったシルク混という生地。通常のデニム生地と比べて目が細かく光沢感と柔らかい肌触りが特徴です。

デニムというと粗い感じのイメージがあるが、これはぱっと見てすごくきれいだと思う。いい意味でデニムっぽくない。

これから売り出そうとか、若い人でやっている方が自分たちで考えて作ろうという力がある。そういう意味ではうちの素材をうまく使いこなしてくれるのは若い力。

いいものを作りましょう。

シルク混の製造現場を見せてもらいます。大きな音を立てているのは生地を織る機械。

シルク混は縦糸に綿、横糸にシルクを使います。他の生地より高度な技術が必要とされています。織りのスピードは1時間に4メートル。通常のデニム生地の倍の時間をかけてゆっくりと織り上げます。

繊細なシルク混は縫製も難しいとされる生地です。果たしてエブリデニムはどんなジーンズを作るのか?

新作ジーンズ

1週間後、島田舜介さんは早速新作ジーンズのデザインに取り掛かっていました。

目指すのはシルク混の高級感を生かしたジーンズの常識を破るデザインです。

ジーンズはカジュアルすぎるので履いていける所が限られている。きれい目なスタイルのパンツにしようと思っているので、履いていく場所を選ばないジーンズにできたらと思う。

新作ジーンズのデザイン

東京・八王子。この日、島田舜介さんが訪ねたのは兄の山脇耀平さんの部屋です。

実は山脇耀平さんも現役の大学生。

ここから茨城県の筑波大学まで通っています。

島田舜介さん、新作ジーンズのデザインを見せに来ました。股上と呼ばれる部分を深めに取っています。ポケットは大胆に斜めにカット。通常のジーンズとは全く異なるデザインにしました。

今までなかった感じだからいいかなという気もする。

光沢感が出ると思うから写真でもうまく伝えられるかどうか。

橋本被服株式会社

再び岡山県倉敷市。島田舜介さんが足を運んだのは以前、エブリデニムのジーンズ作りに協力してくれた工場。

サンプルを縫製するための打ち合わせにやって来ました。

生地を見た橋本被服の高畠晴彦さんは、

これ生地?

シルク混の生地になります。

シルク混か。

普段あまり見ることのない特殊な生地。高畠さん、ある提案をします。

あまり太い糸は使えない。

今回、縫い合わせる糸はシルク混に合わせて細いものを使うことにしました。

早速、サンプルの縫製に取り掛かります。糸を変えるだけでなく縫うスピードにも気を使います。

本当のデニム生地は一気に縫うが、シルク混は早く縫える素材ではない。

シルク混は一般的なデニムと比べて薄く柔らかい生地。その為、通常のスピードで縫うと生地が針に引っ張られ縫いジワが出来てしまいます。

それを防ぐため、ミシンをゆっくり動かし通常の倍の時間をかけて縫製をしていきます。

デザインも生地も縫製も全てがいつもと違う今回のジーンズ。果たして?

サンプル品

1ヶ月後、島田舜介さんは再び兄の山脇耀平さんの元を訪ねました。

持ってきたのは完成した新作のサンプル。

どんな感じ?はき心地は?

軽やか、すごい。

ところがシャツにジーンズの色が移ってしまったのです。

表と同じシルク混の生地を裏側にも使っていたのが原因でした。

新品だからかな。洗ってないし1回も。

これ絶対に色が付く、そしたら。

履いてみて初めて気付いた問題点。島田舜介さん、どう解決するのか?

5月下旬、島田舜介さんは再び縫製工場を訪れました。

色移りの解決策を考えてきたというのです。

それが細長い布。

ポケットの裏地と同じ生地を使って色移りしないようにしている。

シルク混の上に別の生地を縫い付けることで元のデザインや耐久性も損なわれないといいます。

移動販売

生地選びから8ヶ月、ついに新作ジーンズが完成しました。

あまりタイトに作りたくなくて、割とゆったりとしたシルエットに作りたかったので、良かった。

6月3日、東京都内のある場所へ1台のキャンピングカーが訪れました。若い世代が多く住む地域です。

エブリデニムはここで何をしようというのか?

実はこの日は新作ジーンズの発売に合わせたキャンピングカーでの移動販売。店舗を持たない2人の得意とする販売方法です。

テントを設置して試着室として使用します。

20分後、売り場が完成しました。

早速、1人目のお客様がやって来ました。

これが一番新しいシルクを使ったスラックス型のデニムパンツです。

評価は?

いいです。履き心地もいいですね。ちょっと光沢もある。ドレッシーな感じでしょ。

素材にこだわっていると説明を受けたが、履き心地は良かった。

女性は、

もも回りが締め付けられない。

新作ジーンズは10月から本格販売していくといいます。価格は2万円前後にする予定です。

僕たちが工場の技術を発信していく。今までよりお客様に現場に来てもらったり、そういう活動を通して、もう一度、児島という産地が元気になればいいと考えているし、僕たちがその力になれればと思って活動している。

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