[ガイアの夜明け]「働き方が変わる」女性の「チームワーク」が地方を変える!(1)

女性の「チームワーク」が地方を変える!

串家

静岡県沼津市、ここに最近流行りの居酒屋があります。

串家。

一番人気は何と言っても「焼き鳥」。

お父さんたちに絶大な人気です。

店内を見渡すと男性客に混じり女性客や家族連れの姿もあります。

彼女たちのお目当てはお店のオリジナルスイーツです。

中でも人気なのがアイスが乗ったドーナツケーキ(714円)。

そして甘酒がかかったレアチーズケーキ(421円)です。

2年前からスイーツメニューを充実させたところ女性客が急増したといいます。

女性のお客様は

カフェで出てきそう。おいしい。

社長の土屋亜里沙さん、父親が作った串家を4年前に継ぎました。

7割は男性客でした。女性のお客様を取り込もうと考えて。

スイーツの導入に伴い、メニュー表もかわいいイラスト入りに変えました。

さらに昼間でも使ってもらおうと特別なパンフレットを用意。

七五三や誕生日パーティー、ご法要などの需要を掘り起こしました。

その結果、女性のお客様が全体の半数を占めるようになり、売り上げも3割増加。

実はその裏には意外な仕掛け人たちがいました。

コトリスラボ

静岡県三島市にある事務所風の建物。

中では会議をしているようですが、ほとんどが女性。

そして発表している女性の背中には、なんと小さな子どもが。

企画のアイデア出しなどを行っています。

会議に参加している女性も子連れ。

実はここ、子供連れでもOKの女性専用のシェアオフィス「コトリスラボ」。

自分で何かビジネスをしたいと思っている女性が利用料を払えばオフィスとして自由に使える場所なんです。

その利用者の中に「串家」立て直しの仕掛け人たちがいます。

スイーツメニューを考えたのは平賀亜紀さん。

フレンチの一つ星レストランでパティシエとして仕事をしていた。

彼女は5歳の子供を持つフリーランスのパティシエです。

さらに2人の女性も

写真を撮っています。小学校5年生と1年生と年少の子供がいます。

パンフレットの写真を撮ったカメラマン。

もう一人の女性は

グラフィックデザイナーです。2人いて今5歳と2歳です。

メニュー表を作ったフリーランスのグラフィックデザイナーです。

実はコトリスラボでは中小企業や飲食店から仕事を請け負い、依頼された内容に合わせ最適なメンバーがチームを組んで担当します。

「串家」の店舗改革もそうした女性のチームで取り組みました。

このコトリスラボを作ったのが寺田望さん(33歳)。

子育て中の女性でも働ける場所を作ろうと2014年に開設しました。

すると得意な分野を持つ女性たちが地方にも数多くいることに気付いたといいます。

一人一人のちからは弱くても集合体として、より大きい仕事、ハードルの厳しい仕事をみんなで受注して回して助け合って、より高めていこうと。そういう組織をつくれば成り立つと実感した。

この子育てママのチームがいま地元で引っ張りだこ。

開設から2年間で80件もの依頼を請け負い、成果を上げています。

女性のチームワークが地方を変える、その新たな可能性を追いました。

株式会社三光ダイカスト工業所

富士山を望む静岡県三島市。

自動車部品を作っている株式会社三光ダイカスト工業所。

1964年創業で、従業員は120人。

アルミでドアミラーの部品を作ることに定評があり、大手自動車メーカーに提供しています。

3年前に父親からこの工場を受け継いだ三宅ゆかり社長。

メーカーの海外移転もあり売り上げは低迷していました。

30億円から15億円に下がった時期に私が交代したので、はっきり言って厳しい。うちの技術を生かして何かいいものができるなら挑戦したい。

そこで三宅ゆかり社長が頼ったのが寺田望さん率いるコトリスラボの女性たち。

新しい事業の可能性を女性目線で探ってもらおうというのです。

第一回会議

5月17日、初めての打ち合わせ。

お互い緊張した面持ちで名刺を交換していきます。

まずは工場見学。

複雑な形状が作れる。1つ作るのに大体30秒。

溶かしたアルミから部品を作る様子を始めて見た女性たち。

見学を終えた寺田望さんは、

皆さんの強みとかを引き出しながら、新しいものづくりをしていこうと。

するといきなりアイデアが、

「スチームパンク」って分かりますか?歯車とか、部品とか。今の波に乗ればすごく注目度は高い、海外も日本もダブルでいける。

「スチームパンク」、株式会社三光ダイカスト工業所の職人たちは初めて聞く単語に戸惑いを隠せません。

スチームパンク

「スチームパンク」とは産業革命時代の古い機械をモチーフにしたSFの世界のこと。

映画「ハウルの動く城」もその一つと言われています。

実は世界に熱狂的なファンが多く、そのレトロなファッションも人気です。

歯車などを使ったアクセサリーは一品物の手作りで高い値段で売られています。

コトリスラボの女性たちは工場で作っていた部品を見てスチームパンクのアクセサリー作りを提案したのです。

これだったら三光ダイカストさんらしい感じがする。

どんなものかを見せても職人たちの戸惑いは増すばかり。

スチームパンクとは何だろう。全く想像つかない世界。

寺田望さん

コトリスラボの女性をまとめる寺田望さん、かつてはコンサルタント会社に勤務し多くの会社を見てきました。

彼女もまた家に帰ると妻であり、3歳と1歳の2人の子を持つママでもあります。

そんな寺田望さん、今回のスチームパンクの提案に可能性を感じていました。

海外の方がむしろファンが多い。スチームパンクといえば理解される人も多かったりする。今まで三光ダイカストのことを知り得なかった人がファンになって応援してくれることになる。

小泉智秋さん

コトリスラボのオフィス。

今回のプロジェクトで要となる女性がやってきました。

イラストレーターの小泉智秋さん(31歳)。

3歳の子を持ち2人目を妊娠中です。

小泉智秋さんはイラストを書き始めました。

皆さんのコスチュームをデザイン。方向性を考えているところ。

職人にスチームパンクのイメージを掴んでもらうためのイラストです。

第二回会議

初顔合わせから約2週間後の5月30日。

株式会社三光ダイカスト工業所で2回目の会議が開かれました。

まず、イメージ作りから入ったらどうかと思い今回描いてみた。

小泉智秋さんは描いてきたイラストを配りました。

これを元にアクセサリーを作っていこうというのです。

さらにこんな提案も、

このビラビラなんかも使えそう。

それはドリルで穴を空けた時に出る削り屑。

これまで捨てていたものや使わなくなった部品を組み合わせればアクセサリーができると提案したのです。

これをじっと聞いていた萩野稔工場長は

イメージが固まったから、すごくやりやすくなった。作るにしても何を作ればいいか全然分からなかった。

早速、アクセサリーを作るための廃材集めが始まりました。

捨てるしかなかったものや、いらなくなったものが宝の山になるというのです。

反対派

しかし、株式会社三光ダイカスト工業所の社内は一枚岩ではありませんでした。

先代の時代から会社を支えてきた大番頭の今井輝雄取締役は

スチームパンクと聞いたけど、言葉自体初めてでどういうものかも分からなくて作り方自体、全然違うんじゃないかなと思って。

すると、寺田望さんが呼び出されました。

この事業についてもう一度説明してほしいというのです。

そこに待ち構えていたのは株式会社三光ダイカスト工業所の幹部たち。

反対派の今井輝雄取締役の姿もあります。

寺田望さん、正念場です。

「子育てママ」というフィルターを取ってもらって、それぞれみんなプロフェッショナルです。私たちは成功をさせるためにやっているんです。成功させるためにやるのであれば、マイナスな意見はやめていただきたい。

寺田望さんの発言に今井輝雄取締役は、

私どもの仕事は計画を立てて目標を立てて、そこに向かっていくが、その辺の方向性がちょっと見えないのが不安。

1時間ほど話し合いましたが説得には至りませんでした。

ただ10月に東京で開かれるスチームパンクのイベントに出展することは認めてもらいました。

そこでアクセサリーなどを試験的に販売しようというのです。

社員たちはいらなくなった部品を使い、アクセサリー作りを始めました。

自分なりにイメージを膨らませて作ります。

アクセサリー

イベントまで2ヶ月を切った8月23日。

コトリスラボのメンバーが再びやってきました。

そこには廃材で作ったアクセサリー。

ネジや削り屑からネクタイピンを生み出していました。

ネクタイピンの他に髪留めなども。

元々職人、器用な人が多いのです。

そしてイベントの時に着るコスチュームも披露。

これには女性陣も盛り上がります。

イラストを元に使い古しの作業着や廃材で作りました。

それを心待ちにしていた人が、イラストを書いた小泉智秋さんです。

彼女が見せてくれたのは赤ちゃん。

出産して1ヶ月も経っていませんがテレビ電話で会議に参加します。

完璧ですね。

その出来栄えに満足した様子。

コトリスラボの他のメンバーもそれぞれの特技を生かし動き出していました。

工場では映像ディレクターの三間希子さんがPRビデオを作成中。

Webデザイナーの守野由紀子さんが自ら作ったオリジナルのロゴと仲間のカメラマンが撮った写真を組み合わせてホームページを作っていきます。

スチームパーク

10月8日、新宿歌舞伎町で今年5回目を迎えるスチームパンクのイベントが開かれました。

なんと来場者は2万人を超えるという日本最大のイベントです。

意外にも若い女性の姿が目につきます。

株式会社三光ダイカスト工業所のブース。

いよいよアクセサリーを販売します。

ネクタイピンは6,000円。ネックレスは5,000円です。

映像ディレクターが作ったビデオを流して客寄せに。

職人が自ら作ったアクセサリーを販売します。これも初めてのことです。

工場にある余材のネジとかを利用して。

これいいな。買います。

いきなり売れました。

それはネジや廃材を小瓶に詰めたネックレス。6,000です。

手作りのアクセサリーが面白いように売れていきます。

まさかアルミ部品の企業が、こんな奇抜なおしゃれなものを作るとは思わなかったので購入した。

外国の方の姿もあります。

こちらの女性はピアスを購入しました。

娘のために買いました。とてもきれいだったので。

スチームパンク、やはり海外でも人気があるようです。

そんな中、会場には意外な人物が。

今井輝雄取締役です。

自分の目でスチームパンクの人気を確かめに来たといいます。

社員に見つかり株式会社三光ダイカスト工業所のブースへ。

みんなのコスチューム姿に今井輝雄取締役、苦笑い。

こういうものが人気だと知らなかったので、そういう面ではびっくりした。なかなか下請けの仕事だけだと行き詰まりになるので、違う分野を探すのもいいかなと。

最後は仲良く記念写真。

子育てママたちの意外な提案が老舗の町工場に変化を起こしました。

コトリスラボの寺田望さんは今回の成果をどう評価したのでしょうか?

私たち自身が子育ても仕事も両方諦めたくない。助け合うことで高いレベルに到達したい。社内だけでは解決しきれなくて悩みを抱えている企業、両方の課題を一緒に叶えることができるので、どんどん広がっていく可能性は感じている。

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