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[WBS] マイナス金利で増加?銀行カードローン破産

2016年3月19日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

銀行カードローン

コンビニやATMで手軽にお金を借りられる銀行のサービス。

この銀行カードローンで破産する人が増加しています。

田中絵里さん(仮名)

田中絵里さんはパートで働き、3人の子供を育てる女性です。
5社から総計217万円の借り入れをしている多重債務者です。

2014年9月、アイフル株式会社から約65万円の借り入れをしました。
さらにクレジットカード会社からも約30万円を借り入れました。

初めは家計の足しにするつもりでしたが、増やそうと思いギャンブルにも使用。

借り入れをしたのは消費者金融やクレジットカード会社だけでなく、メガバンクからも借り入れをしています。

そのうちの一つが株式会社三菱東京UFJ銀行。2015年3月に約50万円を借り入れました。
使用したサービスはBANQUICという銀行カードローンです。

[blogcard url="http://www.bk.mufg.jp/kariru/card/banquic/"]

消費者金融の方が借りられない、銀行の方が借りられる

田中絵里さん(仮名)は言います。

昔は銀行で借りられない方が消費者金融で借り入れをしていました。
しかし、現在では消費者金融で借りられない方が銀行で借り入れをします。

急速に増える銀行カードローン

日本銀行の調べによると利率12.25%以上の貸出金は3年間で急増していて約1兆円ほど増加しています。
3年前と比較して倍の貸出金になっています。

そして問題になっているのが銀行から借り入れをした方の自己破産です。

東京市民法律事務所

[blogcard url="http://www.tokyocitizens.com/"]

東京市民法律事務所で債務関係を専門に行っている三上理弁護士によると、全国で破産件数は約6万数千件。
負債が300~400万円の方の場合、銀行からの借り入れが主な原因になっているそうです。

改正貸金業法

過去にあった消費者金融による過剰な貸し付けや過酷な取り立て。
それが社会問題になり2006年に貸金業法が改正されました。

消費者金融などの金融業者に年収の3分の1を超える貸し付けを禁止する改正でした。

しかし、この改正貸金業法は銀行は対象外だったんです。

年収600万円の多重債務者の借金の内訳

株式会社三菱東京UFJ銀行から約200万円。
株式会社りそな銀行からも約200万円

2つの銀行から年収の3分の1を超える約400万円を借入れていました。

銀行から借りたはずですが資料には消費者金融の名前が記載されています。
株式会社三菱東京UFJ銀行から借りた部分にはアコム株式会社。
株式会社りそな銀行から借りた部分にはオリックス・クレジット株式会社の名前が記載されていました。

消費者金融などが保証

銀行カードローンでは消費者金融などの貸金業者が保証を行うケースが一般的です。

株式会社三井住友銀行の三井住友銀行カードローンは「プロミス」を運営するSMBCコンシューマーファイナンス株式会社が保証会社。
株式会社みずほ銀行のみずほ銀行カードローンはクレジットカード会社大手のオリコ(株式会社オリエントコーポレーション)が保証会社になっています。

銀行への返済が滞っても保証会社の消費者金融などが肩代わりをしてくれます。
銀行はリスクが少なく、借り手の返済能力を超える過剰な貸し付けが行われています。

全国ヤミ金・悪質金融対策会議

弁護士や司法書士、大学教授などが集まる全国ヤミ金・悪質金融対策会議。

そこで銀行が発行している銀行カードローンの広告が紹介されていました。
その広告の中には「銀行のカードローンは改正貸金業法による総量規制の対象外です。」など「改正貸金業法の対象外」の文字が書かれています。

一昔前でしたらヤミ金の広告だと思える文面です。

宇都宮健児所長

東京市民法律事務所の宇都宮健児所長は言います。

預金金利が0.0001%、数%で貸せばかなりの利ざやが出る社会状況。昔、消費者金融が多重債務者を生んだ役割を銀行がする可能性が大いにある。法規制を銀行も一緒にやるべきだ。

全国銀行協会

[blogcard url="http://www.zenginkyo.or.jp/"]

改正貸金業法の対象外の銀行が多重債務者を増やしている現状に全国銀行協会の佐藤康博社長は

われわれ金融機関はお客様の返済能力をしっかりと見たうえで深度のある審査。すなわち個人のお客様がしっかり返済できて生活を壊すことがないというレベル、それをしっかりと見極めた上で適切な対応を行っている。

と言います。
しかし改正貸金業法による総量規制の対象外と宣伝し、年収の3分の1以上の貸し出し示唆する銀行について尋ねてみると

いま指摘のあった事実は認識していない。

と広告については知らないと口をにごします。

地方銀行がカードローンを強化

地方銀行大手の株式会社静岡銀行では静岡銀行カードローン「セレカ」を2015年7月より商品性を一新して取り組みを強化しています。

[blogcard url="http://www.shizuokabank.co.jp/"]

「セレカ」の平均利率は12.2%。

過剰な広告は行っていませんが2015年度下期で75億円で前年期の約5倍となっています。

株式会社静岡銀行の中西勝則頭取は言います

セレカの収益率はかなり高い。コアな事業が金融緩和をしていく中で儲からなくなっていくだろう。なんとかしなくてはいけない。マイナス金利でコアの事業はかなり苦しい。カードローン事業で助かっています。

アベノミクスの影響

金融緩和で法人への貸し出しや住宅ローンが苦しくなると見て各銀行がカードローン事業を強化。

超低金利政策がどんどん進行すれば資金は少しリスクが高くても利ざやの取れるところに向かいます。
サラ金地獄がまた再現するのではという懸念も持っています。

聖学院大学、政治経済学科の柴田武男教授は言います。

若者の自己破産

若者の自己破産が深刻な状況になっています。

自己破産する方のうち20代が1割以上、20代と30代を合わせると4割近くまで達します。

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