[ガイアの夜明け] ニッポン転換のとき〜追跡!食品ロスとの闘い(3)

ニッポン転換のとき〜追跡!食品ロスとの闘い

株式会社日本フードエコロジーセンター

神奈川県相模原市。ここには毎日、大量の食料廃棄物が運ばれてきます。

まだ食べられそうな「おにぎり」や袋いっぱいに詰められた「パン」、これらはスーパーやデパートから回収してきた食べ物です。

この施設では廃棄物をブタの飼料にして再利用しています。

このパンは明日が消費期限。まだ柔らかくもっちりした感じ。

期限前に捨てられる商品。

背景には日本独自の不可解なルールがあります。

株式会社ブラウンシュガーファースト

これに対して食品メーカーの中から声を上げる人が・・・。

荻野みどりさん(35歳)、有機栽培で作られた食品を手掛ける会社の社長です。

食品を仕事にしている人が食料廃棄について声をあげていない。その不自然さをどうにかしようと。

店頭から撤去され大量に捨てられる食品。

その原因は賞味期限をめぐる奇妙な慣習にありました。

かつて大ブームになったココナッツオイルが大量に倉庫に。

一体なぜ?

捨てたくて始めたわけじゃない。捨てたくて買ったわけじゃない。

ビオセボン・ジャポン株式会社

オーガニックの食材を専門に扱っているスーパー「ビオセボン麻生十番店」。

棚の一画にブラウンシュガーファーストというメーカーの食品が並んでいます。

中でも一番売れているのが有機エキストラバージンココナッツオイル(1,780円)。

ビオセボン・ジャポンの岡田尚也さん、

家族を中心に人気がある。

天然の植物油で健康や美容に良いと言われるココナツオイル。

ブラウンシュガーファーストの社長の荻野さんはその品質に惚れ込みました。

自ら生産地のスリランカに出向き、素材を厳選。現地の人達と商品化したのです。

使い勝手がいいし、おいしいし、日本中に届けないといけないと思った。

荻野みどり社長

元々はアパレル業界で働いていた荻野さん。

2年前に離婚し、今は娘と2人で暮らしています。

会社を作ったのは出産後。子どもを持ったことと深く関わっていました。

私が食べたものの影響が母乳を通じて子どもに現れる。ケーキを食べると娘に湿疹が出たり、ジャンクなクリームとか甘いジュースを飲むと娘が便秘になったり、その時にハッとして大変だと。

自分の子供に食べさせたい食品へとブラウンシュガーファーストを2011年に創業。

ココナツオイルブームの火付け役として注目されます。

しかし賞味期限が残っているのに店頭から商品が撤去されることに疑問を感じていました。

3分の1ルールを切ってしまうものが出たりして、食品メーカーは食べ物を廃棄する選択肢が近くにあることに衝撃を受けた。

3分の1ルール

福岡市、荻野さんが見せたいものがあるといいます。

倉庫が並ぶ一画です。

ここに置かれているのは

これ、どこがダメなのか本当に分からない。

取り出したのは自社のココナツオイル。

ココナツオイルなどの食品が山のように積み上げられています。

これらは全て3分の1ルールなどによって売れなかったものです。

ココナツオイルの賞味期限は12ヶ月。

最初の4ヶ月が店への納品期限です。

小売店から発注を受けたもののブームが去り買い取ってもらえなかったものです。

たとえ納品できたとしても次の4ヶ月で売れなければ店頭から外されます。

賞味期限12ヶ月
製造日 ←;4ヶ月→; 納品期限 ←;4ヶ月→; 販売期限 ←;4ヶ月→; 賞味期限

賞味期限が4ヶ月も残っていても店から引き取り捨てるしかありません。

捨てたくて始めたわけじゃない。捨てたくて買ったわけじゃない。皆さんの食卓にちゃんといって、おいしく食べていただくためにやっているけど。

3分の1ルールによって販売できる期間が短くなるためメーカーは在庫を抱えるリスクが高くなります。

井手留美さん

なぜこんなルールが作られたのか?

食品ロス問題に詳しい井手留美さんは、

お客様に新しいものを提供するために、みんなで均等にリスクを分け合う考え方。

1990年代に大手小売店がルールとして設定。他の小売店も追随した。

小売店

問題は3分の1ルールだけではありません。

東京にある商品の倉庫。

これはココナツオイルです。

小売店から依頼されて作った商品。ココナツオイルを小分けにして売りたいという要望に応えましたが、

小売店からの声をもとに作ってみたものの、提案に行ったら注文がつかない。

結局、買ってもらえませんでした。

開発した新商品が全て水の泡・・・

小売店からの要求にメーカーは応えざるを得ない。苦労して商品化しても費用はメーカーの負担で捨てられます。

悔しいし、このままじゃいかんと本当に思う。

こうした実態の裏側に一体何があるのでしょうか?

井手さんは、

小売店は色々なメーカーかを選べる立場。取捨選択できる。

食品業界にある上下関係が食品ロスを生み出す一因でもある。

食べ物を捨てない日本計画

業界の慣習の中でいかに食品ロスを無くすか。

荻野さんはあることを考えていました。

誰か手をあげてくれればよかった。それを待っていたと言われる。

名付けて「食べ物を捨てない日本計画」。

3分の1ルールではじかれた商品を売っていこうというのです。

本格的に活動をスタートさせました。

株式会社ビーバイ・イー

この日、向かった先は大手のコンビニにも商品を卸している会社です。

主に天然の素材で化粧品を作るビーバイ・イー。

フルーツシロップや甘酒など食品も手掛けるように。無添加のため賞味期限が短いものばかりです。

荻野さん、何を始めようというのでしょうか?

今お持ちの商品の在庫状況、賞味期限が切れそうなものはありますか?

いつもヒヤヒヤしています。

賞味期限が迫り店頭から引き下げられた食品を買い取ろうというのです。

他に食べられる場所があれば、そこを開拓していく。

ビーバイ・イーの鏡晋吾さんは、

ぎりぎりまで食べていただける仕組みができたらありがたい。

捨てられるしかない商品を引き取り、どんな作戦に出るのか?

株式会社リアルゲイト

食品ロスと戦う荻野さん。社員と計画を練ります。

1ヶ月賞味期限があるのなら商売をするべきだという葛藤が生まれた。1ヶ月切ったものを会社の社食とか、買ってくれる場所を探して売っていく。

賛否両論はありそうですね。

そして真っ先に向かったのは、シェアオフィスを運営している会社でした。

31軒の物件に1,000社以上の企業が入居している業界の大手。

岩本裕社長にどんな計画を持ちかけるのでしょうか?

利用者が働く中でおやつの提案をできないかと。

賞味期限が近いヘルシーなお菓子をオフィスの利用者に買ってもらおうという提案。

答えは、

忙しい時の間食が健康的だったらいいのかな。食品ロスに貢献できれば一石二鳥。

すぐに導入してくれることが決まりました。

ブラウンシュガーファーストが他社から買い取ったものも入っています。こうした場所をさらに開拓できれば食品ロスが減らせます。

1セット1万7,000円で納品します。

シェアオフィスの会社は利用者のサービスとして定価の約半額に設定しました。

捨てられるしかなかった食品が再び人々のもとへ。

利用者は、

賞味期限・・・近いと言っても来週とかじゃないですよね。ありですね。

何より消費者にも喜ばれる。食品業界のルールをくぐり抜け、廃棄を減らすプロジェクトが動き出しました。

そしてさらなる一手が・・・

切り札は野菜カップケーキ。

荻野さん、自らスーパーで売り込み。ケーキにどんなヒミツが?

野菜カップケーキ

ブラウンシュガーファーストの荻野さん、食品ロスを減らす新たな一手に打って出ます。

自社で運営しているカフェ。

手作りのカップケーキが人気です。ここで作る菓子の材料に賞味期限が迫ったココナツオイルを使います。

廃棄を減らす計画。

たっぷり入れるのは取引先からもらってきた売れ残りの有機野菜。

出来上がったのは野菜カップケーキです。

これを表参道にある人気のオーガニック専門スーパーへ持ち込みました。

株式会社ナチュラルハウス

ここなら大量に売れる可能性が。

荻野さん自ら店頭に立ち、カップケーキを勧めます。

生産から時間が経っているものを廃棄するのではなく、おいしく生き返らせる。

捨てる食材はもったいないのでお菓子になって、子どもも喜んで食べてくれるなら、いい取り組みだと思う。

食品流通業界の不可解なルール。

これに声をあげた荻野さん、食品ロスをなくす取り組みはどんな広がりを見せるのでしょうか・・・

食品業界が触れないから、成功事例を少しずつ重ねながら同業他社にも「売れるよ」と少しずつ情報を集めながら声をあげやすいように状況を皆さんに知ってもらえるように先陣を切っていきたい。