2005年に発売されたニンテンドーDSのゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。
当時、これをやると脳の活性化が期待できるかもということで「脳トレ」ブームと言われていました。
それが今さらに進んで実際にゲームをやりながら自分の脳がどんな状態か見ることができるようになってきています。
企業での生産性の向上やストレス軽減などに役立てようという動きが始まっています。
進化する「脳トレ」を取材しました。
ブレインフィットネス
[blogcard url="https://brain-fitness.jp/"]
東京・恵比寿にオープンした「ブレインフィットネス」。いわゆる「脳トレ」のジムです。
大浜キャスターの前に出てきたのは脳の活動を計測できるウェアラブル端末「携帯型脳活動計測装置『HOT-1000』」。
ブレインフィットネスのトレーナー、荒井愛さん、
おでこに当て脳の前頭前野、思考や判断する中枢部分の血流量を測る。
「脳トレ」ゲームをしながら血流量の変化を測ることで脳の活動状態が分かるといいます。
記憶ゲーム
指定された図形が画面に画面に何個あるか覚える記憶ゲーム。例えば十字の図形、最初の画面には5つ、表示はわずか3秒間。次は3つ、その次は7つ表示されました。これらを回答画面で答えるのです。
先程、「5」「3」「7」と覚えた数字の内、最初の「5」を入力します。難しいのはここから、出題画面に戻り十字が8個、再び回答画面が表示されます。
最初の「5」を除いた「3」「7」「8」の内、「3」を入力。
これを繰り返していくのです。
早速、大浜キャスターも挑戦します。
最初のうちは順調に回答できました。
1セット目が終わると30秒間休憩。
5分間で4セット繰り返しました。
ただ、ここまでは今までの「脳トレ」と同じ。では血流量の変化を測ることで何が変わるのでしょうか?
かなり変動が大きいですね。
脳の血流量の変化。1セット目の血流量の変化が最も多く脳が活発に働いていました。
皆さん緊張して1回目は集中力も高い。上がり方が大きい人が多い。
2セット目が低くなっているのはゲームに慣れた可能性があるといいます。
実は正解率が高くくても脳が活発に働いているとは限らないそうです。
理想はそのゲームで活性化していること。もし活性化をしていないならレベルを変えたり、違うゲームをやった方がその人に合っているかもしれない。
そこでほかにも様々な脳トレゲームを用意。実際の脳の活動を見ることで、それぞれのお客様の脳が最も活性化する最適なメニュー作りができるのです。
ほかにも睡眠のとり方や瞑想など脳を休ませる方法を学べます。
料金は8回で12万円と少々高額ですが、利用者の室塚博史さん(50)歳は、
測定できて脳が実際に動いているとか、どういうときに静まるとか分かるのは収穫。
利用者の森本毅次さんは、
数値が出てくるのは、その一瞬というより継続する上で自分の課題がはっきりする。
株式会社日立ハイテクノロジーズ
[blogcard url="http://www.hitachi-hightech.com/jp/"]
この端末を開発したのは日立ハイテクノロジーズ。
元々、病院や研究機関向けに提供していた血流測定器は約1,000万円。
今回、センサーの数を減らし、価格を20分の1の54万円に押さえました。
8月にはこの端末を広めるため脳トレゲームの生みの親、東北大学の川島隆太教授などと組み、新会社NeU(ニュー)を設立。
株式会社NeU
[blogcard url="http://neu-brains.co.jp/"]
長谷川清CEOは、
超高齢社会で認知症になる人も非常に多くなっている。今後は未病やヘルスケア部分でこの技術が使われていくと思う。
さらにNeUの営業担当、桂卓成さん。この端末を企業の生産性向上に役立てられないかと動き出していました。
ヤフー株式会社
[blogcard url="https://www.yahoo.co.jp/"]
この日訪れたのはヤフーです。
「デモ」ボタンを押すと記憶ゲームが始まります。
試しているのは脳の疲れ具合を判定できるという記憶ゲーム。
ヤフーのグッドコンディション推進部、市川久浩さん、
社員のコンディションを良くする取り組みをいろいろしたい。取り組むだけでなくて効果をデータとして蓄積して活用したい。
ヤフーでは1年前から週に1回、一部の社員で瞑想をする時間を作るようにしました。社員の集中力向上やストレス軽減に取り組むためです。
ただ、その効果は社員のアンケートからでしか判断できませんでした。
そこで瞑想の前後にこの端末で脳活動の変化を計測できないか検討しています。
客観的な心拍や脳波などを測るウェアラブルデバイスは有効ではないか。瞑想が有効というデータが出るとさらに推進していく可能性がある。
株式会社メディアシーク
[blogcard url="https://www.mediaseek.co.jp/"]
一方、自分で脳をリラックスできるようにする新たなサービスも始まろうとしています。
脳波を測定できる海外製のウェアラブル端末「脳波計『MUSE(ミューズ)』」。スマートフォンアプリと連動して脳波の状態に応じて異なる音が出る仕組みです。
早速、大浜キャスターが試してみると、最初は波の音が聞こえていますが、しばらく経つとかすかに鳥の鳴き声も加わりました。
実際にやっていた時の脳波の記録。下の方が落ち着いている状態。
大浜キャスターの脳波、下に行くほどリラックスした状態で緑色の部分で鳥が鳴いていました。逆に上に行くほど脳は働き、活発になっている状態だといいます。
「クールダウンしてから取り組んだ方が効率が上がる。」
メディアシーク、コンシューマー事業部の山田茂さん、
スポーツ選手が好きな音楽を聞いてリラックス・集中するというが、自分で波形が目に見えていて鳥の声という記憶があるので。それを思い出してやりやすい。
脳の状態をリアルに自覚することで最終的にはアプリがなくてもリラックスできるようにするのが目的です。
現在、法人向けに営業を開始。社会人向けの研修や学習塾などで集中力の向上に使えないか売り込んでいます。
この市場の可能性を聞いてみると、メディアシークの上田耕嗣取締役は、
市場としては無限に広いと考えている。認知度と信頼度を上げることでいろいろな応用分野が出てくる。