万協製薬株式会社
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三重県の中部に位置する多気町。人口1万5,000人ほどの山間の町です。
ここに本社を置く万協製薬。従業員は130人ほど。
薬局で売られているような薬や化粧品を製造しています。
新入社員
4月3日、今年の入社式です。
新入社員は17人。そのほとんどがいわゆる「ゆとり世代」と呼ばれる若者たちです。
彼らとどう意思疎通をはかるのか?
社内ではそれが課題となっていました。
スゴい色しているな。つけすぎじゃないの?
顔ですか?
口紅。
いいんやけどさ。
品質管理部に配属されたのは5人。部長は浜口高明さん(41歳)です。
昔と比べると「ばか野郎」と言われていたのが、そういう時代ではなくなった。傾向的には「ゆとり世代」と言われているが、気を付けていかないといけない。
実は上司たちが接し方を悩んでいる新入社員がいました。大屋真耶さん(22歳)です。徳島大学医科栄養学科を卒業した理科系女子。いわゆる「リケジョ」。
主な仕事は商品の品質チェック。仕事への情熱はあるものの、それがオモテに出てこないタイプです。
自分からどう話しかけたらいいのかよく分からない。コミュニケーションを取りたいけど、どう取っていいのか分からない。
大屋真耶さん
勤務を終えて帰宅した大屋さん。会社近くのマンションで一人暮らしを始めていました。
すでに職場への不安を感じているようです。
会社が「ちょっとつらいな」ってなったら、次からどんどんつらくなっていく。
つらいことがあっても近くにまだ頼れる相談相手はいません。
プチコミファミリー制度
入社式から4日後の4月7日、夜7時、この日の仕事を終えた大屋さん、向かった先は会社の近くにある居酒屋です。
「真耶ちゃん」って呼びましょうか。
集まっていたのは大屋さんとは部署が違う7人の先輩社員でした。
おばあちゃんとは呼ばないで、一応孫ができたけど。
その席であるものが配られました。
3班長女、中井さん。四女、大屋さん。
それは社員証、しかしよく見ると「プチコミ3班長男」や「プチコミ3班次女」という文字が書かれています。
職場の人が兄弟に!?
実はここから上司と部下の新たな関係が生まれようとしていたのです。
僕は製造部部長の小塩です。役割は「長男」です。
この会社では配属される部署以外にもう一つ人間関係を作ろうとしていました。
仕組みはこうです。
まずは全社員130人を世代や所属に関係なく一旦バラバラにします。そして新入社員を1人ずつ入れて17のグループに再編。1グループは8人ほどです。
さらにそのメンバーの一人一人を長男や次女などに見立てて家族のようなグループにします。
その名も「プチコミファミリー制度」。
なぜこのような仕組みを作ったのか?
それは入社してすぐに辞める若手社員たちを引き止めるためでした。
松浦信男社長は、
辞める人に理由を聞いたら社内で相談できる人がいない。会社の上司は自分を評価する人で悩みを打ち明けることは難しい。
ということは自分の職場以外の上司を作ればいい。
大屋さんが入ったのはプチコミ3班。
真耶ちゃん、自炊は何が得意?
雑なものしか作ってないです。
部署が違う社員同士、しがらみはありません。
会話も仕事とは関係のないことばかり。
しかし大屋さんは、
ちょっと疲れました。飲み会の雰囲気に慣れるのとか…。
小塩さんは、
まだかたい。手探りの部分はある。それを変えたい。
家族旅行
それから一月が経った5月中旬。この日、仕事を終えた3班のファミリーたちが工場内の会議室に集まっていました。
東京駅で降りるわけ?そしたら付近でブラブラできるな。
社員旅行ならぬ「家族」旅行の打ち合わせでした。
万協製薬ではファミリーの絆を深めるため旅行ができることになっています。年間700万円の経費はすべて会社が負担。
なかには海外に繰り出す人たちもいます。
ファミリーの若手の希望で3班の旅行先は東京になりました。日程は2泊3日。お台場や浅草、スカイツリーなどを巡ります。
大屋さんはどう?行ける?意見があれば?
長男役の小塩さん、しきりに末っ子の大屋さんに希望を尋ねます。
旅行の内容なら自分の意見も言いやすいはず。こうしたことで少しずつ新人と打ち解けていこうというのです。
ファミリー旅行当日
そして、6月中旬、東京。ファミリー旅行当日を迎えました。
この旅でファミリーの四女、大屋さんと打ち解けたい長男役の小塩さんはあることを考えていました。
大屋さん、先頭を切ってください。お願いいします。
小塩さんは大屋さんにファミリーの先導役を頼んだのです。
助けてもらいながら少しずつみんなのために動き出した大屋さん。
1日目の夕食はみんなの希望で決まったもんじゃ焼き。ここでもんじゃ作りを買って出たのが大屋さんでした。
料理得意?
得意じゃないです。
大屋さんの表情も少しほぐれてきました。
ここであるサプライズが、
みんなからお祝いが、就職おめでとう!
それはファミリーのメンバー全員で選んだボールペンでした。
仕事がんばってもらおうと思って。
使わせていただきます。ありがとうございます。
すると大屋さん、
失敗することもあるけど、頑張っていこうと思います。来年、後輩が入って旅行とか食事会をした時は積極的に話しかけて馴染んでもらえるようにしたいです。
旅行2日目
旅行2日目はスカイツリーや浅草へ。
東京下町ツアーです。
そこにはファミリーに溶け込む末っ子、大屋さんの姿がありました。
すごく楽しめました。最初と比べたらみんなの輪に入れていただいている。
このファミリー旅行、その後の大屋さんに思わぬ化学変化をもたらしたのです。
4ヶ月
万協製薬に入社をして4ヶ月が経った大屋さん。
簡単な仕事は上司から任されるようになっていました。
そんな彼女の手元にはあのボールペン。
ファミリーを見つけると自分から自然と話しかけるようになっていました。
仕事は順調に進んでいるの?
上司から頼まれることも増えてきて、やりがいじゃないですけど役に立っている感じが出てきてうれしい。
入社3年以内の離職率が20%を超えていた万協製薬。ファミリー制度で5%に激減しました。
「ゆとり世代」と言うけれど時代の流れがある。モーレツに仕事をしたから格好いいとか、怒られながら育ったらいいではなくて、入った人が辞めない会社も必要だし、周りから入りたいと思われる会社を目指さないといけない。
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