株式会社アシックス
東京オリンピック・パラリンピックに向けて活況を呈している建設業界。
その現場は一見オシャレとは無縁のように思われますが、職人さんたちの足元はなんともカジュアルでオシャレな作業靴です。
現場の作業だけでなく、このまま自宅から歩いて通勤で使っている人もずいぶん多い。
これまで作業靴といえば黒が定番でしたが、いまカラフルな色の作業靴が増えています。
有限会社作業衣屋
都内にある作業服の専門店。
中でもひときわ売上を伸ばしているのがカラフルな作業靴。
一見、ランニングシューズのようですが、つま先には硬い樹脂が入っていて足を守ってくれます。
中島紳浩社長は、
本当に最近だと思う。派手な作業靴が売れ始めたのは。
通常の作業靴は約3,000円から、カラフルな作業靴は約6,000円から。
アシックスジャパン株式会社
カラフルな作業靴。仕掛けているのはスポーツメーカーの大手、アシックスジャパン株式会社。
そこにはどんな戦略があるのでしょう?
アシックスジャパン株式会社の小川博之さんは、
スポーツで培った知的財産を、他の分野でも活用できないか。
そこでランニングシューズの技術を応用して足が蒸れないなど、快適性とファッション性を追加。
ところが1999年に発売してみたものの、思うように売れません。
ようやく風向きが変わってきたのは3年ほど前のことでした。
お客様がネットで「アシックスの作業靴は一度履いたらやめられない」と書き込んだ。
以来、ネットにより口コミで広がり、売り上げは毎年2割から3割増加。作業靴の売り上げは全商品の中の約5%を占めるまでになりました。
インナーウエア
そんな勢いに乗って来年には新たな分野にも挑戦するといいます。
それは、
「何の打ち合わせ?」
アシックスジャパン株式会社の木村康宏さんは、
コンプレッションインナーと言われるインナーウエアの会議。
2017年の春から売り出すのがインナーウエア。肩甲骨をサポートすることで疲れが軽減されると期待されます。
もちろんターゲットは、
主に建設業で働く人を中心に。見た目がかっこいいと、若い人に建設業が憧れの職業になってほしい。
カラフルな色は人手不足解消にもつながればという想いも込められています。
株式会社アーバンリサーチ
人手不足解消の一助になればと発売された商品はこちらにも。セレクトショップのアーバンリサーチストア渋谷店。
若者向けのカジュアルウェアに紛れて11月から販売をしたのがこれ。

株式会社アーバンリサーチの川瀬晃子さんによると、
漁師が船の上で使う本格仕様の作業着。
この商品、実は東北の若手漁師が集まり「Fisherman Japan(フィッシャーマン・ジャパン)」とのコラボ企画。
- マリンブルゾン 9,720円
- サロペットパンツ 8,640円
カラフルなだけでなく、機能性も高いこの商品。完全防水で摩擦に強く、通気性にも優れています。
売れ行きがとても好調で新規顧客も開拓することができた。
後継者不足に悩む漁師たちが、若者に興味を持ってもらおうとアパレル企業と一つになり開発を進めてきました。
フィッシャーマン・ジャパンの長谷川琢也事務局長は、
漁師の団体の立場から言うと、女性の漁業者も増やしていきたい。そのとき毎日着る服、漁師にとってはワークウェアで着ている時間が長いので、作業着をステキにカッコ良くしたい。
そして企業側にとっては、新たな開拓の糸口があるといいます。
顧客の間口は広い方がいい。作業着にかかわらず、ワークウェアとかアウトドア用で薦めていきたい。
職人たちの制服、作業着。そこにオシャレなデザインが加わることで、いま新たなる需要が生まれ始めています。