[WBS] 高級店で「2年前の獺祭」が・・・海外「日本酒ブーム」の実態!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本酒の輸出額ですが世界で日本酒ブームといわれている中、輸出額186億円ほどとこの10年で2.5倍ほどに増えています。

しかし、フランスのワインの輸出額がどうかというと1兆円を超えていて、その差は歴然です。

そうした中、海外で取材を進めていくと日本酒ブームなどと浮かれていられない実態が見えてきました。

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インターナショナル・ワイン・チャレンジ

7月10日夜、ロンドンで開かれたのはインターナショナル・ワイン・チャレンジ。

およそ1万2,000本の中から優れたワインを選ぶ国際品評会です。

一方、会場の中では、

日本酒は大好き。ワインには無い魅力がある。

ワイン以外で審査対象になるのが日本酒です。

勝者は「奥の松 あだたら吟醸」。

奥の松酒造株式会社

応募した1,639種類の日本酒の中からチャンピオンに選ばれたのは福島で創業300年を超える老舗「奥の松酒造」の「あだたら吟醸」。

今後の海外展開に弾みがつくと期待します。

奥の松酒造の遊佐丈治代表取締役は、

イギリスもドイツもフランスも出していない。今後展開していきたい。

お祝いムードの一方、長年イギリスで日本酒の海外展開を支援してきたコンサルタントの酒サムライUKの吉武理恵代表はある現実を口にします。

「受賞すると日本酒は海外で売れる?」

残念ながらそうは思わない。そこが試練だと思う。

この賞、受賞するだけでは日本での宣伝にはなっても海外で大きな販売拡大につながることはほとんどなかったといいます。

蔵元が努力して足を運び、海外に出そうという努力が無いと厳しい。

まだ日本酒ブームとはとても言いきれない。

旭酒造株式会社

ロンドン支局の豊島晋作記者は、

こうした中、海外展開を進めるこちらのお酒もいま大きな試練に直面しています。

フランス・パリ。

シャンゼリゼ通りを歩くのは旭酒造の桜井博志会長。

旭酒造は日本酒「獺祭」を作る山口県の蔵元。

日本で高い人気を誇るだけでなく2004年から海外にも輸出しています。

その桜井さんが向かったのはパリ市内にある有名なフレンチレストラン。

獺祭を置いてくれている。どんな状態の酒が出るか確かめに来た。

獺祭は現在、パリの複数の高級レストランで提供されています。

味を確認する桜井さん。

自慢の酒のはずが何故か表情が暗い・・・

一緒に来た社員たちも同じく険しい表情に・・・

これはダメ。劣化している。完全にアウト。

守り続けてきた味ではありませんでした。

ラベルを見ると2年以上も前の商品です。

獺祭は製造から半年以内の提供を推奨。

2年で味が変わっていたのです。

たまりかねた桜井さん、日本から持ち込んだ新しい獺祭を取り出し、レストランのソムリエに飲んでもらうことに。

香りが豊か、違いは明らかだ。新しい獺祭はまろやかで新鮮な香りが長く続く。

しかし古い獺祭は香りが平凡ですぐに終わってしまう。

そう、違いが分かってもらえた。

ワインは長く置くほど質が良くなるが日本の酒はそうでないと分かった。

フランスのソムリエはみんな知らないだろう。

危機感を強めた桜井さんたちは取引先のレストランやホテルなどに古い商品の入れ替えを何度も申し入れているといいます。

続いて別の和食レストランの厨房。

もう一つの課題、温度管理について確認しに来たのです。

ぬるい。全然冷えていない。

旭酒造は5度以下での保存を訴え続けてきましたが、やはり管理は十分ではありませんでした。

つい先程、冷蔵庫に入れたばかりでそれまでは常温保存だったといいます。

冷蔵庫に十分なスペースが無い。

それは分かるけど管理は工夫する必要がある。

結局、一度に配達する本数を減らし、冷蔵庫での保存を徹底してもらうことにしました。

お酒をいい状況で飲んでもらおうと思うと、どうしても飲食店や流通に厳しいことを言わないといけない。

「いいよいいよ」では通らない。

Hotel de Crillon

さらに乗り込んだのは各国の要人も利用し、パリ最高のホテルと称されるホテル・ド・クリヨン。

獺祭を含む多数の日本酒を出すことでも知られています。

しかし、ここでも出てきたのは1年以上前の獺祭でした。

ちょっとひどい。

高級ホテルだから本当に良い物を出してほしいが、あれは少なくとも獺祭の品質じゃない。

クリヨン側はテレビ東京の取材に対し「日本酒は適切な温度で管理してきた」と主張。

ただ旭酒造側は自らが求めるような品質管理は現地では浸透していないと受け止めています。

結局、海外で日本酒がブームといわれる裏側で獺祭に限らず多くの日本酒がベストな状態で提供されていないのが実情だといいます。

日本酒ブーム

「日本酒ブームは海外で起きている?」

起きてないと思う。

劣化した酒を放っておいて蔵元が目をつぶって「日本酒は海外で売れる、すごい」。

困ったことに目をつぶっていたら日本酒の将来はない。

そこで桜井さんは次の一手を打っていました。

ダッサイ・ジョエル・ロブション

パリ市内におよそ10億円をかけて直営店をオープンさせたのです。

有名フランス人シェフと組み、獺祭に合う料理を出すレストランと販売店を兼ねる店。

最大の特徴は店の奥にある棚です。

冷蔵庫になります。獺祭が1,000本入っていて5度以下で冷蔵管理されている。

現地で自らベストな状態で提供し獺祭本来の味を広める。

これが桜井さんが出した答えでした。

日本の酒造業界は海外で酒の品質管理ができていない。

おいしくない酒がお客様に飲まれていて自分たちで売れる可能性を縮めている。

いわば負け。負けを認めていない。負けを認めるところから始まる。

実力を知ってもらうまで道半ばの日本酒。

本当のブームを起こすまでやるべきことは多そうです。

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