11月11日、中国最大のネット商戦「独身の日」のイベントの様子。
巨額の販売規模が話題になりましたが、実はもう1つ話題を集めたのが現金を使わない支払い「キャッシュレス決済」です。
いま中国で急速に広がっていて日本でも普及するかもしれない、このキャッシュレス。
その実態を現地で取材しました。
阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)
[blogcard url="https://www.alibaba.com"]
ハリウッド女優のニコール・キッドマン氏、
こんにちは、愛しています。
ハリウッドの有名女優も登場したこの大イベントはネット通販最大手のアリババが上海で開いた「独身の日」セールの前夜祭。
11月11日、中国では毎年、通販サイト上で大セールを実施。ネット通販業界最大の商戦日です。
アリババによると24時間の総販売額は2兆円以上。
イベント会場ではアリババのジャック・マー会長が主演の映画まで披露され共演したアクション俳優、ジェット・リー氏や大相撲の元横綱、朝青龍氏も登場。ジャック・マー帝国の不動の地位を見せつけました。
上海支局の吉田知可記者は、
取材に訪れた記者が集まるメディアセンターで、アリババグループ傘下の様々なサービスが紹介されています。こちらでは「無人スーパー」と書かれていてスマートフォンひとつで決済が済む店舗です。さらに顔認証で支払いができるシステムもあります。
このように今年はキャッシュレスが大きなテーマとして掲げられています。
盒馬鮮生 大寧店
上海市内にあるアリババグループのキャッシュレススーパーを訪ねてみました。
野菜や果物、海産物など生鮮食品が並び一見何の変哲もないスーパーのようですが、なんとレジカウンターがありません。
並んでいるのはタッチパネル。ディスプレイの中にお客様の顔が映し出されています。
このスーパーはあらかじめ登録している顔を認証し、あとは携帯番号を入力するだけで決済ができるのです。
この他、携帯電話でQRコードをスキャンするモバイル決済も利用できます。
いずれにしても現金を持たずに代金を支払えます。
お客様は、
前回から顔認証で決済している。それまではQRコードで決済をしていた。
「顔認証は?」
速い!
2017年にオープンしたばかりですが手軽に支払えるとあって客足は上々だといいます。
急速に進むキャッシュレス社会。
これまで現金払いでしかありえなかったような場面でも浸透し始めています。
ご祝儀のスマホ決済
北京に程近い、高級ホテル「シェラトン廊坊潮白河ホテル」の結婚式場では開始時間が迫り準備が進んでいました。
そんな中、新婦の父親が用意したのはQRコードです。
今の時代、一般的にお金を持っていないからご祝儀をQRコードで払えるようにした。
「抵抗感は?」
抵抗感はない。こっちんほうが便利。
QRコードの中央には新婦の顔。ご祝儀のモバイル決済は招待客、受付側、どちらにもメリットがあるといいます。
招待客に「いくら支払った?」と聞くと、
1,000元(約1万7,000円)。銀行にお金を下ろしに行くのが面倒。
受付の女性は、
現金の時は手間がかかった。現金だと数えたりしている内に紛失する可能性もある。
モバイル決済
中国のモバイル決済の総額は1年間で約600兆円に倍増。
街中では小さな路面店でも利用できるようになり財布を持たない人が大幅に増えました。
30代の男性に「現金は持っている」と聞くと、
持っていない。
「何も持っていなくて大丈夫?」
普通は何も問題ないよ。
しかし50代女性は、
現金を使うことに慣れているのよ。
実はモバイル決済の利用者の内、40歳以下が90%を越えているのに対し、50歳を超える層では2%を下回っています。
こうしたギャップに着目した取り組みがすでに始まっていました。
Alipay(アリペイ)
北京支局の山口博之記者、
集合住宅の一画にある建物、この前にアリペイのQRコードが掲示されています。
建物の中に入ると席を埋め尽くしていたのは高齢者です。
講師は、
アリペイ(支付宝)を使ったことがある人?
これはモバイル決済最大手アリペイが各地で週に1回のペースで開催しているモバイル決済セミナーです。
アリペイの現在のユーザー数は5億人余り。若いユーザーの獲得が頭打ちになる中、いま高齢者に狙いを定めているのです。
高齢者ユーザーが極めて少ないにも関わらず、高齢者が学びたくても学べないため、こうした場を提供している。
アリペイが重視するのは対面式によるレクチャー。若い世代と違って携帯電話の操作に不慣れな高齢者には最も効果的だといいます。
82歳の男性の参加者は、
このままだと買い物ができなくなってしまう。
67歳の女性の参加者、
生活を便利にする多くの機能を私たちは学ぶべきだと思うわ。
地道な取り組みによって中国人ユーザーを着実に増やすアリペイ。
今後、サービスを世界に広げる考えで日本進出にも意欲を示します。
アント・フィナンシャルの蘇強副総裁は、
あと10年で世界のユーザー数を20億人に到達させる。東京オリンピックが開催される日本市場への進出はアリペイにとって絶好の機会。