家庭菜園に関する調査によると「始めたい」と応えた人は55%と半数以上を占めています。興味を持っている方が多いということです。
こうした中、都市部を中心に手ぶらで本格的な野菜作りができる「貸し農園」がこの春から急激に増える見通しです。
それは何故なのか取材しました。
株式会社アグリメディア
[blogcard url="http://agrimedia.jp/"]
神奈川県川崎市、住宅街の一画にポツンとある畑に人だかりが。
手でやった方が早いんじゃないかな。
1ヶ月ほどで収穫できるパクチーなどを植えるため土を耕しているといいます。
しかし、作業の様子を見てみると手元がおぼつかない。足元の長靴も新品のようです。
実はこの畑を耕している多くの人は野菜を作るどころか、これまで土をいじったこともほとどないといいます。
疲れる。事務職だったから鉛筆以外握ったことがない。
孫がマンションとか土のないところで暮らしているから、たまに来たときにここに入れればいいかなと。
実はこの畑、彼らの土地ではありません。
アグリメディアの諸藤貴志社長、
使えなくなった、もしくは使えることができなくなる農地を預かって家庭菜園で野菜作りを楽しみたい人向けに貸し出すサービス。
農業ベンチャーのアグリメディアが行うサービス「シェア畑」。これは場所を提供するだけの一般的な市民農園とは異なり、備え付けられている農具や資材は無料で利用する事ができます。
サービス利用料は3平方メートルで5,300円から。
この土地を使い栽培経験豊富な菜園アシスタントが道具の使い方から肥料の量など野菜の作り方を一から教えてくれます。
教えてもらわないと、くわも持ったことないからどうしたらいいか分からない。
葉物の野菜が好きなので葉物の野菜が作りたい。
「自分で料理する?」
料理全然しない。これをきっかけにできたらいい。
こうしたサービスがこれまで土いじりをやりたくてもやれなかった人たちに受け、この春だけで一気に10農園以上オープンさせます。
農園を毎年20~30作っているが、どんどんお客様が増えて、今は2万人近くが利用するまでになった。
実はこのシェア畑サービスが注目されているのにはもう一つ大きな理由があります。
生産緑地「2022年問題」です。
2022年問題
生産緑地とは1992年、都市部の農地に関して「税金を優遇する代わりに30年間農地として維持すること」が決められた土地のこと。
この30年の期限が終わるのが2022年。この年に全国に約1万3,000ヘクタールある生産緑地の8割程度の期限が切れます。
もし生産緑地が宅地に変わると市場は宅地の大量供給により地下暴落が起こる可能性があります。
農林水産省などは「生産緑地」に関する法律の改正案を今国会に提出する予定だといいます。
これで農地を他人に貸し出しても税の優遇は受けられるなど条件が緩和されることになります。
金杉和秋さん
埼玉の大宮で生産緑地制度を利用している金杉和秋さん。
300年前から続いている農家だから先祖代々、この土地を耕してきている。それを絶やすことはいけない。
法改正が行われればシェア農園に土地を貸し出すことも検討しています。
「息子は手伝っていないのか?」
正直、サラリーマンをやっているので手伝ってもらっていないのが実情。法改正の話が聞こえてきて都市農地が有効に使えるような方向に向けばいいなとは思っていた。
土地の所有者と農業を始めたい人たちを結ぶ農業体験サービス。
今後も広がりを見せそうです。