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[WBS] 「列車の15%」が5分以上遅れる!?イギリスの鉄道を日本企業が運行!

2017年12月12日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本の産業界がモノだけではなくノウハウの輸出へと動き始めています。

イギリスでは12月10日からJR東日本と三井物産などの企業連合が鉄道の運行事業に乗り出します。

ロンドン支局の豊島晋作記者、

ロンドンから鉄道で北に2時間ほど行ったところにあるイギリス第二の都市バーミンガムの中心部にある駅。

ホームには鉄道が止まっていて別の車両が入ってきていますが、今秋からJR東日本と三井物産はこことロンドンなどを結ぶウェストミッドランズ鉄道の営業を始めます。

取材をしてみると日本の正確な鉄道運行のニーズは非常に強いようです。

Abellio ScotRail(アベリオ・スコットレール)

[blogcard url="http://www.abellio.co.uk/"]

バーミンガム・スノウヒル駅、

たった今、新しい紫色の車両が到着しました。

JR東日本と三井物産は2017年、ウェストミッドランズ鉄道の運営権を獲得し12月10日に運行を始めました。

ウェストミッドランズ鉄道は1日1,000本以上が運行し、年間約7,500万人が利用します。

ロンドンやバーミンガムといった大都市への欠かせない通勤の足です。

JR東日本と三井物産は今後8年半に渡って年間約600億円の運賃収入などを得る見通しです。

「どういった強みを生かしていくか?」

JR東日本の小縣方樹副会長は、

オペレーター自身が起こす原因の遅延、少なくともそういうものはなくしていく。

欧州三井物産の久米敦司社長は、

この駅周辺の開発、鉄道ビジネスを起点とした新しいイギリスでの仕事への挑戦にもつながっていくと思う。

両社は朝方から乗客たちに日本から運んだキットカット抹茶味などを配布。日本企業による運行開始をアピールしました。

現地の期待は大きいです。

現地の期待

ポール・メイナード鉄道担当大臣は、

日本のノウハウでイギリスの鉄道の能力を最大限引き出してほしい。

11月に日本のつくばエクスプレスが発車が20秒早かったことを謝罪したと大きく伝えた記事。日本の鉄道の正確さに対してイギリス国民の関心が高いことが伺えます。

列車の遅延

関心の高さには理由があります。

打ちのめされたような表情の乗客。理由は慢性的なダイヤの乱れです。

通勤客は、

通勤時間はいつも混んでいるし、よく遅延するんだ。

イギリスは毎日のように雨が降るけれど、その度に電車が遅れる。

例えばロンドン周辺部やイギリス南東部では5分以上遅れた列車だけでも15%近くに上ります。

すべての駅を定刻通りに発着する列車は殆ど無いともいわれています。

老朽化した車両や設備の故障、従業員のストライキなどが主な原因です。

そしてイギリス最悪の鉄道とされるロンドン南部のサザンレールでは一部の乗客がデモを起こす事態に発展。

列車の遅延率はなんと50%を超え乗客の怒りは頂点に達していました。

抗議運動のリーダー、ステファン・ジョセフ氏は、

鉄道を民営化したとき、日本のJR東日本のようなモデルにはしなかった。

中井雅彦副会長

11月30日、横浜外国人墓地。

JR東日本でイギリスでの事業を担当する中井雅彦副社長はある人物の墓を訪ねました。

明治維新の後、日本に鉄道技術を教えたイギリス人技師、エドモンド・モレル氏の墓。

イギリスでの事業開始を報告しに来たのです。

鉄道の発祥の地である英国で鉄道の営業、事業展開を行いイギリスの方々に恩返しできる。

三井物産

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今回、そのJR東日本がタッグを組んだのは海外での交通インフラ事業で経験が豊富な三井物産。

定時運行を徹底するために駅の乗客の流れをスムーズにする工夫を始めていました。

欧州三井物産の機械・輸送システム部、小見拓平さんは、

こちらの券売機は1台だが、今後は4~5台増やしていく

「ホームでも対策は考えているか?」

ご覧の通り、どこに停車するか分からない。乗車位置を示すラインがないので今後、ホームにライン(乗車位置)を引いて乗り降りがスムーズにできるように変える。

両社は他にも新型車両400両の投入など約1,500億円を投資する計画です。

JR東日本の小縣副会長は、

安定性、定時制、情報提供、お客様との接し方、そうしたものひとつひとつをこの地で生かしていきたい。必ずや貢献できると思っている。

豊島晋作記者

日本勢はかなり意気込んでいますがイギリスの鉄道インフラはかなり傷んでいるので目標達成は簡単ではありません。

ただ鉄道運行ビジネスは世界でもマーケットが拡大していて鉄道車両などで最近実績を上げている中国勢よりも日本企業に分があるといわれる分野です。JR東日本と三井物産はここで事業をなんとか成功させ今後さらに拡大が期待できるアジア市場へと打って出る戦略です。

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